Native Instrumentsは、DJ ソフトウェアTRAKTOR PRO 2のアップデートバージョン2.10.1をリリースしました。この最新バージョンには「Stem View」という新機能が搭載され、TRAKTORのStem Deckには4本のStem波形が表示されます。これまでStemを操作するには、特別なハードウェアコントローラーが必要でしたが、これからはソフトウェアだけでStemの操作ができたり、サードパーティー製MIDIコントローラーにStem機能をマッピングすることが可能になります。また、人気コントローラーKONTROL S4がStemsに正式対応することとなりました。
まずは、NIのオフィシャルビデオ「Stem View パフォーマンスビデオ」をどうぞ。
TRAKTOR PRO 2.10.1 の新機能
- Stem View搭載(Stem Deckの4つのパートの波形を表示、ソフトウェア上でStemファイルのボリューム/フィルター/エフェクト操作が可能に)
- KONTROL S4 がStemに対応(特別な設定なしで、Stemトラックの/ミュート/ボリューム/フィルター操作が可能になります)
- キーとビート検出機能の向上
- Mac OS Xバージョンで、新しく日本語表示に対応
- グラフィック機能の強化、ディスプレイ表示の修正
- その他数多くのソフトウェア機能向上
登録ユーザーはいつものようにNI Service Centerアプリより最新バージョンを無償で入手できます。
また、最新バージョンのリリースに伴い、NIのパートナーオンラインショップでは、2月29日までの期間、Stemトラックの25%オフセールを開催します。ディスカウトを適用するには、公式HPに表示されてるディスカウントコードが必要になります。
その他、1.5 GB相当のStemトラック(65曲入り)が無償で配布されています。まずはとにかくStemを試してみたいと思っている人は即入手してみてください。(公式HP「Stemトラックのダウンロード」より入手可能)
TRAKTORのユーザー以外の方にも良い知らせがあります。TRAKTOR PRO 2最新バージョンのデモバージョンが公開されました。1.5GB分の無償トラックとTRAKTORデモバージョンを使えば、今話題のStemsをすぐ試すことができます。
STEM ファイルとは?
StemsはNIが開発した新しいオーディオ・フォーマットで、4トラックのマルチトラックレコーダーのように、曲を構成する4つのパートを別々に操作することができるものです。例えばボーカルだけにエフェクトをかけたり、ボーカルだけをミュートしてカラオケトラックを作ったりするような操作を簡単に行えます。トラックAのドラムとトラックBのドラムをスワップするようなこともできたり、とにかくアイデア次第ではこれまでのDJミックスとは違う、もっと緻密でもっとクリエイティブなミックスができるようになり、次世代のDJスタイルとして大きな期待が寄せられています
これまでのStemは、NIの特定のコントローラー(S8、S5、D2、F1)を使わなければ操作できず、ソフトウェアにファイルをロードしても通常の音楽ファイルと同じ一本の波形表示しかしてくれませんでした。ところが、今バージョンからはソフトウェアからだけでも操作ができるようになり、StemはTRAKTORユーザー全員に開かれた機能となります。
Stemsファイルは通常の音楽ファイルと同様に、オンラインショップで購入できるものです。ただ問題は、ジャンルが偏りすぎ(欧米レーベルのダンスミュージックが主流)であることと、まだ曲数自体もそれほど多くはないことです。今後どのようなStemトラックがリリースされるかによって、Stemの将来は大きく変わってくるのではないでしょうか。
でも、Stemファイルはユーザー自身が作成することもできます。ライブパフォーマンス用のツールとしてStemを使うのも面白いに違いありません。
STEM操作方法
TRAKTORのStem DeckにStemファイルをロードするには、Stemファイルのアナライズが必要になります。ライブラリーに表示されるStemファイルを右クリックしてアナライズを行いましょう。
StemファイルをStemデッキにロードすると、4つのパートの波形がカラーで表示されます。(画像上)
上の画像ではDRUM、BASS、KEYBOARD、VOXの4つのパート名が表示されています。(パート名はロードしたファイルによって異なります。)
パート名の横の白いノブがボリューム、水色のノブがフィルターの量、小さな水色の四角いボタンがフィルターのオン/オフ・スイッチ、オレンジのノブがエフェクトのセンド、その横の小さなオレンジの四角いボタンがエフェクトのオン/オフスイッチです。
例えば、Drumの音だけを聞きたい時は、Drumパート以外のボリュームを絞れば良いわけです。
エフェクトを使うには、ミキサー部でFXスイッチをアクティベートしておきます。もし、FX 1をオンにした場合は、FX1のエフェクト設定が適用されます。FX1.2両方をオンにした場合は、1と2両方のエフェクトが適用されます。(画像下)
FXスイッチが見当たらない時は、環境設定(preferences)>Mixer>Mixer Layout>FIlter+Key+gain+Cu…..にチェックを入れてみてください。
KONTROL S4がStemに対応
とは言っても、Stemsはコントローラーを使ったほうが断然操作しやすいですし、断然良いミックスができます。
Stems対応となったKONTROL S4にはディスプレイが付いていないので、直接波形を見ることはできませんが、でも逆に音にもっと集中できて良いかもしれません。
S4のStem操作方法を知りたい方は、NIのインストラクションビデオで確認してみてください。
追記(3/2/2016)
サードパーティー製MIDIコントローラーにStemのデッキコマンドをマッピングする方法が、NIのナレッジサイトに掲載されています。
https://www.native-instruments.com/jp/support/knowledge-base/show/4244/traktorstemstems/
[…] ついこの間Traktorバージョン2.10.1がリリースされ、KONTROL S4もStemsに対応しました。これでStems人口が増えたことは間違いないでしょう。(自分も含め) […]