1981年、当時はまだ技術的にシンセサイザーでコードを弾くことが難しかった時代。MIDIもまだあったかなかったか微妙な時代です。そんな中でコルグが発売したPolysixは、6音ボイスの和音を弾くことのできたポリフォニック、しかも32個の音色を記憶することができたという、当時としてはかなり斬新な技術が詰め込まれたシンセサイザーだったわけです。その奥行きのあるサウンドは今聞いてもとても新鮮なもので、中古市場では今なお根強い人気を持つビンテージマシン。
本日発売になったiPolysix for iPadはそんなPolysixを再現したアプリ。すでにPolysixはプラグインシンセサイザーLegacy CollectionやPropellerhead Reason のRack Extentensionとして再現されてきてはいますが、iPadバージョンであるiPolysixにはPolysix2台・ドラムマシン・シーケンサー・ミキサー・カオスパッドが装備され、ひとつのアプリで楽曲の制作から楽曲の公開までできるワークステーション型Polysixに生まれ変わっています。
現代の技術を持って80年代にタイムトリップできるような、そんな素敵なアプリ、ちょっと詳しく中を見てみようと思います。
シンセサイザー
iPolysixには2台のシンセサイザーが搭載されています。6つのボイスを同時に発音し音に厚みをつけることができるUNISON モード、任意に押さえたコードを記憶し、指一本でコードを演奏することができるCHORD モード、指一本で分散和音を演奏することができるARPEGGIATOR はオリジナルPolysixと同様の機能。オリジナルPolysixを知っている人ならちょっと嬉しくなる機能かもしれません。
各パラメーターはオートメーションが可能。リアルタイムにツマミを動かしレコーディングすることや、オートメーションエディターでその内容をエディットすることができます。
エフェクター部ではオリジナルPolysixのChorus/Phase/Ensembleがシュミレートされているのに加え、あらたに25種類のエフェクターが装備されています。
それぞれのシンセサイザーはシーケンサー・キーボード・カオスパッドを使い演奏をすることができる。カオスパッドはご存知コルグが発明した名楽器。和音演奏にも対応したiPolysixのカオスパッドでは、右側のパッドでフレーズを演奏し、左側のパッドでエフェクターを操作することやシンセのパラメーターをいじることができ、両手を使った演奏を楽しむことができます。
ポリフォニック・ステップ・シーケンサー Polyseq
アナログシーケンサー「SQ-10」を彷彿させるデザイン。操作はやや大変なのですが、ポリフォニックのシーケンサーというところが面白いところ。シーケンスを逆再生することや、ランダムに再生することのできるユニークなシーケンスモードも用意されており、キーボードでは作ることのできない意外性のあるフレーズを作れたりすることもあります。
ドラムマシン Drum-6
全6パート、64ステップのドラムマシン。iPolysixのシンセパラメータを使い、音色を新しく作ることやエディットをすることもできます。またEdit Mode>>SEQではそれぞれのパートに音程を付けることもできるので、ドラムサウンド以外のシンセサウンドをならしてみるのも楽しいでしょう。
ミキサー Mixer-8
「KMX-8」をモチーフの開発されたというミキサー部にはUVメーターもついた8チャンネルのミキサー。マスターエフェクターとして28種類のエフェクターの中からのひとつを選択できる。
パターン
iPolysixでは1ソングにつき32のパターンを作ることができる。Swingやテンポの設定もここですることができる。
ソング
パターンを自動的に変更させ、トラックを完成させるためのソング機能。最大で100小節までのトラックを作ることができる。
エクスポート・シェアリング
作ったトラックはWAVフォーマットの16bit/44.1khzでのレンダリングができる。オーディオデータを共有することができるAudio/Copy機能、2台のiPadで同期演奏をすることができるWist機能も装備している。SoundCloudのiPolysixユーザーページにダイレクトにアクセスできるPolyshareでは楽曲の公開やシェアができ、世界中のiPolysixユーザーとの音楽的コミュニケーションが期待できます。
はたしてKorgがAudioBusに参加するのかどうかは非常に気になるところです。
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