「モーフィング」はコンピューターグラフィックの手法の一つで、ある物体から別の物体へと自然に変形する映像をみせる。私が思い出すのは、その昔マイケルジャクソンが「Black and White」という曲のPVの中で、様々な顔の映像を次々と変形させていたことだ。
この「モーフィング」を、音楽テクノロジーに応用させた場合、たとえば、水が滴る音がいつの間にか人の声に変わっていたり、ピアノの音がいつの間にかギターに変わっていたり、一つの音を別の音に徐々に変化させていくことができるのだろうか?試してみたいことは山ほどあるわけだが、そんなことをリアルタイムで実現するプラグインソフトウェア「Morph 2」がドイツ・ハノーバーに拠点を置くZynaptiqというソフトウェアメーカーからリリースとなった。元々はProsoniqというメーカーが開発したソフトウェアのバージョンアップという形でのリリースとなっている。
私はNI MaschineのトラックにMorph2 をインサートした。そして別のトラックには様々なループやサウンドエフェクトを用意し、二つのトラックをモーフィングしてみた。
Morph2 には5つのモーフィング・アルゴリズム、フォルマントレベル、Complexity、AMP SENSEのメーター、リバーブが用意され、これらの設定によってモーフィングの質感が大きく変わってくる。メインとなるのは中心にあるクロスフェーダーなのだが、フェーダーを左右に動かすと通常のDJミキサーのように音量が合わさっていき、フェーダーを上下に動かすとサイドチェインのような、、ボコーダーのような感覚で二つの信号が干渉し合いながら混ぜ合わさり、不思議な音世界を作り出す。
「音をモーフィング」とはいっても、耳でそれを聞いているだけではモーフィングなのか何なのかはよく分からず、映像で見るようなエンターテイメント性は少ない。しかし音の場合では、モーフィングしている間のちょっとした瞬間に二つの音の絶妙なハーモニー発見することができ、妙に幸せな気分になったりする。どのような素材をつかうかによってはとてつもないテクスチャー音を作れるのではないだろうか。
DJミックスで使ってみるのも面白いと思うのだが、いかんせんCPUハングリーなので、今の段階ではライブには向いていないだろう。でも近い将来はこんな未来型DJエフェクターを使ってみるのもアリなのだと思う。
Morph 2 価格179USD デモバージョンあり。
ZynaptiqはNIのKOMPLETE エフェクトMolekular の開発も手がけているメーカーだ。このMolekular、できることが多すぎて私自身まだ使いこなすには時間がかかりそうなのだが、ここ最近使ったエフェクターの中ではダントツで面白かった。一つの音が全く違う音に変形してしまうのだ。現在NI ネイティブエフェクト半額セールも始まっているので、まだ試したことのない方はこの機会に是非。