AppleのAirPods MaxのUSB-Cモデルが、2025年のアップデートで大きく進化しました。
このファームウェア更新によって、これまで“リスニング用”とされていたAirPods Maxが、ロスレス再生・超低レイテンシ・空間オーディオ制作対応という、まさに制作向けのツールへと変貌を遂げたのです。
とりわけ注目したいのは、Logic Proとの親和性。
AirPods Maxを使うことで、Atmosミックスや空間オーディオ制作の体験がグッと身近になってきました。
Logic ProではAtmosミックスが標準搭載──でも運用は簡単じゃない
Logic Proでは、Dolby Atmosミックスがすでに標準機能として統合されています。
パンニングは3D空間で行い、Dolby Atmos Rendererも内蔵。
つまり、Logicユーザーはいつでも空間オーディオ制作を始められる環境にいます。
とはいえ、「Atmosに対応している」ことと、「実際に空間オーディオで制作・モニターする」ことは別の話です。
特に問題となるのはモニター環境の構築です。Atmosミックスを正しくモニタリングしようとすると、一般的には以下のような要件が求められます:
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- 5.1.2ch〜7.1.4chのスピーカー構成
- 専用のオーディオインターフェースやモニターコントローラー
- 音響処理が施された専用ルーム
ベッドルームで気軽に試してみようというレベルの投資では済まないわけです。
そんな中で登場したのが、USB-C対応のAirPods Maxと、2025年のファームウェアアップデートです。
このアップデートによって、以下のような制作向け機能が追加されました:
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- 24bit/48kHzのロスレス再生(USB-C接続時)
- 超低レイテンシでのリアルタイム再生・録音対応
- Logic ProのApple Spatial Audio Rendererに対応
- パーソナライズド空間オーディオ + ヘッドトラッキング
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これにより、Atmosスピーカー環境がなくても、空間的な定位や音の動きを「体感しながら」作業できるようになりました。
もちろんAirPods Maxがスピーカーの代替になるわけではないでしょう。
ただし、以下のような制作シーンでは非常に頼れるリファレンスになります:
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- Atmosミックスの初期段階の検討・スケッチ
- 外出先やリビングなど、スピーカーを使えない場所での確認
- Apple MusicやiPhoneで聴くリスナーに近い体験での最終チェック
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つまり、スタジオモニターの補完としても、リスナー視点での確認としても、AirPods Maxは有効に機能してくれるのです。
Logic ProとAirPods Maxの接続方法(セットアップ手順)
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- macOS Sequoia 15.4以降にアップデート
- AirPods MaxをUSB-CケーブルでMacに接続
- Logic Proで「出力デバイス」にAirPods Maxを選択
- Atmosプロジェクトで「Apple Spatial Audio Renderer」を有効化
- iPhoneで「個人最適化空間オーディオ」を設定(TrueDepthカメラ必須)
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これまでとは違う”マックとヘッドフォンでのモニター環境”にワクワクしますね。
まとめ:空間を“感じながら作る”ための新しい入口
AirPods Maxの進化により、Logic Proの空間オーディオ機能は「備わっているだけの機能」から「活用できる制作ツール」へと変化しました。
空間ミックスを「使える」だけでなく、「感じ取って判断できる」──そんな環境が、手の届く場所にやってきています。
制作の自由度を広げたい人、空間オーディオの第一歩を踏み出したい人にとって、AirPods Maxは非常に実用的なツールになるかもしれません。
▶ 関連動画:AirPods Maxを使った空間オーディオ制作のデモ
実際にAirPods MaxでLogic Proを使って制作・ミックスする様子がこちらの動画で紹介されています: