曲を作っていると、

「あとちょっと雰囲気を足したい…」「良いキックが見つからない…」

そんな場面、ありませんか?

そんなときに頼れるのが、世界中の音楽クリエイターが使っているサンプル配信サービス「Splice(スプライス)」です。https://splice.com/home

ジャンルも楽器もムードも幅広く、Spliceのライブラリには数百万点以上のループやワンショット、プリセット、MIDIが常に更新されながら提供されています。取り扱っているジャンルはざっとこんな感じ。(画像下)すごいですね。今ではK-popなんてジャンルも入っています。

 

 

このSpliceを運営するのは、アメリカ・ニューヨーク発の音楽テクノロジー企業。

2013年の創業以来、サブスクリプション型のサンプル提供や、プラグインを月額で使える「Rent-to-Own」モデルなどをいち早く導入し、音楽制作のあり方を変えてきました。

さらに2024年には、イギリスのオーケストラ音源メーカー「Spitfire Audio」を買収。

プロ向けの高品質サウンドと、AIによるループ提案のような新しい制作体験が融合し、

Spliceは“サンプルサイト”の枠を超えて、総合的な音楽制作プラットフォームへと進化しつつあります。

この記事では、そんな2025年のSpliceについて、

「どんなことができるのか?」「何が新しくなったのか?」を紹介していきます。

 

Spliceとは何か

 

Spliceは、音楽制作に必要なループ、ドラムワンショット、メロディ、MIDIファイル、プリセットなどをクラウド経由で配信しているサービスです。最大の特徴は、これらをクレジット制のサブスクリプションで自由にダウンロードできる点です。

一つのループやサウンドが1クレジット、MIDI ファイルや音源プリセットが1から3クレジット必要です。

主な特徴は以下の通りです。

  • 月額プランに応じてクレジットが付与される(翌月繰り越しも可能)

  • ジャンル、楽器、テンポ、キーなどで詳細に検索可能

  • サンプルはすべてロイヤリティフリー

  • MIDIファイルやソフト音源プリセットにも対応

  • モバイルアプリとの連携がスムーズ

さらに、「Rent-to-Own」では、有名ソフトシンセやプラグインを月額払いで利用しながら、最終的に自分のものとして所有することができるサービスです。

 


2025年版の主な変更点と新機能

 

デスクトップアプリの刷新

Spliceのデスクトップアプリは2025年のアップデートで、UIの改良と軽量化が進み、検索や読み込みの速度が向上しました。DAWとの連携もよりシームレスになり、ドラッグ&ドロップでの貼り付けがさらに快適になっています。

検索とレコメンド機能の向上

トレンドタグ(#cinematic #phonk など)の拡充、類似サンプルの自動提案機能、ユーザー履歴に基づいた推薦などが強化され、「思っていた通りの音」が見つけやすくなりました。

Createモード(旧CoSo)とスマホ連携

モバイルアプリに搭載された「Createモード」は、AIが自動でループを生成してくれる機能です。好きなジャンルやムードを選ぶだけで、相性の良い素材を組み合わせたループを構築してくれます。

このモードは以前「CoSo」という別アプリでしたが、現在はSpliceアプリに統合されています。モバイルで作ったアイデアは、クラウド経由でPCに即反映されるため、「外で作って、家で仕上げる」といった制作フローがスムーズに実現できます。

 

 


 

料金プラン(2025年6月時点)

【Sounds+】

・月額:$12.99

・毎月100クレジット付与

・サンプルやMIDI、プリセットのダウンロードが可能

【Creator】

・月額:$19.99

・毎月200クレジット付与

・Sounds+の内容に加え、AstraシンセやBeatmakerなどのツールも利用可能

【Creator+】

・月額:$39.99

・毎月500クレジット付与

・大量のサンプル使用や本格的な制作環境向け

※クレジットは未使用分を翌月に繰り越し可能(サブスクリプション継続中に限る)

※基本的にサンプル1つにつき1クレジットを消費します

 


Rent-to-Own対応プラグイン一覧(2025年6月時点)

 

有名ソフトシンセやプラグインを月額払いで利用しながら、最終的に自分のものとして所有することができるサービスです。多くの製品で無料トライアル(通常3日間)があるのも嬉しいです。

ソフトシンセ(シンセサイザー)

  • Serum 2(Xfer Records)

