Native instrumentsが昨年秋にリリースしたFORMのアップデートバージョン1.1がリリースされました。
FORMはサンプルス・スキャニング・シンセというあまり聞きなれないカテゴリーのシンセなのですが、簡単に言ってしまえばサンプラー、でも通常のサンプラーとは違い、一つのサンプルから想像もしなかったようなサウンドを作ることができるユニークなサンプラーなのです。
まずはインターフェイスにサンプルをドラッグ&ドロップします。もちろん自分のHDに入っているサンプルでも、FORMに付属するサンプルでももちろんオッケー。
サンプルをドラッグ&ドロップするとグラニュラーシンセシスの技術によってサンプルのピッチと時間の解析が自動的に行われ、様々なスピードや動きを付けてサンプルの再生が始まります。
グラニュラー技術自体はそれほど新鮮なものではありませんが、FORMの場合はこれに加算式シンセ、豊富なモジュレーション、エフェクト、パフォーマンス機能を合体し、これまでのシンセとは一味違う音創りを行えるところに大きなメリットがあります。通常のサンプラーならばこれだけ音を加工してしまうと大概は痩せ細った音になってしまいがちですが、FORMならば大概は良い結果を作り出してくれるのが凄いところです。しかも元のサンプルからは想像もしなかったような個性的な音も作れます。たとえばスネアの音からベース音を作るなど、いじればいじるほど面白い結果を作ることができます。
さて、そんなFORMのバージョン1.1が昨日リリースされました。主な追加点は以下の通りです。
FORM 1.1 の追加機能
- 200以上の新しいプリセットを追加、既存のプリセットサウンドに新しいサウンドバリエーションが追加
- スキャンレンジをモジュレートする「Center」と「Width」コントロールを追加
- モーションカーブ・プリセットの新しいページを追加
- コンパクトビューを追加
- 「Speed」タブにマニュアルスキャンモードを追加
- 「Perform」セクションにサウンドバリエーション用のボリュームフェーダーを追加
- サウンドバリエーションのパラメーターを、異なるスナップショット間でコピー及びペーストが可能
- サウンドバリエーションのFXパラメーターを、別のサウンドバリエーションにコピー及びペーストが可能
- 全パラメーターのオートメーションが可能
- KOMPLETE Sシリーズ・キーボードとMASCHINE用の新しいコントローラーページを追加
アップデートの目玉はプリセットサウンドが200も追加されたことで、リード、ベース、鍵盤系、パッド、ハイブリッド・インストゥルメント、SFX、サウンドスケープ、シーケンス等、現代のエレクトロニックスタイルに適した幅広いサウンドが収録されています。
さらにこれまでのプリセットサウンドには新しいサウンドバリエーションが追加されました。これは同じサンプルの音ではあってもパラメーターの設定が違うサウンドを瞬時に呼び出して、演奏中のサウンドに変化をつけることができます。Performセクションの丸いボタンを押すことによって操作できます。
FORM 1.1 のもう一つの目玉は、サンプルセレクトのページに「Center」と「Width」コントロールが追加されたことです。(画像下:左上)このふたつのコントロールを動かすと、波形をゴリゴリと擦るようにサンプルスキャンの範囲を指定することができます。しかもモジュレーションをかけることもできるので、音創りの可能性がより広がったと言えるでしょう。