Polyendから、待望の新製品マルチティンブラル、マルチエンジンのポリフォニック・シンセサイザーが登場しました。その名も「Synth」。499ドル/ユーロという手頃な価格ながら、充実した機能を搭載したシンセサイザーです。
マルティティンバーというと、ワークステーション型のシンセサイザーを思い出す人も多いと思いますが、通常は設定がやや複雑で、MIDIゾーンにキーボードを分割したり、シーケンサーのチャンネル設定をしたり、またはDAWからの操作が必要でした。しかしPolyendのSynthはマルティティンバーをもっと直感的に扱えるよう、本体48個のグリッドを3つのゾーンに分け、それぞれのゾーンに異なるシンセエンジンをロードして、独立して演奏をすぐに行えるようになります。例えば、第1ゾーンにアルペジエーター/シーケンサー、第2ゾーンにパッド音色、第3ゾーンにリードやベース音を配置するなど、パッドを使った一人アンサンブルが可能になるわけです。
Polyend Synthにはもう一つ大きな特徴があります。それは、8つシンセエンジンを搭載していることで、ウェーブテーブルからアナログモデリングまであらゆるシンセシスをカバーしています。このうちの3つを同時に演奏可能で、さまざまなパフォーマンスモードを使って演奏ができます。
搭載されているシンセエンジン
- PHZ:CZ-101にインスパイアされた位相歪みシンセ(追加モード付き)
- ACD:シングルオシレーターのRolandモノシンセ(SH-101、TB-303)にインスパイアされたアシッド系サウンド
- VAP:Sequential Circuits Prophet 6にインスパイアされた温かみを持つポリフォニックサウンド
- PMD:Mutable Instrumentsのテクニックをルーツとする物理モデリング
- GRAIN:ユーザーがロードしたサンプルを使用可能なグラニュラーシンセ
- WAVS:カスタムウェーブテーブルとレトロモード搭載の2オシレーター
- WTFM:ウェーブテーブルとFMを融合
豊富な演奏機能
- ポリフォニックアフタータッチ対応のパッドで3つの音色を同時演奏可能 (発音数 トータル8ボイス)
- 各ゾーンに独立した64ステップのシーケンサーまたは14種類のアルペジエーター搭載
- 独自のコードモード機能:2つのエンジンを「フォロワー」として設定可能で、現在のコードに応じて音程を自動調整
- スケールロック機能で音楽性を維持しながら、フォロワーは複数のスケールからのコードパックにも対応
エフェクト
- コーラス/フェイザー/フランジャー
- アナログディレイモデリング
- リバーブ(ワープモード付き)
接続ポート
- MIDI IN OUT(ドングル要)
- USB-C電源ポート(モバイルバッテリー対応)
- microSDスロット搭載
- 3.5mmステレオ出力
⇩Polyend Synthのデモ動画、Synthのサウンドと演奏の様子がチェックできます。
ポータブルなサイズで、グラニュラーや物理モデリングを含むほぼすべてのシンセエンジンをカバーする興味深い新製品です。マルチティンバー機能を直感的に操作できる点も魅力的です。先日発売されたAbleton Moveとの比較も楽しいかもしれません。
組み込みARMプラットフォームが手頃な価格で入手できるようになったため、このような機材が今後も多く登場すると思われます。どんなシンセエンジンを使って、どんな演奏方法ができるのか比較していきたいです。