ここ数年のエレクトロニックミュージック特にダブステップやEDMと言われているようなジャンルはグルーブパターンやサウンドがとても複雑で、それらのサウンドを1から真似てみようとすると時間的も技術的にもシンドイものがあります。多くのミュージシャンがそれらのジャンルに特化したサンプルライブラリーを使い時間の節約を試みているのもある意味納得できます。しかしここに目をつけたのがiZotopeの Break Tweaker。今旬であるサウンドを簡単に作ることのできるドラムマシンなのです!NAMM 2014でも話題になった新製品。

 

 

 

ステップシーケンサー

Break Tweakerは6つのトラックを使いグルーブパターンを作っていくドラムマシンで、1つのパターンは2小節までの長さ、合計で24のパターンを作ることができます。各パターンはMIDIキーボードを押さえることによってトリガーされ、たとえばパターン1を再生したい場合にはC2のキー、パターン2を再生したい場合にはC♯2のキーを押さえます。MIDIキーボードを演奏するような感覚でパターン番号を変えていくことができるのがとてもエキサイティングです。

Break Tweakerはでパターンを作る方法はとても簡単です。シングルクリックでステップの書き込みを行え、ダブルクリックでスッテプの消去を行えます。また、ステップをクリックしたあとで縦方向にドラッグをするとベロシティの調節、横方向にドラッグするとノートのレングスを調節することができます。

特に面白いのは、各トラックの再生スピードを変えたり、再生範囲を指定できる機能が付いているところです。単調なパターンに変化を付けることができたり、思いがけないナイスなパターンを発見することができます。

6トラックのステップシーケンサー トラックスピードやトラックレングスを変えることもできる

 

サウンドジェネレーター

各トラックには3つのサウンドジェネレーターが装備されているので、サンプル音源とシンセ音源を混ぜ合わせレイヤーを作るようなことも可能です。

Break Tweakerには2GBのサンプル音源が付属し、ドラム音源以外にもシンセ音源が含まれ、エレクトロニック音楽のトレンドを意識した旬なサウンドを使うことができます。また、ユーザーが持っているサンプル音源をロードすることも可能です。サンプラーとしてはごくシンプルなものですが、LFOやエンベロープを使い、サウンドに動きを付けることができるのが面白いです。

サンプル音源だけでなくシンセエンジンも内蔵しているのが  Break Tweaker の特徴でもあります。各トラックでは3つのシンセジェネレーターを使うことができ、しかも各ジェネレーターには2つのオシレーターが装備されているので、合計で6つの波形を混ぜ合わせ、モーフィング、モジュレートしていくことが可能になります。操作は至ってシンプル、しかもパワフル。

 

サンプルジェネレーター 

シンセジェネレーター

 

MicroEdit

この Break Tweaker のハイライトと言ってもいいのが  MicroEdit  と呼ばれる機能です。これはシーケンサーに入力した各ステップをさらに細かくコントロールすることができるもので、特にダブステップやEDMなどの音楽でよく聞くことのある32ndや64thのような細かいノートを連打する書き込みをしたい場合にはとても便利です。

たとえば「♩」のような書き込みをしてあるステップに  MicroEdit  の  Amount  パラメーターを回すだけで「♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪」というような細かな発音をしてくれたり、Slope  というパラメーターを回すと「♪♪♪♪♪♪♪♪~♪~♪~~~♪~~~~」というような徐々に連打するスピードが変わっていくような効果も簡単に作ることができます。さらに Gate パラメーターを使ったり、ピッチ、エフェクターを使うことによってより複雑トリッキーなパターンを作れることになります。

また   Micro Edit Window  にはグラフィックで表示がされるので、どのようなパターンを作っているのか目で確認できるのも親切です。ランダムボタンを押せばランダムにパターンが生成され、プレビューボタンを押せばエディットしている部分だけを再生してくれるのも便利です。

 

MicroEdit  Amoutを16に設定すると1つのノートが16分割される

MicroEdit  Slope Tensionパラメーターを回すとスピードが徐々に変化する分割をする

 

マルチアウトプット

Beat Tweakerにはマルチアウトプット機能が付いているので、各トラックをDAWソフトウェアにパラアウトすることができます。Break Tweakerにはコンプレッサーやリバーブ・ディレイなどのエフェクターが付いていないので、DAWソフトウェア上でエフェクターをかけることや、オートメーションを組むことが簡単にできます。設定も簡単。画面右側のOUT PUTで出力先を選ぶだけです。

マルチアウトプット

Ableton Liveを使ったマルチアウトプット設定 BreakTweakerの6つのトラックがパラアウトされる

 

まとめ

Break Tweakerはステップシーケンサーを使ってサンプル音源とシンセサイザー音源を鳴らしていくソフトウェアです。特にMicro Edit機能がこのソフトウェアの醍醐味で、これまでDAWソフトウェアのシーケンサーでコピーを繰り返したり、BeatRepeatのようなエフェクターを駆使して作っていたグリッチ系サウンドや複雑なパターンでも、この機能を使えば一瞬にして作れてしまいます。今までに聞いたことのない過激なパターンを作り出すことも可能かもしれません。

特にダブステップやEDMのようなエレクトロニック音楽を作っている人にはお勧めです。複雑なドラムパターンやシンセエディットも簡単に作れ、ワークフローが断然向上します。

操作方法はとても簡単なのでビギナーの人でも楽しめるでしょう。ドラムマシンフリークの人でも新鮮な楽しみを味わえるように感じます。

ややCPUを圧迫するのが難点ではあります。

Break Tweakerの通常価格は$249、今なら$199

BeatPortプロデュースによる3つの拡張音源(Cinematic Textures、Vintage Machines、Kicks & Snares)が付属したBreak Tweaker Expanded の通常価格は$299、今なら$249

 

動作要件

Windows: 32/64 bit (XP, 7, 8)

Mac: OS X 10.6.8 or later (Intel-based Macs only)

AAX (Pro Tools 11), RTAS (Pro Tools 7.4-10), VST and VST 3, Audio Unit

 

iZotope

 

 

 

 

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