先週リリースになったばかりのコルグのiOSアプリ「Gadget」の新バージョン1.0.3 をさっそく試してみました。今回のバージョンアップで特に興味を持ったのは、MIDI機能の強化(MIDIコントローラを使ってガジェットのパラメーターをコントロールできるようになったことや、MIDIシンクの対応)そしてAbleton Live へのエクスポート機能の追加です。

 

MIDIコントローラを使ってガジェットのパラメーターを動かしてみる

今回のバージョンから、MIDIコントローラのノブやフェーダーを使ってガジェットシンセのパラメーターを動かしたり、ノブやフェーダーの動きをGadgetにオートメーショレコーディングすることもできるようになりました。特に昨今のエレクトロニック音楽ではこの機能は必要不可欠なものですよね。退屈なプリセットサウンドを動かしまくりましょう。

 

*設定

まず手持ちのMIDIキーボードNovation LaunchKey Miniを接続してみました。LaunchKeyMiniはiPadに対応するMIDIキーボードではありますが接続にはアップルのカメラコネクションキットが必要になります。

試しに「WOLFSBURG」のフィルターカットオフをLaunchKeyのノブを使っていじってみることにします。

まずはMIDIアサイン!(コントローラの各ノブにどのガジェットのパラメーターを割り当てるか設定をしなければなりません)

エディット画面の左下にあるFunctionボタンを押すとMIDI CC アサインの一覧が表示されます。フィルターカットオフは真ん中あたりに「Filter Cutoff ——cc#1 」と表示されているので、これをワンタッチします。するとこの部分が灰色に表示されます。

ここではLaunchKey の一番左のノブを使いたいので、このノブを回してみます。するとGadget では「Filter Cutoff ——cc#21 」という表示に変わり、LaunchKeyのノブへのアサインが完了したことを意味します。

キーボードを弾きながらこのノブを回してみると、フィルターカットオフを動かせることが確認できます。もちろん、パラメーターの動きをMIDIノートの上にオーバーダブすることも可能です。

録音が終わるとエディット画面にはパラメーターの動きがグラフィックで表示されています。エディット画面のパラメーター表示をさわることでパラメーター値をエディットすることもできます。しかしここで注意したいのは、クオンタイズの値が大きく設定されているとオートメーションカーブが大きく描かれてしまいます。逆にクオンタイズ値を小さく設定すれば緩やかなカーブを描くことができるようになります。

 

 

*使ってみて

LaunchKeysからの操作は快適。大きなレイテンシーを感じることなく操作することができます。 

LaunchKeyには8つのノブが付いているのですが、つまりは各ガジェットシンセに付き8つまでのパラメーターをアサインすることができるわけです。これだけの操作ができればかなりの満足です。

しかし、無理矢理なオートメーションを掛けたり、リバーブのようなエフェクターにオートメーションをかけると音はかなり粗雑になり、無理を感じるサウンドになってしまいます。そんな時にはGadgetの設定画面よりAudio LatencyをSaferにすることである程度の解決をすることになります。

 

 

DAWソフトウェアからGadgetをコントロールしてみる

まずは新機能であるMIDIシンクから試してみることにしました。MIDIシンク機能はGadgetがDAWソフトウェアや外部MIDI機器(ドラムマシンなど)とテンポ同期をする機能です。

ここではiConnect MIDI2 というMIDIインターフェイスを使ってMacBookとiPadを接続してみます。iConnect MIDI 2 はUSBケーブル一本でMIDI信号とデジタルオーディオ信号を受け渡しすることができる優秀なデバイスです。DAWソフトウェアはAbleton Live を使ってみます。

*設定

セッティング画面でMIDI Sync スイッチをExtもしくはAutoに設定すると、Gadgetはスレーブとなります。

Ableton LiveではMIDI設定の画面でMIDIインターフェイス(ここではiConnect MIDI2 USB)のアウトプットの同期にチェックを入れます。

