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ローランドのドラムマシンAira Tr-8 に80年代の伝説のドラムマシンTR-707とTR-727の音色を追加する拡張サウンド7X7-TR8がリリースされました。この拡張サウンドキットにはTR-707の全15音色、TR-727の全15音色、そしてTr-808/909からの新たな7音色が収録されています。

アクティベートが完了すると、Kit またはInst から新たに追加された音色を呼び出すことができます。DRUM SELECT[Kit] ボタンを押しながらTEMPOダイアルをまわすとディスプレイには707/727/808/909の表示がされ、任意のKitを選択することができます。

 

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DRUM SELECT[Kit]ボタンを押しながらTEMPOダイアルをまわすとディスプレイからキットを選択できる

例えば808のKitを使っている最中に、スネアの音色だけを707の音色に変えたい場合には、INSTセレクトボタンでスネア(SD)を選択した後でDRUM SELECT[INST]ボタンを押します。するとパッドの色がピンク色(TR-808) 黄色(TR-909 )オレンジ色(TR-707) 青色(TR- 727) で表示され、任意の音色(ここでは707の青色のパッド)を選択します。何色がどのTRなのか覚えてしまえば、簡単に識別を行うことができます。

 

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ピンク色(TR-808) 黄色(TR-909 )オレンジ色(TR-707) 青色(TR- 727)

 

7X7-TR8 のインスト一覧表

 

オルティナート音色

これまでのTR-8 は一つのパッドに付き一つの音色が割り当てられていたのですが、7X7-TR8を追加すると一つのパッドに2種類の音色が割り当てられているものもあります。 7X7-TR8ではこれをオルティナート音色と呼んでいるのですが、上のインスト一覧表をみてわかるように、例えば INST HC の4番のスロットの中には707のハンドクラップと707のタンバリンが入っていることが分かります。同じように、INST HC の5番のスロットの中には727 のカバサと727のマラカスの音が入っています。

これら二つの音色を使うためには、ステップレコーディングの際の強音と弱音を使い分けることによって各インストを鳴らすことができるようになります。リアルタイムで演奏したい場合にはREVERBのSTEPボタンを押しながらパッドをたたくことでオルティナート音色を演奏することができるようになっています。どのパッドにどの音色が割り当てられているのか記憶するまでの間は音色一覧表(画像上)を見ながら操作しなければならないかもしれません。

逆に、上に表を見てわかるようにTR-8にはまだ空きスロットが20個あります。これらの空きスロットがあるということは、もしかしたら近い将来にまた新しい拡張キットのリリースがあるのかもしれれません。

 

808と909 の新しい音色

新しい音色が増えることでTR-8の演奏はこれまで以上に楽しくなります。ラテンパーカッションキットTR-727はこれまでのTR-8にはなかった類の音色なのでこれまでと一味違った演奏になります。

新しく追加されたTR-808  とTR-909 のサウンドですが、909のキックとスネアは909らしいキレのある硬めの音です。808のNoise Tomは L M Hの3種ありますが、808とはアナログシンセのノイズパラメーターをいじっているような音です。808 FingerSnap、808 NoiseClapは上の一覧表をみて分かるように2つずつ割り当てられているのですが、これらは全く同一の音です。これはどういった意味なのでしょうか?

 

 

7X7-TR8をアクティベートすることによって、TR-8に幾つかの新しい機能も追加されます。

フラム機能 入力したステップの直前に「パラっ」といったような装飾音を加えることのできるフラム機能。TR-707やTR-727に装備されていた機能ですが、これをTR-808や909の音色にも使うことができるようになるのはちょっとした喜びでもあります。

ステップレコーディングでフラム機能を使うにはTR-RECボタンを押しながらステップ入力をします。リアルタイムレコーディングでフラム機能を使うにはDELAY の[STEP]ボタンを押しながらパッドを叩きます。フラム入力が完了するとパッドは紫色に変わります。またTR-RECボタンを押しながらTEMPOダイヤルを回すと、フラムの間隔を0〜8の段階で設定することもできるようになっています。

 

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フラム入力をするとパッドは紫色に変わる

 

インストのゲイン調整 TR-8のひとつの問題とされていたのが音色の音量バランスの悪さでした。例えば、キックドラムはかなり大音量なのですがハイハットが小音量だったり、ライブで使う際には特に気を配らなければなりませんでした。これを解決してくれるのが新機能「インストのゲイン調整」で、各音色のゲインを200段階で設定し、キットごとに記憶することができるようになりました。これならフェーダーをフルに上げてしまっても不意にキックだけが大きな音でなってしまうようなこともなくなるでしょう。

キットのコピー これもユーザーが待ち望んでいた機能の一つなのですが、ユーザーが作ったカスタムキットの記憶とコピーができるようになりました。例えばKIT 1 のインストセットをKIT 2のインストセットにそのままコピーすることができます。残念ながらTR-8ではノブやフェーダーの位置情報を記憶することはできないので、作った音色をいつでもそのまま再現することはできないのですが、必要な音色をいつでもすぐに呼び出せるのは当然のことながら便利です。

 バリエーションボタンAB 今回の新機能でもっとも気に入っている機能です。例えば、パターン(バリエーションA)を演奏している際に、[TR-REC]ボタンを押しながら[B]を押すと、Aを鳴らしている状態でバリエーションBの編集をすることができる機能です。編集が終わってBボタンを押せばパターンはBに変わります。ライブの際に、少しずつパターンを変えていくようなことができ、演奏が楽しくなる機能です。

しかし残念ながらバリエーションAのパターンをバリエーションBにコピーすることはできません。

 

今後に期待すること

ROLL機能  初期のバージョンよりは確実に性能が良くなっているように感じるのですが、再生中にこのROLL機能を使うとうまく反応してくれないことがあります。私は左手でインストのパッドを押し続け右手でROLL 8thと16thを交互に押さえるのですが、押さえた瞬間にフラムのような効果を作ってしまいます。また、このROLLを使った演奏をレコーディングできるようにしてもらいたいです。

SCARRER  これも初期のバージョンよりは確実にタイミングの性能が良くなっているように感じるのですが、特にDEPTHを高くするとボリュームが大きくなりすぎたり、高周波が強く出すぎてしまい、使うことに躊躇してしまいます。もちろん個人的な趣味の問題ではありますが、がScatter 9 の音はもう少し改善してもらいたいです。

 

と、あれこれ言ったはものの、やはり伝説のTRドラムマシン4種類がひとつのボックスに納められたTR-8 は最強のクラシックドラムマシンというにふさわしく、これを演奏しているだけでタフな気分になります。上でも記述したように、新しく搭載された「バリエーションボタンAB」は特に演奏していて楽しくなる機能です。このような即興的にライブ演奏を楽しめる機能がもっと追加されればユーザー的にはこの上ない喜び、Ni MaschineやAKAI MPC ユーザーも羨む21世紀のドラムマシンになるような気がします。

TR-8を演奏する際には、やはり大音量で演奏することをお勧めします。

 

 

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 7X7-TR8

 

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One Response to ローランドAira Tr-8 拡張サウンド 7X7-TR8 を試してみた

  1. TR-92 より:

    自分的には、CR-78の音が欲しいですね~

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