オーストラリアのマルチアーティスト、Kevin Parkerが新たに立ち上げた楽器メーカーTelepathic Instruments社が、待望の第一弾製品となるデジタルポリシンセサイザー「Orchid」を正式発表しました。Tame Imapalaのフロントマンとして知られ、Dua Lipa、Rihanna、Travis Scottなど著名アーティストのプロデュースも手がけるParkerが、10年の歳月をかけて構想したこのシンセサイザーが、数ヶ月に及ぶ謎めいたティーザーキャンペーンを経て、ついにその全貌を現しました。60年代の洗練されたイタリア家具を思わせるデザインに、コード進行の作成をサポートする画期的な機能を搭載した本機は、作曲からライブパフォーマンスまで、さまざまな音楽制作のシーンでの活用が期待されています。
どうでしょう。さすがのビデオクオリティですね。Orchidで素敵なコード進行を作成してから、あとは自然に任せながらドラムやボーカルも足していけば、Tame Impalaのような幻想的なサイケデリックポップスが誰にでも作れるようになるかもしれません。
主な特徴1 16ボイスのデジタルポリシンセ
Orchidは、16ボイスのデジタルポリシンセで、Waldorfでの実績で知られるStefan Stenzelによって設計された3つのシンセエンジン(バーチャルアナログ減算合成、FMシンセエンジン、電気ピアノをエミュレートしたビンテージピアノ音源)を備えています。FMとVAのエンジンにはそれぞれ4つのオシレーター、4つのLFO、4つのエンベロープジェネレーター、そしてフィルターが搭載されています。リバーブ、コーラス、ディレイエフェクトも内蔵されています。メインのコード用のサウンドだけでなく、低音域専用の独立したベースシンセエンジンも搭載しています。
主な特徴2 革新的なコード生成システム
Orchidの最大の特徴は、簡単にコード進行が作れる独自のシステムです。まず、8つのボタンを押すだけでさまざまなコード(メジャー、マイナー、セブンス、ナインス、Sus4など)を呼び出すことができます。次に、12の鍵盤を押さえて、コードのルート音を決めます。さらに、中央にあるロータリーエンコーダーを回すことで、選んだコードの音の高さや配置を自由に変えることができます。
これらの仕組みにより、Orchidには実際の鍵盤は12しかないのですが、まるでフルサイズのキーボード並みの、幅広い音域でのコードを演奏ができるとのこと。また、鍵盤はベロシティ対応で、より表情豊かな演奏が可能とのこと。
主な特徴3 新しい景色を描き出すパフォーマンスモード
Orchidは、「パフォーマンスモード」と呼ばれる自動奏法機能が搭載されています。
- Strum ギターのストラミングを再現
- Slop 人間らしい自然な揺らぎ
- Arpeggiator 複雑なメロディックパターンを生成
- Pattern リズミカルなコードシーケンス
- Harp 4オクターブにわたるハープのグリッサンドのような奏法を再現
主な特徴4 実用的な機能と優れた携帯性
- デュアルステレオスピーカー内蔵
- 充電式バッテリー搭載で完全なポータブル使用が可能
- アイデアのオーバーダブ録音が可能なループモードで
- MIDI経由でDAWとの連携
Kevin Parkerは『Orchidは知識の有無に関係なく、誰もが自分の心の中にある音楽を見つけ出すためのツール』だと語っています。コードとベースを同時に操れるようになることで、Kevin Parkerのような力の抜けたキーボードパフォーマンスも可能になることでしょう。また、ベースラインとコード進行を同時に探りながら作曲できる点は、浮遊感のあるサイケデリックサウンドの制作やパフォーマンスに適していると言えそうです。Kevin Parkerが10年の歳月をかけて作り上げたこの”アイデアマシン”の今後の展開がとても楽しみです。
Orchidの初回リリースは1,000台限定で、価格は549米ドルです。12月18日より米国での先行販売が開始されます。詳細は公式サイトよりどうぞ。