Elastic Drums は全6トラックを使い、MPCやNI Maschine と同様の4×4のドラムパッドをタップしながらグルーブパターンを作っていくものです。それぞれのサウンドはサンプルサウンドを使わないシンセエンジンが 使われているので、様々なドラムサウンド(キック・スネア・ハット・クラップ・タム)を作っていくことができます。FM・Square・Wobble・ Grain のようなエンジンも搭載しているのでベースラインやノイズ・シンセエフェクトのような類の音色も作っていくことができます。プリセットも充実しています。
それぞれのサウンドパラメーターをリアルタイム・オートメーションでグルグルと動かすこともでき、ベースラインのようなものを作りたいときにはautom(オートメーション)スイッチを押した後にPitchノブを回してみてください。
さらに、エフェクターを4系統使うことができ、FX1、FX2はモノエフェクター、FX3、FX4はステレオエフェクターとなっています。エフェクターの種類もかなりエッジーなものが揃っており、X−Yパッドを使ってパラメーターをいじりまくることで、サウンドはさらに過激なものとなります。トータルミックスにもX−Yパッドが付いていて、スィング値を動かしたり、ディレイ・フリーズ・コンプ・ストップ(レコードが止 まるような効果)を付け加えることができます。
オプションメニューの中にはランダムスイッチが付いているので、スイッチ一つで音色を自動的に変えてしまうことや、パターンを自動的に変えてしまうようなこともできます。作ったパターンを並べていきソングを作ることや、ミキサー画面で各トラックのレベル調整をすることもできます。AudioBusにも対応。
Elastic とは弾力性のある、伸縮自在の、という意味なのだそうですが、このネーミングが示す通りこれまでのiOSドラムマシンではありえなかった柔軟なサウンドメイキング・グルーブ制作を楽しめるアプリです。これさえiPhoneに入れておけば長時間の通勤も退屈しないことでしょう。
大手メーカーに劣らぬすごいアプリ、いったいどんな人が作っているのか調べてみたところ、やはりドイツベルリンのベテランテクノデュオ、マウスオンマーズが関わっていました。先端のテクノアーティストは楽器も自分たちで作ってしまうんですよね。
Elastic Drums はiPhone 5 に最適化されているのですが、iPadでもiPod touch でも使うことができます。次のバージョンではユニバーサルバージョンとなることがアナウンスされているので、iPadユーザーの人でも今買うのかどうか躊躇する必要はなさそうです。
次のバージョン1.2 ではIAA(インターアプリオーディオ)に対応、そしてMIDIにも対応するとのこと。Facebookの情報によると「制限付きのMIDI機能」と記されているのでどこまでのことができるのか分かりませんが、いや、それでもMIDIは絶対あったほうがいいです。下のビデオはElastic Drums 1.2 とKORG Volca Beats とのシンクの様子。
さらに、下のビデオはElektoron analog Rytmとサンプラーアプリ「STROM」を使ったプレイ。Elastic Drumの音をサンプリングして操作している様子ですが、かなりキテますね。