多くのミュージシャンが待ち望んでいたものが、ついに現実となりました。OP-XYは、これまでのレンダリングで予想された以上に美しいデバイスであり、OP-Zの後継機として、成熟したシーケンシンサー機能を備えたグルーブボックスです。そして、そのすべてがブラックとモノクロームのスタイリッシュなデザインでまとめられています。

進化したシーケンサー


OP-1 Fieldがテープ録音に重点を置いているのに対し、新しいOP-XYはシーケンシングに特化しています。OP-Zがシーケンス機能を極めた機種として高く評価されていますが、OP-XYもその流れを引き継いぎ、さらに進化させています。64ステップのシーケンサーでは、複数のトラックに自由にパターンやシーンを配置し、特定のステップに様々なパラメータ(ランプアップ、ポルタメント、ランダム化など)を割り当てることができるため、直感的でありながら複雑なシーケンスを容易に作り出せます。

シーケンサーには「ブレイン」と名付けられた新しいコード進行機能が搭載されており、インスピレーションに応じて直感的にコードを構築することができます。リアルタイムのパフォーマンスエフェクトやランダム化機能も充実しており、ライブ演奏や即興的な表現を強力にサポートします。


デザインとインターフェースの革新


Teenage Engineeringのデザイン美学は「OP-XY」にも健在です。OP-1 Fieldに続くアルミニウム製ボディにブラックとグレーを基調としたミニマルなデザインが特徴的です。OLEDの高解像度グレースケールディスプレイは情報を見やすく表示し、ユーザーインターフェースの視認性も向上しています。多くのユーザーから要望されていたボタン操作の簡略化とディスプレイの追加により、これまでの「iPhoneをディスプレイとして使う」という手法からも解放され、よりシンプルで快適な操作が実現しました。接続性も強化され、Eurorack、シンセサイザー、ペダル、ヘッドフォン用のマルチ出力ポートに加え、MIDIとUSB-Cポートを装備。内蔵パンチインエフェクトとジャイロスコープにより、機器を動かすだけでリアルタイムのサウンド変更が可能です。また、DAWのアレンジメントビューに似た、ビルディングブロックのような音楽制作アプローチを採用しています。

OP-XYにはデュアルCPUが搭載され、8GBのストレージと512MBのRAMにより、極めて高速な処理性能を発揮します。24ボイスのポリフォニー、8種類のシンセエンジン、新しいドラムサンプラーなど、豊富な音源エンジンを搭載。さらに、ライブサンプリングは内蔵マイク、ステレオ入力、USB-C経由で行え、クリエイティブな音作りが可能です。

内蔵エフェクトも充実しており、リバーブ、ディレイ、コーラス、ディストーション、フェイザーといったマルチエフェクトに加え、4種類のフィルター、マスターEQ、サチュレーター、コンプレッサーとリミッターなどが搭載されています。また、専用のパフォーマンスジャイロスコープ機能により、デバイスを傾けるだけでトラックを制御したり、エフェクトに変化を加えたりすることも可能です。

幅広い接続性と柔軟な拡張性

OP-XYは、モジュラーシンセやアナログ機器と連携するための内蔵CV、エフェクトセンド、USB-Cポートなど多彩な接続オプションを備えています。さらに、マルチ出力ジャックにより、Eurorack、シンセ、ペダル、ヘッドフォンなどの接続も自由自在。3.5mmのMIDIイン、MIDIシンク、オーディオイン/アウト、内蔵スピーカーやマイクなど、他の機材やシステムとの柔軟な連携も可能です。

また、バッテリーの持続時間も16時間と長く、USB-C経由での充電が可能なため、外出先やライブパフォーマンスでも安心して使用できます。

プレミアム価格の高級機種、その価値は?

一方で、価格はEUR 2299と高価であるため、ハイエンド市場向けのラグジュアリーな製品と言えるでしょう。しかし、シーケンスやサンプリング、サウンドメイキングのあらゆる機能が詰まった「妥協のない」プレミアムな仕様であることは間違いありません。他社がコスト面で妥協する中で、Teenage Engineeringはあえて最高の技術を詰め込んでおり、音楽制作機材の限界をさらに押し広げています。

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