すると、Ableton Live をスタートするとガジェットも同時にスタートし始め、Ableton Live とおなじ速度(BPM)でガジェットも動き始めます。Ableton Live で急激にテンポを変えてもガジェットはそのテンポに追従してくれます。

 

*使ってみて

Gadgetと他のMIDI機器を一緒に使って音楽作りを行なう際にはとても便利な機能です。特に大きなレイテンシーも感じないで作業を行なうことができました。

しかし問題は、Gadget のMIDI Sync スイッチをExtもしくはAuto に設定すると、ガジェットでシーンを選択することができなくなってしまうところです。次のアップデートで改良してもらいたい部分です。

 

 

 

 

Ableton Live へのエクスポート機能 

 Gadgetで制作した各クリップがオーディオファイルに変換され、Ableton Live のプロジェクトファイルとしてエクスポートできるという機能です。

*設定

まずはGadgetで作った曲を保存します。

ヘッダーのファイルボタンを押し、エクスポートを選択します。ここでAbleton Live Project を選択します。エクスポートに方法は2種類(iTunes経由もしくはDropbox経由)が用意されており、どちらかを選択するとオーディオファイルの書き出しが開始されます。

 

エクスポートにiTunesを経由する場合にはコンピュータとiPadをケーブルで接続します。コンピュータ側のiTunesを開くと「App>ファイル共有」にエクスポートされたフォルダーを見つけることができます。このフォルダーをコンピュータのファインダーにドラック&ドロップするとコピーが完了します。

 

DropBoxを使う場合はケーブルを必要としないのでもっと便利ですが、初めてDropBoxを利用する際にはアカウントの取得(無償)が必要となります。Gadget のエクスポートでDropbox を選択するとプロジェクトファイルが自動的にアップロードされます。コンピューターのウェブブラウザーからDropBoxにアクセスするとアップロードされたフォルダーを確認することができ、これをダウンロードすることができます。

ダウンロードしたフォルダーの中にはAbeton Liveのプロジェクトファイル(.als)があるので、これを開いてみます。

すると、、、、Ableton Live のセッションビューには ガジェットで作ったクリップが同様の配置で並べられているのです!

 

*使ってみて

Gadgetで曲作りのデッサンをして、Ableton Live にプロジェクトを移動してからさらに曲作りを続けることができるようになるわけです。ガジェットをこれまで以上に積極的に使うことができるようになるナイスな新機能ですね。

なお、Gadget からAbleton Liteバージョンを無償ダウンロードすることができるので、Ableton Liveを持っていない人はぜひ試してみてください。

Ableton Live 以外のDAWソフトウェアを使っている人のためには、Gadgetの各トラックをオーディオファイルとしてエクスポートできる機能も付いています。

 

 

 

Gadget 1.0.3 について

かなり大規模なバージョンアップとなったGadget 1.0.3 。ここでは解説しませんでしたが新しい二つのガジェット(Bilbao(ビルバオ) とAbu Dhabi(アブダビ)が追加され、これによってガジェットのドラム音源が充実しました。

iPadのアプリを使って曲作りのデッサンをして、コンピューターのDAWソフトウェアにエクスポートしてから作業を続けるというスタイルはCubase+Cubasis 、Garageband、iMaschine+Maschine などですでにおこなわれていることですが、コルグ がAbleton とタッグを組んだことは、両ソフトウェアのユーザーとしては嬉しい限りです。DropBox を使ったエクスポートはとても円滑で、面倒臭さを全く感じることなく作業を進めることができます。

となったのならば、Gadget にはもっとAbleton Live との密接な統合をしてもらいたいというのが個人的な願いです。Ableton Live からGadgetのすべてのトラックを同時にMIDIコントロールできるようになったり、シーンナンバーをコントロールできるようになったら面白いように思うのですが、、どうでしょうか?

今後のバージョンアップにますます期待が持てそうなコルグのGadgetバージョン1.0.3でした。

 

 KORG GADGET

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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