Ableton Live を操作するためのコントローラというと、やはり今のところはAbleton PUSH が抜きん出ている様子ではりますが、実はAbleton PUSHが発売されるもっと前(2010年〜)から同じような発想のコントロール方法を考えていた人たちがいたのです。

 

MIDI リモートスクリプト

通常MIDIコントローラをコンピューターにつなげた場合、たとえ ばこのツマミはどのディバイスに対してどういう動き方をするかなど設定をしなくてはなりません。しかしユーザーがこの厄介な設定をしなくてもいいように各 コントローラメーカーはMIDIリモートスクリプトというファイルを付属し、これをDAWソフトウェアにインストールすることによって、買ったその日から コントローラを使えるような配慮がされています。

例えば、Novation のLaunchPad(上の画像)ですが、NovationのMIDIリモートスクリプトには、ミキサーの操作やクリップのローンチなど、Ableton Liveをごく普通にコントロールするためのスクリプトが用意されています。

 

NativeKontrol 

NativeKONTROL はAbleton Live のためのMIDIリモートスクリプトを販売しているインディーメーカーで、これまでにサポートしてきたMIDIコントローラは以下の通り。新しいMIDIリモートスクリプトを使うことによって、これまでと違う方法でコントローラを使うことが出来るようになるのです。

  • AKAI APC20, APC40, MPC32, MPK61, MPK88, MPK mini
  • Behringer BCR2000
  • Korg nanoKONTROL, nanoKONTROL2, nanoPAD, padKONTRO
  • Livid instruments  Block,  Code, Ohm 64, Ohm RGB
  • Native Instruments Maschine Mk2
  • Novation  LaunchPad Classic/S/mini

 

 

NativeKONTROL LPC-Live

LPC-Live MIDIリモートスクリプトをインストールすると、LaunchPadの機能は大きく広がります。部屋の片隅で眠っていたLaunchPad ( 初代のLaunchPadもサポート)が息を吹き返すかのよう。

LPC-Live には7つのモードがあります。

  1. TRACK(ミキサーコンコントロール:各トラックのボリューム・パン・センドレベルA~F)
  2. DEVICE(ディバイスコントロール:エフェクターやプラグインシンセのパラメーターコントロール)
  3. CLIP(MIDIクリップとオーディオクリップのループ方法を操作)
  4. DRUM(DrumTrack専用のコントロール、ドラムシーケンサー)
  5. SCALE(様々なスケールを使いパッド演奏を行うことができる)
  6. LEARN(4声までの和音を記憶させ演奏を行うことができる)
  7. MONOSEQ(ステップシーケンサー)

LPC-Liveモードに入るにはLaunchPadのUser 1ボタンを2回繰り返して押し、各モードを選択するにはUser2ボタンを押しながら右端にならんでいる丸ボタンを押します。LPC-Liveモードを解除したい場合にはUser2ボタンを押しながら右下の丸ボタン(ARM)を押します。LPCモードを解除すると、これまでのLaunchPadの機能に戻ります。

左の画像はLPC-Live モードセレクトのページ。

メトロノームのオンオフ(METRO)、レコーディング、クオンタイズのオンオフ、レコードアーム、CUE音量。

左下のスイッチはブラウザーのオープン、クリップモードとアレンジモードの切り替え、ブラウザーからクリップのロード

クリップの再生方法の設定、ピッチ、ループの設定など。

 

 

 

個人的に気に入っているモードは3.CLIPモード  4.DRUMモード  5.SCALEモードです。この3つのモードを詳しく紹介してみましょう。

 

CLIP MODE

クリップモードではオーディオクリップやMIDIクリップが自動的にスライスされ、Launchpadをたたくことによって各スライスをトリガーすることができる、いわゆるグリッド演奏が可能になるものです。

クリップモードには16分割モード、32分割モード、ピッチコントロールも可能なクロマティックモードの3種類があります。

左の画像は16分割(CHOP 16 PADS)の見取り図ですが、下半分(緑色になっている部分)を叩いてスライスを演奏することができます。

これが32分割(CHOP 32 PADS)になると36個のグリッドを使って演奏することができます。クロマティックモードではピッチをコントロールをつかった演奏を行うことが出来ます。

右端の丸ボタンを使ってクオンタイズ値を選択できます。

Traktor DJ (iOS )のFreeze Modeにも似た機能で、かなり白熱した演奏を楽しめます。

 

 

DRUM MODE

ドラムモードはLive のDrumRackにフォーカスをしたモードです。LaunchPadをドラムパッドとして演奏することができる機能ですが、個人的に気に入っているのはドラムシーケンサーモードです。

ドラムシーケンサーモードでは、左下(DRUM PADS/NOTE SELECT)で打ち込みたいドラムサウンドの選択をし、右下(STEP INPUT)の部分にシーケンスステップを打ち込んでいきます。

Ableton PUSHでもほとんど同じドラムシーケンサー機能がついていますよね。しかしLaunchPadの弱点はベロシティーに対応していないところなので、各ステップのベロシティは右端の黄色い丸ボタンで、4段階までのおおまかなベロシティ値で乗り切ることになります。

とはいってもドラムシーケンサーはやはり便利です。

 

 

SCALE MODE

スケールモードではLaunchPad をキーボードのように演奏する事ができます。スケールモードでは16のパッドを使うPlay 16 モードと48のパッドを使うPlay 48モードの2種類が用意されています。スケールのルートとなる音は緑色に光り、それ以外は黄色に光っています。

Ableton PUSHもこれとほとんど同じ機能がついていますよね。

残念ながらやはりここでもベロシティには対応できないので、右端の丸いボタンを使ってベロシティレベルの調節をしていきます。

 

 

シフトスイッチを押すとスケールの種類を選択することが出来ます。スケールの種類は40種類。

下2列のグリッドでルートとなる音を選択することができます。

そして右下のプレビューボタンを押せば、選択したスケールを聞くことができます。

 

 

 

 

 

 

 

試してみて

Novation LaunchPad の可能性を存分に引き出すことに成功しているスクリプトで、LaunchPadがAbleton Liveを演奏するためのツールとして、そして曲作りの際の新しいアイデアを引き出すためのツールとして今まで以上に魅力的なコントローラとなります。

LaunchPadのハードウェアの特性として、ボリュームやフィルターの開け閉めのような、通常はノブやフェーダー操作をしたい部分に関してはあまり気持ちのいい操作をすることはできません。むしろその部分はiPhoneやiPadのようなタッチスクリーンを操作した方が今の時代では賢明なのでしょう。また、先にも触れたようにLaunchPad自体がベロシティに対応していないので、ピアノ演奏や生ドラム的な演奏を好む人には不向きでしょう。

しかし、このスクリプトには驚かされます。冒頭でも触れたように、2010年、まだPUSHが発売される前から売られているものだからです。また私自身の埃まみれになっていた初代のLaunchPadに息をふきかえしてくれたことにも感謝したくなります。

LaunchPadユーザーに人には3重丸でお勧めです。ちなみに価格は$32.50

個人的なリクエストではありますが、Swing機能やノートリピート機能があればより良かったかもしれません。

 

現在LPC-Live 登録ユーザーはLPC-Live 2 のベータバージョンのトライアルが可能。私はまだ試していませんが、新しい発見があったら報告します。それからNI Maschine mk2 コントローラを使ったMIDIスクリプトも試してみようと思っているので、その辺りの報告もまた後日。
ちなみに下のビデオはNativeKONTROL によるチュートリアルビデオなので、興味ある方は是非。(でもちょっと英語が早い上に情報量が多過ぎて聞き取りが大変なんです、、)

 

 

 

NativeKONTROL

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です