Elektronの「Overbridge」は、Elektronのハードウェア機器(シンセ、ドラムマシン、グルーヴボックスなど)をPCのDAWと高いレベルで連携させるための専用ソフトウェア(無償)です。
通常、ハードウェアとDAWを統合するにはオーディオインターフェースやMIDIルーティング、個別の設定が必要ですが、Overbridgeを使えばUSBケーブル1本でマルチチャンネル録音・リアルタイム制御・音色編集までを一括して行うことができます。
音作りからミックスまで、ソフトウェアとハードウェアの境目を意識せずに作業できるため、多くのElektronユーザーにとっては制作に欠かせない存在となっています。
これまでPC(Windows/Mac)向けに提供されてきたこのソフトウェアが、iPadにも対応予定であることが、2025年のSuperboothで明らかになりました。
Elektronは今回、開発中のiPad版Overbridgeのプレビューを展示。現時点ではリリース時期などは未定で、今後のユーザーフィードバックをもとに開発が進められるとのことです。このバージョンは、最新のiPad OSに対応しており、Appleシリコン(M1以降)搭載モデルでの動作になっています。
主な機能・これまでに分かっていること(2025年5月時点)
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iPad版Overbridgeは開発・テスト中
現時点では未公開で、リリース時期は未定。
Superbooth 2025にて初めてプレビューが公開され、ユーザーフィードバックをもとに開発が進行中。
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最新のiPad OSで動作
Appleシリコン(M1以降)搭載のモデルを前提としており、古いiPadモデルは非対応。
機能と構成
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Overbridgeは複数のコンポーネントで構成
オーディオドライバ、コントロールパネル、パラメータ編集用プラグインなどが含まれる。
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デモでは音声ストリーミング機能のみを実演
ElektronデバイスからiPadへ、マルチチャンネルで音声を直接ストリーミング。DAWプラグイン等は使用せず。
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USBハブを使用すれば複数デバイスを同時に接続可能
たとえばDigitoneやSyntaktなど複数台を同時にiPadに接続し、制御が可能。
対応状況
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iPad OSでは同時に1つのオーディオインターフェースしか選択できない
複数のデバイスを接続することは可能だが、アプリごとに選べるのは1台のみ。
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Logic Pro for iPadやAUMなどのアプリでマルチトラック録音/再生が可能
トラックごとにエフェクトの追加や録音などもリアルタイムで行える。
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Overbridgeはクラスコンプライアント方式ではなく独自ドライバを使用
より柔軟で多機能な通信が可能だが、iPad上ではAppleによる制約もある。
ドライバ使用には設定メニューでの許可が必要。
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現時点ではレイテンシー(遅延)の最適化には未対応
コンピュータ上のOverbridgeプラグインと異なり、iPad版では遅延補正機能などは今後の課題となっている。
iPad上でElektron機材を扱える日が近づいてきたのは、とても興味深い展開です。
まだ開発中の段階ではありますが、Overbridgeによってハードとモバイル環境の新しい組み合わせが実現すれば、制作やライブのスタイルにも新たな可能性が生まれそうです。
今後のアップデートと正式リリースに期待したいと思います。