最新のiPhone 6sと6s Plus は、画面をタップする指の圧力を感知する「3D Touch」という技術を搭載し、これまでの「タップ」「スワイプ」「ピンチ」といったジェスチャーに加え、画面を押し込む「peek」と「pop」という新ジェスチャーが認識できるようになっています。例えばiPhone 6sのホーム画面で、音楽プレイヤー「ミュージック」アイコンを強く押し込むと、デバイスはプルっと振動し、検索ページやRadio機能へ近道することができます。音楽制作のカテゴリーでもこの3D Touchに対応するアプリがリリースされてきたので、今日はそのうちのいくつかを紹介してみましょう。
NOISE 5D
2009年に設立したイギリスの新鋭キーボードメーカーROLIがリリースした無償アプリNOISE 5D。
5次元のタッチコントロールによって表現力の高い演奏が可能となるシンセサイザーです。3D Touch技術を使うコントロール「Press」はアフタータッチのような機能で、スクリーン上のキーボードを押し込む強さによって音色を変化させることができます。ビジュアルフィードバックがうまく働くこともあり、まるで弾力性のあるスクリーンをタッチしているかのような錯覚を覚えます。
その他Strike(スクリーンをタッチする強さ、ベロシティのようなコントロール)、Glide(スクリーンを左右に動かす)、Slide(スクリンを上下に動かす)、Lift(スクリーンから指を離した瞬間)全5種類のコントロールを使い合わせ、不思議な音世界(ノイズ)を作り出すことができます。Bluetooth MIDIキーボードを接続して音源として使うことも可能。
https://itunes.apple.com/jp/app/noise-5d/id1011132019?mt=8
AUXY
昨年iPadバージョンとしてリリースされたAUXYが、iPhoneバージョンとしてリニューアルされ、新バージョンとしてリリースされました。AUXYはAbleton Live風のセッションビューとピアノロールエディターを使い、簡単にトラックが作れてしまう4トラックのシーケンサーです。
実際、電車のつり革に掴まりながらこのアプリを試してみたのですが、本当に立ったままでも、片手だけで簡単なトラックが作ることができてしまいました。
3D Touch技術はショートカット機能に生かされています。例えば、セッションビューのクリップを強く押し込むとピアノロールエディター画面にジャンプするのですが、このたった一回の操作で、エディットしたいクリップを開けれるのがとても便利で、特に、電車の中で立ったまま曲作りをしていると、この有難さを実感します。また、ホーム画面のAuxyアイコンを強く押すと、クイックアクション機能によって新規ファイルを開くこともできます。今すぐにでもアイデアをスケッチしたい時には便利です。
シンプルイズザベスト!と思わず叫びたくなる秀逸なアプリです。
https://itunes.apple.com/jp/app/auxy-music-creation/id909573739?mt=8
iMASCHINE 2
Native InstrumnetsのiMASCHINEも3D Touch技術を取り入れており、iPhoneの4×4のパッドを使った演奏が、これまで以上にリアリティーを増してきた印象です。
- ノートリピート機能に入った状態で、パッドを強く押し込むとダイナミクスを操作できる。
- ノートリピート機能3Dモードに入ると、指の圧力に応じてレートを変更できる。(本家MASCHINEでは不可能な機能で面白いです)
- ホーム画面のiMASCHINE 2アイコンを強く押すと、クイックアクション機能によって新規プロジェクトを開いたり、サンプルレコーディングのページを開くことができます。面白い音を見つけた時に素早くレコーディングできるのが良いです。
どういうわけか、まだベロシティには対応しておらず、パッドを強く叩いても音量はそのままです。今後のバージョンアップに大きく期待。
https://itunes.apple.com/jp/app/imaschine-2/id989330818?mt=8
以上、3種類の3D Touch対応の音楽アプリを紹介しました。確かに3D Touchは面白いです。iPhoneのような小さなデバイスに向かってアフタータッチのような演奏表現ができるようになったのはスマートフォンの大きな進化に感じます。ただ、アフタータッチ機能自体はさほど真新しい機能ではありません。何かもっとおどろくような演奏表現ができれば面白いに違いありませんが、これはアプリ開発者の方々のアイデア次第といったところなのでしょう。AUXYに見られるような、ショートカット機能は本当に便利です。
残念なことは、この3D Touch技術はiPhone 6sの後発となったiPad Pro には搭載されなかったことです。Apple insiderによると、現行の3D Touch技術はiPhoneより大型のスクリーンでは正常に動作しないことが確認されているようで、今年発売になるiPad Air 3 への搭載も見送られるとのことです。さらにiPhone 7 搭載に向けての機能改善も見送られるとのことです。アップルは大型スクリーンにも対応できる次期3D Touchの開発を進めてはいるようですが、これにはまだ時間がかかるとのことです。そうなってくると3D Touchが本格的に盛り上がってくるのはまだまだ先の話となりそうです。3D TouchがiPhone 6s だけの幻の機能とならないことだけを祈りたいと思います。