先週Steinbergが発表したCubase iC Air。これはSteinberg Cubase 7 もしくはCubase 7 artist をハンドジェスチャーでコントロールできるようになるアドオン・ソフトで、Steinbergの英語もしくはドイツ語サイトより無償ダウンロードすることができるものです(日本語サイトにはない!)。ハンドジェスチャーを読み取るにはThe Leap Motion ControllerもしくはIntel perceptual technology SDK 2013を実装したデプス・カメラが必要で、今のところこれをサポートするカメラは Creative LabsのCreative Senz3Dだけのようです。
以上これだけのものを用意すればCubase ユーザーは「オーケストラの指揮者」のようなコントロールをすることができるようになるとのことですが、Cubase+Leap Motion/IntelのコラボレーションCubase iC Air とは果たしてどのようなものなのでしょうか?
Cubase iC Air ビデオデモ
ソフトウェアをインストールした後、Cubase 7でディバイス設定を行うとCubase iC Airは画面に表示され、さっそく手の動きがビジュアル付きでフィードバックされます。
Cubase iC Airにはプリセットコマンドが用意されており、ジェスチャーだけで[スタート・ストップ・早送り・巻き戻し・トラックリストの選択・トランスポートシャトル・シーケンサーのズームイン/アウト]の操作を行うことができるようになります。
Cubase をハンドジェスチャーでコントロール!
ディバイス(今筆者はLeap Motionを使っているのですが)からおよそ30cm以内の範囲内で親指・人差し指・小指をたてることでCubaseのトランスポートが「スタート」し、5本指もしくは4本指を立てるとトランスポートが「ストップ」します。これはすぐに覚えられるジェスチャーです。
「先送り」は人差し指で時計回しで弧を書くジェスチャー、「巻き戻し」は反時計回しで弧を書くジェスチャーを使います。だいたい直径6cmほどの円を書くようなイメージです。これもすぐに覚えられるジェスチャーです。
手を左右にスワイプもしくは上下にスワイプすることで「トラックリストを上下」させることができます。
ジョグホイールのような操作「トランスポート・シャトル」を行うには複合ジェスチャーを使います。親指と小指をたて「シャトルモード」を起動してから5本指を左右に振ります。
唯一両手を使うジェスチャーは「シーケンサーのズームイン・ズームアウト」コマンドです。
アドバンス・セッティング
settingスイッチを押すとAl Knobが表示され、ユーザーはここにCubaseのパラメーターもしくはVST 2.4 / 3のプラグインパラメーターをアサインすることができます。手を上下に動かすジェスチャーでこのノブを動かすことができ、たとえばボリュームフェーダーのようなものをアサインすれば面白いオートメーションが描けます。セッティングできるパラメーターはいまのところ一つだけです。
使ってみて・・
「オーケストラの指揮者」というにはまだまだ無理があるようですが、ジェスチャーで「トランスポート」をコントロールすることができるのはとても便利です。プラグインのパラメーターを右手で操作している最中に左手でジェスチャーを使えばをシーケンサーを走らせたり止まらせたりすることができます。
Intelのデプスカメラは試していないので分かりませんが、Leap Motionの場合USBケーブルが数メートルあるので、その範囲以内であればCubase 7 を遠隔操作することができ、コンピューターからちょっと離れた場所に置いてある楽器を演奏するときにジェスチャーでシーケンサーを走らせることができるのは便利です。
Al Knobにアサインできるパラメーターが1種類だけなのは残念です。このノブにBPMカウンターをアサインしスピードコントロールをしようとすると動きが悪くなってしまい、急激なテンポチェンジしか行えません。残念。
ジェスチャー自体はシンプルなものなのですぐに覚えることができ、筆者が使ったLeap Motionの反応も良好でした。
「シーケンサーのズームイン・ズームアウト」には両手を使うジェスチャーが必要ですが、大概の人はDAWソフトウェアを使っている最中、右手はマウスに置いているわけで、これだけの操作をするために両手を使うのはやや億劫に感じてしまうのではないでしょうか?
ジェスチャーコントロールはまだ始まったばかりの音楽表現。もっと新しいジェスチャーが加えられたCubase iC Airのバージョンアップを期待します。
Cubaseのような人気DAWソフトウェアがLeap MotionやIntelのディベロッパーと手を組んだことはとても興味深いことで、今後Cubaseが他のDAWソフトウェアとどのような差異をつけて行くのかが楽しみなところです。