昨年末に京都で行われた展示会「Sync for Japan」の模様。会場に置かれた35台のiPadには元クラフトワークのKarl Baltos氏と赤松正行氏によって作られたアプリケーションMinicomposerが起動してある。35台のiPadはWi-Fi接続により同期演奏が行われている。会場に訪れた人々はそのiPadを実際に操作することができ、またiPhoneやiPadを持ち込みその場でアプリケーションをダウンロードし同期演奏に参加することもできるという内容のもだった。
「同期Sync」という言葉はこのブログ内では頻出単語となっています。たとえばBluetooth機能を使ったWistテクノロジーはiOSアプリケーション同士の同期演奏を可能にするもの。CoreMIDIはMacコンピューターとiPad/iPhoneのネットワークでのMIDI接続を可能にするもの。どちらもまだ完璧な機能とは言いがたいのですが、もっとも興味深いテクノロジーの一つ。そして先日のNAMM2012では古いアナログシンセサイザーとの同期を可能にするDIN CV/Gate付きの新しいマシンの登場が大きな話題になったのも記憶にあたらしいところ。どうしてか?? やはり音楽は一人で演奏するよりも大勢の人と演奏する方が楽しいという動物的な本能だったりするのかもしれませんね。いや、ただ単にいろいろな音を出せた方が楽しいからなのかも。
この展示会は「同期Sync」という概念を芸術レベルに持って行こうとしているひとつの作品。今の時代だからこそとても意味の深いもののように感じられます。
展覧会の概要】
SyncとはSynchronizationの略語で、複数の動作が揃って同期するという意味です。この展覧会では数多くの音楽と映像が同期します が、それらは完全ではなく、僅かにズレたり、反応しないこともあります。一糸乱れぬ完璧さを追求するのではなく、個々の差異とともに総体として立ち現れる 世界を垣間見ることが、この展覧会の意図のひとつです。
多くの事物が、あるいは多くの人々が集まる時、そこに混乱が生じることもあれば、統一が生じることもあります。誰かが号令を掛ける場合も、自発的な 動きが生じる場合もあります。集団的な行動は強力である一方、時には負荷が大きくなるかもしれません。社会的な存在である私たちを電子ネットワークが加速 する今日の姿を、展覧会は映し出そうとします。