現在ドイツ・ベルリンで開催中のエキシビジョンSuperbooth 16にて、Native Instrumentsの創始者の一人、また、NI REAKTORの発案/開発者として知られるStephan Schmidt氏が率いるNonliner Labが次世代シンセサイザーC15を初披露しました。C15はキーボーディストのためのプレイアビリティーと、サウンドデザイナーのための詳細なサウンドエディットを追求したというデジタルFMシンセサイザーです。
C15の本体を目にして驚くのはそのスイッチの多さ。およそ100以上のスイッチからは、ほとんどすべての音源パラメーターにシフトキーなしでアクセスができますが、使用頻度の少ないスイッチは2〜3回のタップが必要になります。Schmidt氏曰く、大概のキーボーディストはスイッチの操作が得意であるとのこと。確かにそんな気がします。
(余談・このスイッチを見て私が思い出したのはYAMAHAの1980年台のエレクトーンFX-1です。)
パラメーター値を変えるためのノブは一つあるだけ。妙にさっぱりとした印象を受けます。フィルターノブをキュンキュンと回すような昨今のアナログシンセフィーバーからは一線を引いている印象を受けます。
とはいえ、C15はタブレットやコンピューターとWifi接続することが可能で、ウェブブラウザーからプリセットの管理や綿密なサウンドデザインを行えます。つまり特別なソフトウェアを用意することなく、Wifi環境とwebブラウザーさえあればC15を操作できることが大きな特徴です。(画像下)
キーボード部には2基のリボンコントローラーと小型ピッチベンドを装備。リボンコントローラーにはほとんどのパラメーターをアサインすることができます。ピッチベンドはホイール型ではないところが可愛らしいです。
また、レアパネルにはインプット用の端子(ボリュームペダル、サスティンペダルなど)を4つ装備しています。フットペダルにパラメーターをアサインして足を使って音をグリグリと動かすのも、ここ最近のシンセにはなかった面白いコンセプトです。
肝心のサウンドです。C15のシンセエンジンは、サイン波が基になり、フェーズモジュレーションとコムフィルター、フィードバックによって音が作られます。NIのREAKTORシンセKONTUREがベースとなっているサウンドエンジンですが、やはりハードウェアシンセならではの出音の良さは圧倒的です。
Superbooth 16ではStephan Schmidt氏がC15を2台使った演奏を披露しましたが、シンプルなフレーズが二つ絡み合うだけで十分楽しめる音楽に聞こえました。
一音一音がとても力強く、生々しく、よりリアリティを追求したサウンドという印象です。昨今のアナログ系シンセとは違い、決して全てが耳に心地良いわけではないのですが、そこが新しさたる所以でしょう。
C15はリアルタイム・サウンドシンセシスの可能性を切り開いてきたStephan Schmidt氏による新しい挑戦。FMシンセサイザーの新たな局面が開かれるまであと少しです。価格や販売時期は未定。