歌った声が、弾いたギターが、オーディオデータがMIDIに変換されるという夢のようなiOSアプリAudio Midi Connect。特にキーボードを弾かないギターリストにとってはDAWソフトウェアへのMIDIの入力は相当なイライラだったはず。今日はそんな夢のようなテクノロジーをより身近なものにしてくれたAudio Midi ConnectのディベロッパーSecret Base Design Softwareへのインタービューをお届けしようと思う。インタビュー最後には次のアプリの開発についての話も聞かせてくれた。

Q    まずSecretBaseDesignの設立についてお聞かせください。皆さんはミュージシャンでもいらっしゃるのですか?

S: ニューヨークシティから車で4時間位のBinghamtonという所に住んでいて、普段はリサーチプロフェッサーとしてBinghamton大学で働いているんだ。Appの開発は時間のあるときにやっているよ。

SecretBaseDesignはプログラミングは僕がひとりでやっていて、妻(建築家で、デザインを手伝ってもらっている)それからドイツ出身のグラフィックデザイナー、ロスのLoyola大学のコンピューターアニメーションの教授の4人チームだ。
僕はギターとベースを弾くんだけど、プロになるにはちょっと難しかったかな。

 

Q    AMCを作ろうと思ったきっかけは?

 

S:  ずいぶん前に、ローランドのギターシンセを弾いていたんだ。ずいぶんと高い物だったから買うことはできなかったんだけど、それが本当に楽しくてね。それ以来ずっと似たような物が欲しかったんだ。その後ヤマハのEZ-AGを手に入れたんだけど、それは本物のギターとは言いがたいものだった。iPadやiPhoneだったら入力した音をMIDIに変換することができるようだったから、試してみることに決めたんだけど、思った以上にうまくいったから驚いているよ。

 

Q 開発にはどのくらい時間がかかったんですか?

 

S:   僕がプログラミングを始めたのは1980年頃から。アプリの開発を始めたのは2010年からで去年はMIDI Guitarというアプリをリリースした。AMCは2011年の10月から始めて、今年の1月にリリースしたんだ。月に1回の割合で細かい変更を加えたアップデートをしているよ。

 

Q このアプリの開発過程はどのようなものでしたか?どんな困難がありましたか?

 

S:  AMCを作ったときには2つの大きなチャレンジがあって、1つはピッチの認識を素早く行い、リアルタイムな操作を可能にすること。今はレイテンシーが0.1秒ほどあるけど、0.03秒くらいまでにしたいね。それは可能なことではあるんだが、なかなか簡単にはいかないんだ。

2つ目はMIDIをiOSディバイスで扱うことだった。いろいろなMIDIアプリが出回っているけれど、それぞれのアプリによってMIDIの扱われ方が違うんだ。だから他のディベロッパーと話をして、アプリがうまく共存できるようにおなじ方法でMIDIプログラムを書くように促す話をしたりした。

 

2004~2005年に日本に住んでらしたというSecretBaseDesign代表。札幌に旅行された際に撮影された写真を提供していただきました。

 

Q どうしてiPad APPで開発をしようと思ったのですか?

 

S:   XCODEもObjectCもよくできていてね、iOSアプリを開発するのは比較的易しいものなんだ。それにiPhone iPad ipodも似たような性能だから、どのディバイスでも同じように機能するプログラミングができるのが良かった。それからApp Storeも使いやすい。

Androidでの開発も考えてはみたけど、いろいろな問題がありすぎてね。Androidのオーディオシステムがとても遅いことや、Androidにはいろいろな種類のディバイスがありすぎでね、アプリがどのディバイスでも同じように動作するのか確認するのは不可能だからね。

その点、アップルのiOS事業はすばらしいね。ディベロッパーの環境、ディストリビューション、ハードウェアもどれもすばらしい。

 

Q 完成形にはどのくらい近づいていますか?

 

S:  まだまだいろいろと残された課題があるのだけれど、まずバーション1.4のリリースを5月下旬から6月上旬を予定している。バージョン1.4では

  • バーチャルMIDIのサポート
  • レイテンシーの低減
  • ピッチディテクションの向上
  • プロセッサーへの負荷軽減など

バージョン1.4以降に予定していることは

  • AudioCopy機能をサポート
  • iTunesライブラリーからのオーディオの読み込み
  • MIDIファイルが作れるようになり、それをEmailで送信、別のアプリでも直接MIDI ファイルを読み込み可能に
  • レコーディングされたオーディオをアナライズして、MIDIノート情報を表示する機能

そしてもっと後の話になるけど、ポリフォニックのピッチ検知もできるようにしたいと思っている。弾いたコードがどのようなものか分かるようにね。
それから別のアプリの開発もしていて、AMCと同じようなアイデアで、(ヒューマン)ビートボックスをMIDIノートに変換するアプリなんだ。僕はドラムをたたくことはできないけど、ビートボックスだったらリズムを作れるからね。これをMIDIに変換してドラム音源に置き換えることができるようになるんだ。このアプリはこの1、2ヶ月で完成する予定さ。あとはゲームの開発にも携わっていて、これはこの夏には完成する予定なんだ。

 

いっかい Audio Midi Connect for iOS

Secret Base Design

App Storeにて¥450

 

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One Response to Audio Midi Connect for iOS ディベロッパーSecret Base Design Softwareへのインタビュー

  1. […] ただ、Webを検索していてブログサイト「いっかい」の開発者インタビュー記事を見つけたのですが、それによるとレイテンシーを30msec程度にまで縮めたいと言っています。なかなか難し […]

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