Arturia社の人気プラグインバンドル「V Collection X」に、新たにシンセサイザーが「Synthx V」加わりました。イタリアの伝説的なアナログ・ポリフォニックシンセサイザー「Elka Synthex」がプラグイン化され、そのデュアルレイヤー構造を精密に再現するとともに、最新のポリシンセと並ぶほどの現代的なモジュレーション機能が加えられています。「V Collection X」にはSynthi Vというシンセもありますが、これとは何の関係もありません。

Synthexは、1981年から1985年までイタリアで製造された8ボイスのポリフォニックシンセサイザーで、特に、デジタル制御オシレーター(DCO)を用いて優れた音質を実現した、初めてのポリシンセサイザーとして知られています。DCOの安定したチューニングによって、同時期に登場したアメリカ製(Prophet、Oberheim)や日本製(Jupiter)のシンセサイザーと比べてもその魅力は際立っており、フランスのシンセ奏者ジャン・ミッシェル・ジャールや英国のバンドDuranDuranなど個性的なアーティストに愛用されました。総生産台数はわずか1,850台で、現在アメリカの中古市場では150万円以上で取引されています。

Arturia のSynthx Vは、オリジナルのSynthexのアーキテクチャを忠実に再現しつつ、クラシックなデザインに現代的な強化を加えています。オシレーター部にはリングモジュレーションやパルス幅のクロスモジュレーション機能が備わり、フィルター部にはこのシンセの肝となるCEM 3320フィルターが搭載され、標準のハイパス動作に加えて、新たにローパスモードが追加されています。特徴的なコーラスエフェクトで壮大なサウンドを奏でることができます。

「Synthx V」のデュアルレイヤー操作は、SoloやDuoなどのさまざまなモードに対応し、Duoモードでは2つの異なるサウンドを作成することが可能です。また、Linkモードを使用すると、選択したレイヤーをもう一方に複製し、左右に広くパンニングすることができます。このLinkモードをVintageダイヤルと組み合わせると、全てのボイスに微妙な変化が加わり、心地よい揺らぎ効果を生み出します。


Advanced Panelを展開すると、さらなる機能が追加されていることがわかります。ここには、4つの独立したアルペジエーターを組み合わせ、各レイヤーに個別の複雑なパターンを作成できる「Multi-Arp」モジュールや、リバーブやユニゾンプロセッサー、ディストーションなどを含む17種類の内蔵エフェクトを備えた4つのエフェクトスロットが含まれています。また、生成的なメロディシーケンス機能、割り当て可能なADSRエンベロープ、高度なモジュレーションルーティングオプション、柔軟なマクロコントロールも利用可能です。

難点といえばCPUの消費量が多いことですが、このような壮大なシンセをコレクションに加えておけるのもArturia V Collectionならではの魅了です。


価格は€199

Arturia

 

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