グリッチやグラニュラー、スペクトラル処理など、ちょっとクセのあるエレクトロニックなサウンドを手軽に操れるユニークなエフェクトペダルが、Polyendから登場しました。

名前はMESS(メス)。Superbooth 2025で発表されたこの新製品は、120種類以上のエフェクトアルゴリズムと4トラックのステップシーケンサーを組み合わせたマルチFXペダルです。シーケンスでエフェクトを動かすそのスタイルは、Sugar Bytesの「Effectrix」や「Looperator」などのプラグインに近い感覚ですね。でもMESSは、それを手元で、ペダルで楽しめます。

『MESS』は、一見すると一般的なギター用のエフェクトペダルのような筐体ですが、その中身は全くの別物。Polyendいわく、

「これは、スタンダードなマルチエフェクトと、モジュラー系ペダルの中間にあるような存在」
── Polyend創業者 Piotr Raczynski

とのこと。複雑なルーティングやパッチングをしなくても、自分好みのテクスチャーや変化に富んだサウンドを即座に作り出せる設計。まさに「遊べる」エフェクトボックスという印象です。

120種類以上のエフェクトを4スロットに配置

 

MESSには、11カテゴリ・120種類以上のエフェクトが用意されており、4つのエフェクトスロットに自由に割り当て可能。各スロットに同じエフェクトを複数配置することもできます。

基本的なディストーション、フィルター、リバーブ系から、グラニュラー系(Granular Burst / Particle Sampler)やスペクトラル処理、マイクロルーパー系(Slice、Dropper、Stereo Sliceなど)まで搭載。リバーブは7系統に複数モード、ディレイもアナログ・デジタル・マルチタップ・ピンポンまでカバー。

コーラスやフランジャー、フェイザー、テープモジュレーターなどのモジュレーション系も充実しています。

特にユニークなのがグラニュラー系。たとえば「Portrait」は大きなグラニュラーウィンドウを使って水滴のようなサウンドを生み出し、「Scatter」では音を時間軸でバラ撒くようなエフェクトが可能です。これはプラグインでいうところのSugar BytesのEffectrixやLooperatorのような感覚に近いかもしれません。

 

ステップシーケンサーがエフェクトを「動かす」

 

MESS最大の特徴は、4スロットすべてのエフェクトをステップシーケンス化できること。それも単なるON/OFFではなく、各ステップでエフェクトパラメータの動的変化を設定可能です。たとえば、最初のステップではリバーブの音量を最大限にして、次のステップではフィルターカットオフを最大限に上げるなど、思いつく限りの実験ができるわけです。

さらに、各トラックのステップ数やスピードを独立して設定できるので、ポリリズム/ポリメーターな動きもOK。ステップごとの“トリガー確率”も設定できるので、常に変化し続けるシーケンスを作ることもできます。

つまり、エフェクトそのものがリズムを持って動き出すわけです。

 

操作性・接続性もばっちり

 

操作系は、カラー液晶と2つのポテンショメーター、4つのプッシュ式エンコーダーで直感的に。3つのフットスイッチは、電源・シーケンス再生・タップテンポを担当します。

背面には以下のような接続端子が揃っています:

  • ステレオイン/アウト(6.3mm)

  • MIDI IN/OUT(3.5mm TRS)

  • USB-C MIDI

  • エクスプレッションペダル端子

  • microSDカードスロット(32GB付属)

  • 9〜18VDC電源入力

発売日と価格

Polyend MESSは現在、Polyend公式サイトで予約受付中。2025年6月出荷予定で、価格は 599ドル/599ユーロ です。

Polyendとは?

Polyend(ポリエンド)はポーランドを拠点とする音楽機材メーカーで、デジタルとハードウェアの融合を得意とする新進気鋭のブランドです。
過去には、ステップシーケンサー内蔵のドラムマシン「Polyend Play」や、グリッド型シーケンサー「Seq」、ユニークなMPE対応グルーヴボックス「Tracker」など、直感的かつクリエイティブな製品を次々とリリース。

彼らの製品は一貫して、「すぐに遊べて」「深掘りもできる」デザイン思想が光っており、今回のMESSにもその精神がしっかりと受け継がれています。

Polyend

 

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