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世界のiOSのディベロッパーの中には「もう神様なんじゃないか?」って思えるくらい、たった一人で物凄いアプリを開発している人がいるのですが、スウェーデンのKymaticaはそのうちの一人で、これまでSECTORという円型のサンプルドラムマシンや、アプリとアプリのオーディオシェアを可能にするユーティリティーアプリAudioShareを開発してきた人です。そんなSymaticaが本日、新しいアプリAUMをリリースしました。

AUMは、オーディオミキサーとして、レコーダーとして、様々なiOS音楽アプリをつなぐハブとして使うことができるユニバーサルなアプリです。(iOS 8.0が動作するiPad、iPhone、iPod Touchに対応)

まず上の画像をみてください。かなり未来的でクールなインターフェイスですよね。通常のミキサーとして見ていただければ良いのですが、各チャンネルに様々なiOS アプリが立ち上がっています。

まず左の1chと2chにはArturia のiSEMが2系統。一方のiSEMにはAUFXというリバーブ、そしてもう一方のiSEMにはMoogのFiltatronというエフェクターがかかっています。AUM内臓のキーボードを開けば、難しい設定なしで二つのiSEMを同時に演奏することができます。出力先はBUS 1にルーティングしてあるので、真ん中のフェーダーを動かせば二つの音のボリュームを同時に操作できます。

右側の4chと5chには、コルグのドラムマシンiElectribeとKymaticaSECTORが立ち上がっていて、内臓エフェクター(サチュレーターとリミッター)をかけています。AUMはシグナルプロセッサーが充実しているのも一つの特徴です。さらにAbleton LinkやMIDI Clockにも対応しているので、これらドラムマシンとの同期もバッチリです。

アウトプットのスロットに内臓レコーダーをルーティングすれば、セッションをレコーディングすることもできますし、レコーディングしたファイルを再生しながら、さらにセッションを続けることもできます。また、CubasisやGrageBandやAuriaのようなDAWアプリを出力先に指定すれば、AUMで作った音をレコーディングすることもできますし、iOS対応のオーディオインターフェイスを接続すれば、ハードウェアシンセの音を取り込んだり、コンピューターのDAWとのやりとりも可能になります。

ある程度ミキシングやエンジニア的な知識が必要になるアプリではありますが、ルーティングの工夫をしながら、iOSアプリをいくつも使って緻密な音作りができるアプリです。昔、4チャンネルのマルチトラックレコーダーに向かってあれこれと音造りに頑張っていた頃を思い出します。でも時代はiPad ProとiPhone 6Sです。とにかく動きがパワフルでしなやかなのも、インターフェイスがめちゃ美しいのも大きな魅力です。デバイスの中で眠っているアプリをもう一度叩き起こして、素敵な音作りを楽しんでみてはどうでしょうか。

まずは、オフィシャルプレビュービデオをご覧ください。(ちょっと地味なビデオなんですけどね。)

 

 

AUMの主な特長

 

• 高音質オーディオ、32bit 96kHzまで対応
•チャンネル数無制限
• エフェクトスロット数無制限
• インサート、センドはポスト/プリフェーダーで設定可能
• ミキシングとエフェクトセンドのためのインターナルバス
• マルチチャンネルのオーディオインターフェイスに対応
• Audio Unit extensions(AU)、Inter-App Audio(IAA)、Audiobus 対応アプリの使用可能
• Audiobusの設定のセーブ可能
• 精密なトランスポートクロック
• メトロノーム、プリロール設定可能
• AUプラグインとIAAアプリへのセンドホスト同期
• Ableton Link対応
• ファイルプレイヤー内臓( 同期、ループオプション、AudioShareファイルへのアクセス可能)
• AudioShareストレージへの直接レコーディング可能
• ステレオプロセッシンング、フィルター、ダイナミクス系エフェクト内臓
• 内臓MIDI キーボード
• MIDIによる制御可能
• MIDI マトリックス(MIDIルーティング)
内蔵するシグナルプロセッサー
• Stereo balance
• Stereo to mono
• Stereo panning
• Mid/Side balance
• Mid/Side – Stereo convert
• Invert Phase
• Parametric EQ
• Low-shelf filter
• High-shelf filter
• Low-pass resonant filter
• High-pass resonant filter
• Gain
• Hard clip
• Saturation
• Lookahead peak limiter

 
 

 

数多くの機能を備えるAUMですが、旬な機能としてはAudio Unit(AU)プラグインのホストとして機能することでしょう。とはいえ、AUに対応するプラグイン自体が数種類しかリリースされていないので(インストゥルメント系で言えば4種類、エフェクター系で言えば12種類)これはちょっと寂しいところではありますが、それはさておき、AUにいち早く対応しているArturiaのiSEM をAUMで立ち上げるとどんなことになるのか紹介しておきます。

まず、AUMでiSEMを開くとこんな感じになります。↓

 

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まさに、プラグインソフトウェアですね。プリセットの一覧を開くこともできますし、パラメーターをいじりながらAUMの内臓キーボードを演奏することもできます。さらにAUM にはMIDIコントロール機能も付いているので、iSEMのパラメーターを外部コントローラにアサインして、パラメーターをグリグリ回すなんてことも可能です。

AUMでIAAアプリやAudiobusアプリを利用する場合、基本的には一つのアプリを一回しか使うことができませんが、これがAUの場合はいくつでも立ち上げることができます。ですから、iSEMを10個でも20個でも、デバイスのパワーが許す限り立ち上げて演奏することも可能な訳です。ただAUのインターフェイスは一つしか開かないので、音色を設定するには一つづつ開かなければなりません。また、AUMの内臓キーボードを弾くと、一斉にすべてのiSEMが音を出してしまうので、このあたりはキーボードのルーティングの設定を工夫して、快適な操作方法を見つけなければなりません。それでも、AUプラグインのパワーを余すことなく使うことができます。

ちょうど、同じようなことを考えているYouTubeビデオを発見しましたのでご覧下さい。iSEMヘヴンです。

 

 

 

 

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