2025年のSuperbooth 25で注目を集めそうな新製品のひとつが、Erica Synthsから発表されたHexDrum。これは、Hexinverterの人気モジュール「Mutantシリーズ」のDNAを引き継ぎ、デスクトップ型のアナログ・ドラムマシンとして新たに生まれ変わったものです。
実はこのプロジェクト、Hexinverter Électroniqueの開発者Stacy Gaudreauがパンデミック前から着手していたもの。残念ながらHexinverterは現在活動を終了していますが、その構想をErica Synthsが受け継ぎ、ついに製品化へとこぎつけました。
まずはこのカッコいい筐体から放たれる、新世代アナログドラムの音をチェックしてみてください。
10種類のサウンドソース。定番から個性派まで
HexDrumは、主にMutantシリーズをベースとした10種類のドラムサウンドを内蔵しています。内訳は以下のとおり:
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キックドラム×2種類:BD9とBass Drum(別々でも併用でもOK)
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改良版 Mutant Machine
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スネア
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クラップ
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リムショット
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ハイハット
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クラッシュ/ライドシンバル×10種類(Erica Synths Cymbalsによるサンプルベース)
この構成だけでもかなり強力ですが、さらにすべての音源に個別アウトが用意されているため、外部ミキサーやエフェクターとの連携もスムーズです。マスターアウト側には、パン調整、コンプレッサー、マスタードライブも搭載。これらはMutant Glueからの派生で、音をまとめる力にも期待できます。
さらに、キックドラムに連動したサイドチェインルーティングも可能。4つ打ちのグルーヴ感や、躍動感あるダッキング表現がこの一台で実現できます。
ステップシーケンサーも本格派
HexDrumのシーケンサーは、見た目も操作感も“手が届きやすい”デザインながら、実力は本格的。以下のような機能を備えています:
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最大64ステップのパターン構築
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トラックごとのアクセント設定
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ステップごとのマイクロタイミング調整
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ラチェット(高速連打)やロール
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ステップ単位の確率設定で人間味ある揺らぎを演出
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16バンク×各16パターンの豊富なメモリ
まさに“現場で即使える、だけど深掘りもできる”絶妙なバランスです。
発売は「2025年後半」予定。Superbooth 25では実機展示も
現時点では価格は未定ですが、2025年後半に発売予定とのこと。Erica SynthsはSuperbooth 25のブース「O235」に出展しており、会場では実機に触れることができるようです。
Mutantシリーズのファンはもちろん、テクノファンにもかなり刺さる一台になりそうです。今後の追加情報にも注目です!
Erica Synthsは、ラトビアの首都リガに拠点を置くモジュラー/シンセサイザーメーカーです。DIY精神と実験的なアプローチに根ざしながらも、現場で“使える”堅実な製品開発で知られており、ヨーロッパのみならず世界中のアーティストから高い評価を受けています。
代表的なラインナップには、BlackシリーズやPicoシリーズ、Perkons HD-01などがあり、近年ではドラムマシンやエフェクターなども手がけ、製品の幅を広げています。
また、Erica Synthsは単なる製品開発にとどまらず、教育分野への貢献にも力を入れています。特に注目なのが、テクノ界の重鎮Richie Hawtin(リッチー・ホウティン)とのコラボによる教育用電子楽器プロジェクト。
この取り組みでは、若い世代に向けたシンセサイザーや音楽制作ツールの開発・普及を目指しており、音楽テクノロジーの未来を支える人材育成にもつながる試みとして注目されています。