    月額 $9.99、25ヶ月で買い切り可能

    ウェーブテーブルシンセの定番

  • Pigments 6(Arturia)

    月額 $9.99、25ヶ月で買い切り可能

    多機能なハイブリッドシンセ

  • Massive X(Native Instruments)

    月額 $9.99、25ヶ月で買い切り可能

    EDM向けの高出力シンセ

  • Current(Minimal Audio)

    月額 $9.99、20ヶ月で買い切り可能

    モダンなUIと多彩な合成方式を融合

  • Phase Plant(Kilohearts)

    月額 $9.99、25ヶ月で買い切り可能

    モジュラー式の柔軟なシンセサイザー

  • KORG Collection 5(KORG)

    月額 $14.99、24ヶ月で買い切り可能

    KORGの名機をソフトウェア化したバンドル

エフェクト&マスタリング

  • RC-20 Retro Color(XLN Audio)

    月額 $4.99、12ヶ月で買い切り可能

    ヴィンテージ風の質感を加えるエフェクト

  • Ozone 11 Advanced + Neutron 4(iZotope)

    月額 $19.99、24ヶ月で買い切り可能

    マスタリングとミキシングの統合バンドル

  • FX Collection 5(Arturia)

    月額 $14.99、24ヶ月で買い切り可能

    多彩なエフェクトを収録したバンドル

  • Transit 2(Baby Audio)

    月額 $9.99、20ヶ月で買い切り可能

    トランジションエフェクトに特化したツール

  • Humanoid(Baby Audio)

    月額 $9.99、20ヶ月で買い切り可能

    ボーカルエフェクトに特化したプラグイン

  • Flux Effect Bundle(Minimal Audio)

    月額 $9.99、20ヶ月で買い切り可能

    多彩なエフェクトを収録したバンドル

ボーカル処理

  • Nectar 4 Advanced(iZotope)

    月額 $14.99、24ヶ月で買い切り可能

    ボーカルミキシングに特化したプラグイン

  • RePitch Standard(LANDR)

    月額 $9.99、20ヶ月で買い切り可能

    ピッチ補正とボーカル編集ツール

DAWソフトウェア

  • Cubase Pro 14(Steinberg)

    月額 $24.99、24ヶ月で買い切り可能

    プロフェッショナル向けのDAW

  • Bitwig Studio(Bitwig)

    月額 $14.99、24ヶ月で買い切り可能

    モジュラー環境を備えたDAW

その他

  • V Collection 11 Pro(Arturia)

    月額 $24.99、24ヶ月で買い切り可能

    ビンテージ音源満載のArturia製バンドル

  • LANDR Mastering Plugin(LANDR)

    月額 $19.95、15ヶ月で買い切り可能

    自動マスタリングツール

詳細や最新情報は、Spliceの公式ウェブサイトをご確認ください。

 


SpliceからDAWにサンプルを貼り付ける手順

 

SpliceのサンプルをDAWに取り込むには、まず専用アプリのインストールが必要です。

Spliceアプリのダウンロード方法

【パソコン(Mac / Windows)で使う場合】

【スマホやタブレットで使う場合】

スマホアプリでは「Createモード」でAIループ生成ができたり、お気に入りのサウンドをブックマークして、あとでPCに同期して使うといった使い方ができます。

 

サンプル貼り付け手順

  1. Spliceアプリを起動し、ジャンルやキーワードでサンプルを検索
  2. 気になる素材を試聴し、必要ならブックマーク❤️をつける
  3. 必要に応じてDAWにSplice Bridgeを挿入(テンポ同期しながらループの確認ができる)(下画像1)
  4. 使いたいサンプルが決まったら、右側に表示される「+1 Credit」ボタンをクリックしてライブラリに追加(クレジットが1つ消費されます)(下画像2)
  5. ライブラリに追加されたサンプルをそのままドラッグ&ドロップでDAWに貼り付け
  6. あとは自由に、タイムストレッチやピッチ調整で楽曲にフィットさせる

(画像1)Ableton LiveのMIDIトラックにSplice Bridgeを挿入する。Spliceアプリとテンポ同期しながら再生してくれるので、製作中の曲にマッチするか確認できる

 

(画像2)欲しいサンプルが見つかったら+(1credit)マークをクリックしよう。

 

 

(画像3)購入したサンプルをドラック&ドロップでDAW にコピーすることができる

 


