
iOSアプリLoopyは簡単にトラックを録音、ループ再生をすることができるルーパーアプリ。パワフルなサンプリング機能だけではなくMIDI機能もふんだんに搭載しておりスタジオだけでなくライブパフォーマンスにも使えるアプリだ。ユーザーインターフェイスがいたってシンプルなので操作がしやすいのも魅力の一つ。2011 Best App Ever AwardのBest Musicians App部門においてはGarageBandを抑えて堂々第2位にランクインされた大ヒットアプリ。今日はそのLoopyの開発A Tasty PixelのMichael Tyson氏へのインタビューをお伝えしようと思う。インタビュー最後にはiOS音楽シーンを変える新たなプロジェクトについての話もしてくれた。

I: まずA Tasty Pixelの設立とメンバーについてきかせてもらっていいですか?
M: A Tasty Pixelは僕ひとりで運営している会社で、開発とデザインも両方僕が行っているよ。大学院で勉強している頃にちょっとしたサイドプロジェクトとして立ち上げたものなんだけど今ではこれが仕事になっているんだ。博士論文の方はもうじきやっと終わりそうなところさ。
僕はオーストラリア出身、でもこの2年半(実際A Tasty Pixelを立ち上げてからの間)は妻のKatherineとヨーロッパ をキャンピングカーで旅をしていて、このキャンピングカーが僕のモバイルオフィスになっている。僕らの旅の経験についてはブログにしているんだ。
I: あなたの経歴について聞かせてもらっていいですか?ミュージシャンでもおられになるんですか?
M: ずっとコンピューターサイエンス。大学院ではモバイルアドホックネットワークについて研究してて、やっとその論文も書き終えるところなんだけどね。学士号をとる時にはアドホックネットワークプロトコルを使ったLinux カーネルドライバーの設計をしたんだ。6歳の頃からプログラミングをはじめて(当時はApple2を使っていたかな)それ以来ユーザーインターフェイスとクリエイティブテクノロジーにずっと興味をもっているんだ。音楽もいつも一緒だよ。大学院生になる前くらいまではトローンボーンを吹いていたりね、ほとんどジャズばっかりだったかな、今でもギターをたまに弾いているよ。
I: どうしてLoopyのようなアプリを作ろうと思われたのですか?
M: LinuxのFreewheelingというお気に入りのルーパーアプリがあって、昔それでよく遊んでいたんだ。でもマックOS Xに乗り換えてから遊べなくなってしまい寂しい思いをしていたんだ。それからある日Imogen Heapがルーパーを使ったパフォーマンスをしているのを見て(link)、僕も同じ位シンプルに遊ぶことのできるルーパーアプリを作ってみようと決めたんだ。iPhoneはスバらしいマシンだと思っていたし、当時ルーパーアプリはアップルストアには存在していなかったからね。そういうわけでLoopyを作りはじめたのさ。
I: 開発にはどのくらいの時間がかかりましたか?またその時間が十分報われたでしょうか?
2006年にサイドプロジェクトとしてLoopyにとりかかったんだけど、集中的に取り組んだのは2011年からのこと。今ではLoopy HDもリリースしたしね。時間はかかったけどビジネス的にも十分見返りがあったって言えるかな。
I:ユーザーからのリアクションはどのようなものでしたか?
M: とてもいいリアクションだった。みんなとても気に入ってくれたみたいで、時々おどろくような使い方をしている人たちを見ることがある。Loopyのサイトにのせてあるデモンストレーションビデオもとても気に入っているし、Loopy Sound Cloud Groupには現在750以上のトラックがアップされているんだ。ユーザーからもらったメールの中には、Loopyによって音楽製作のプロセスが変わったとか、もっと生産的になったとか、音楽的アイデアが今までよりも自由に表現できるようになったとか、嬉しい話をいっぱいもらった。そしてコミュニティーサポートもみんなとても協力的でいい提案をいろいろしてくれるんだ。

