Microsoft社は、7月11日のNAMM Summerにて音楽ソフトウェア ディベロッパーを対象とした基調講演を開催し、今月29日に公開となるWindows 10のオーディオ/MIDI機能の概要解説と、ディベロッパー(PropellerHead、Bitwig)を招いたデモンストレーションを行った。当日の模様はMicrosoftホームページ で見ることができる。SPECIAL A3E KEYNOTE
「Windows最後のメジャー アップデートバージョン」とうたわれているWindows 10。Windowsは今後大きなOS名やメジャー番号のついたアップデートは行わず、Mac OS XやiOS またはGoogle Chrome OSと同じように、インターネットを通じて頻繁にアップデート バージョンが提供される。また、これまでのユーザー(Windows7、8、8.1)はWindows 10リリース後1年間は無償でアップデート行うことができる。
凄いのは、Microsoftはこの1.2年の間に世界10億のデバイスをWindows 10 にするという目標を掲げていることだ。全世界でのWindows利用者が15億人といわれているだけに、あながち夢でもなさそうな数ではある。
Windows 10 オーディオ/MIDI機能の概要
Windows 10 ではプログラム設計、MIDI API、Audioの統一化が図られ、同一のコードですべてのWindows 10 デバイスへのアクセスが可能になる。つまり、様々なタイプのWindowsデバイス(スマートフォン、タブレット、デスクトップ、Raspberry Pi2)で、同一の音楽/ Audio アプリケーションを動かすことができるようになるわけだ。ここがアップルの持つジレンマとは大きく違う。
- MIDI API すべてのWindows 10 デバイスからのアクセスが可能に。ひとつのMIDIハードウェア デバイスに複数のクライアントからのアクセスが可能。MIDIジッターフリーのオペレーション。
- オーディオ スタック 低レイテンシーが最優先され、WDMやWASAPIでは15mscほどの高速化が可能に。デベロッパーはバッファーサイズへのアクセスが可能になり、極限まで下げたレイテンシー サイズの設定が可能。特にスマートフォンが抱えるレイテンシー問題は大きく改善。
- AUDIO シングルコアでのオーディオプロセス管理、プロセッサーを指定することができるようになる、他のコンピューター・プロセスによる邪魔を回避。
- CODE FLACとALACのサポート
音楽メーカーとの共同開発
Microsoftは音楽ソフトウェアメーカーへの技術提供や、共同開発を推進していることも強調。例えばAKAI MPCの時期モデルはWindowsをベースとして開発していることや、xi Machineオーディオ・ワークステーションはWindows 10 に最適化した開発が進められている。また、Cakewalk SONAR、Presonos Studio ONE、image-line FL STUDIOはWindowsデバイスのマルチタッチ・サポートをより強化されるとのことだ。
キースピーチ後半ではPropellerHead 社とBitwig社によるMicrosoft Surfaceを使ったデモンストレーションが行われ、両社とも、Surfaceのタッチスクリーンを活用するインターフィスとしてのアドヴァンテージを強調します。
個人的に思うことだが、この基調講演はこれまで音楽分野において比較的おとなしかったMicrosoftがアップルと同じ土俵に上がり、ソフトウェア・ディベロッパーに対して存在感を大きく示したという印象だ。Windowsの音楽分野での巻き返しはむしろこれからに違いない。絶対にあって欲しいのは、Microsoft HoloLens (ホロレンズ)を使う音楽ソフトウェアだ。