Spliceをもっと活用するためのコツとアイデア

 

タグとフィルターで「使える音」にすばやく辿り着く

Spliceでは、ジャンルや楽器、BPM、キー、ムードなどの詳細フィルターを活用することで、目的に合ったサウンドを素早く見つけることができます。

AIの力を借りて発想をブーストする

Createモードでは、AIが自動で素材を組み合わせてループを作成。普段使わないジャンルを選ぶと新しい発見が得られることもあります。

Bridgeプラグインでリアルタイム試聴とテンポ同期

DAWにBridgeプラグインを挿入すると、Spliceアプリ上のサンプルがDAWのテンポと同期して再生されます。曲との相性を事前に確認できる便利なツールです。

ブックマークとラベルで“音ネタフォルダ”を整理

気になったサンプルは❤️ブックマーク機能で保存。ラベル(タグ)を活用すれば、プロジェクトや用途ごとに整理できます。

AstraやBeatmakerなど、Splice内のツールも積極的に使う

Creatorプラン以上では、AstraシンセやBeatmakerといった制作ツールも利用可能。サンプルと組み合わせてその場でアイデアを形にできます。

 


Spliceが向いている人・向いていない人

 

向いている人

  • 音ネタを効率的に探したい人
  • サンプルやMIDIを活用してアイデアを広げたい人
  • プラグインを試しながら段階的に購入したい人
  • モバイルとPCの両方で制作したい人

向いていない人

  • 完全オリジナル音源にこだわる人
  • オフラインでの制作が中心の人
  • サブスクリプションに抵抗がある人

 


Spliceで自作サウンドを販売するには?

Spliceで自分の作ったサウンド(サンプル、プリセット、MIDIなど)を販売したい場合は、Spliceと”公式アーティスト”や”レーベル”として契約する必要があります。これは誰でも自由にアップロードして販売できる仕組みではなく、キュレーション(選定)方式が取られています。

 

方法1:Spliceと提携(アーティストまたはレーベル)

  • 過去の作品やポートフォリオを提示し、Spliceへ申請を行います。
  • 一定の制作スキルや音質が求められます。
  • サンプルパック単位での納品が基本となります。

申請はSplice公式サイトのコンタクトフォーム(https://splice.com/contact)から行うか、SNSなどでアプローチすることが一般的です。

 

方法2:独自レーベルを立ち上げてパートナー登録

  • 制作チームやサンプルスタジオ単位で継続的にパックを提供したい場合に有効です。
  • Splice上に専用のレーベルページが開設され、シリーズ的に展開することも可能です。

 

方法3:他のマーケットプレイスも視野に入れる

Spliceとの提携が難しい場合は、以下のようなマーケットも候補になります。

  • Bandcamp(自由販売・サンプルOK)
  • Gumroad(個人クリエイター向けの販売サイト)
  • ADSR Sounds、Loopmastersなど(申請制)

 

まとめ:まずはポートフォリオを整える

  • サンプルパックの仮制作(フォルダ構成、WAV整理、タグ付け)
  • SoundCloudやBandcampで自身の音源を公開
  • Splice以外の経路も活用しながら、実績とスキルを積み上げていく

 


最後に

Spliceは、サンプル配信やAIループ生成にとどまらず、音楽制作に必要な音源・ツール・インスピレーションをワンパッケージで提供する、現代の音楽クリエイターにとって非常に頼もしいプラットフォームです。

ループやワンショットをすばやく探して取り込む「素材探しの効率化」はもちろん、CreateモードやBridgeなどのAI・連携機能により、制作の発想力とスピードの両方を高めてくれる環境が整っています。

さらに、サンプルを使う側としてだけでなく、自分で作った音源をSpliceを通じて販売するという“発信者側”のチャンスも広がっています。一定のスキルと実績があれば、Splice公認アーティストやレーベルとして登録し、世界中のクリエイターに自分の音を届けることも可能です。

音楽制作のスタイルが多様化し、必要なツールも細分化してきた今、Spliceのような柔軟性と拡張性のあるサービスは、これからも強い味方となってくれるはずです。

まずは7日間の無料体験から、自分のスタイルに合っているか試してみてはいかがでしょうか。制作する人も、発信する人も、Spliceは2025年現在、まだまだ“使える”ツールです。

 

 

Splice

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