I: 開発中にはどのような困難がありましたか?
M: たいがいのミュージシャン向けのアプリにはボタンやノブがたくさんあり過ぎで、ユーザーがそれを習得するのには相当な時間がかかるものだ。プロミュージションでない人にとっても使いやすいユーザーインターフェイスをつくり、そのなかにみんながほしがっているすべての機能を詰め込むという作業を心がけた。
「使いやすいアプリでいてパワーのあるアプリ」ということについては相当な時間をかけて研究した。ミュージシャンの友達と話したり、メーリングリストでアドバイスを募ったりした中で最終的に落ち着いたアイデアは、1.簡単なジェスチャーを多く使う 2.実用的なデフォルトを用意 3.ユーザーインターフェイスはすっきりしていて遊んでいて気晴らしになるようなもの 4.あたらしいユーザがアプリについて理解できるインタラクティブなチュートリアルシステム これらのことを中心に組み立てることにしたんだ。
I: Loopyはどのくらい完成型に近づいているのですか? 例えばWist機能を追加するような予定は考えてらっしゃるんですか?
M:正直Loopyはまだ始まったばかりと言っていいかもしれない。いろいろなエフェクター、トラックマニュピレーター、undo/redo機能、トラックバージョンマルチテイクシステム機能(たとえばあるループ内で2つのテイクを録りそのテイクをスイッチできる機能)それから初期のデモビデオには紹介してあるんだけどドラムシーケンサーについて考えていたりもしている。まだまだ山ほどやりたいことがあるんだ。
率直に言って、Wistを搭載する予定はいっさい考えていないんだ。その存在自体にも疑問がある。僕の考え方ではWistはコルグが独自にMIDIシステムを再開発しようとした滑稽なもの、それはこの産業にダメージを与えるだけのことしかしていないと考えている。僕らはすでにMIDIという成熟したシステムを持っていて、それは広い範囲で使われている。そしてMIDIはうまく働くシステムさ。なぜ同じような性能を持つ新しいものを作る必要があるのかがあるんだろう?
I: 元々Wistはゲーム対戦を探すことを目的で作られたアドホックコネクションなんですよね?例えばユーザーが音楽を一緒に演奏する相手と簡単に接続できることは楽しいことだと理解できます。でも最近のコルグのマシンにはMIDIが搭載されていないものが多くて、それっていったいどういうことなのかと思っているんですよね。やはりMIDIは便利なものだと思うので。
M: あまりWistについてはしっかりチェックしていなかったことは認めなきゃいけない。でもそのメリットについてはやはり肯定的ではないかな。どんな場合にせよコストを抑えてしまうことで互換性が失われてしまうことは決して良いことではないと思うよ。
I: アップデートの予定などはありますか? それから何か新しいアプリを作る計画なんかも?
M; もちろん。次のアップデートではエフェクトの追加、ディレイ、エコーリバーブ、EQ、ピッチシフトを予定しているよ。in-App購入できるようにするつもりだ。それから拡張パックのアイデアも用意している。
それから現在iOS音楽シーンを変えるようなすごいサイドプロジェクトにも取りかかっている。今の状況ではあるアプリから別のアプリに音声をライブ録音しようとする際には複数のディバイスを使いヘッドフォン端子からマイク端子をつなげるアナログ録音か、もしくはAudio Copy/Paste機能でデータを転送する方法しかない。しかもCopy/paste機能ではライブ録音することはできない。新しいプロジェクトではあるアプリから別のアプリにオーディオ信号を送るもので、たとえばSoundPrismやMorphoWithで演奏したものをそのままLoopyに録音ができるようになるものなんだ。それだけでなくAppを外部シンセとしてDAWアプリケーションから操作ができ、出力されたものはデジタルでの録音が可能になるというものさ。
iOS音楽シーンに大きなインパクトを与えることは間違いないと思っているよ。あるiOSのビッグネームもこの機能をサポートする準備をすすめているからね、もう少ししたら詳しい話が聞けるはずだよ。

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