海外のシンセ事情、今週はどんな話題が注目を集めた?
音楽制作メディアやSNSから、注目の動きや議論をセレクト。新製品、名機の再評価、そしてユーザーのリアルな反応まで、コンパクトにまとめてお届けします。
値下げ・クローン・名機復活 で揺れた先週のシンセ界
先週(2025年6月第1週)は、「大胆な値付け」「クローン論争」「名機の再発見」という3つの話題がシンセコミュニティを大いに賑わせました。価格破壊が進む一方で、過去の名機が現代の視点で再評価される動きも活発。そんな“振れ幅”の大きい1週間を、できるだけコンパクトに振り返ります。
1. Teenage Engineering ─ OP-1 Field「好きな値段」セール
概要:
Teenage EngineeringのOP-1 Fieldが、「Pay What You Want(好きな価格を設定)」方式のセールを実施中。自分で支払額を選べるスタイルで、下限は1,399ドル(通常価格より約600ドル引き、日本ではおよそ41%の割引)。この方式はソフトウェアでは時折見られますが、ハードウェア製品では非常に珍しいケースです。
なぜ注目?
高価格で賛否を呼んできたOP-1がコレまでにない大幅値引き。定価購入者の不満と、値下げ待ち層の歓喜が同時に噴出し、SNS上でも議論が白熱。
主な反応:
賛成派からは「少しでも安く買えるのは歓迎」「余裕がある人は上乗せで支援できる」といった声が。一方で否定派からは「結局ただのセール」「定価で買った人の気持ちを踏みにじるギミックだ」との声も。
ひとこと感想:
実際に下限以上の金額を支払う人がどれほどいるかは疑問ですが、話題性は抜群。ただしキャンペーン後、既存ユーザーへのフォローをどうするかがブランドへの信頼を左右しそうです。
2. Behringer Skies ─ Mutable Clouds のクローンを発表
概要:
Behringerは、ユーロラック・グラニュラー名機「Clouds」のクローンモジュール「Skies」を約100ドルという低価格で発表。USB-C端子が追加されています。
なぜ注目?
“名機×破格”で初心者には朗報。一方で「またクローンか」と議論を呼び、OSS(オープンソースソフトウェア)と商業倫理についての再論争へ。
主な反応:
賛成派は「CloudsはOSSだから再利用は正当」「安価で多くの人が使えるのは良いこと」と支持。一方、否定派は「改良も付加価値もない単なるコピー」「Behringerの倫理に疑問」といった厳しい声も。
ひとこと感想:
裾野を広げる力は大いにある一方で、OSSの精神を尊重した+α(改良や還元策)を示すことで、より前向きに受け入れられるのではないでしょうか。
3. Doctor Mix が語る Yamaha VL-1 物理モデリング解説
概要:
YouTuberのDoctor Mixが、1990年代Yamahaの物理モデリングシンセ「VL-1」を分解解説。開発者Manny Fernandezとの対談や、USBフロッピー化改造の紹介も含む濃厚な内容です。
なぜ注目?
物理モデリング技術の再評価が進む中、コメント欄では「Reface VLを出して!」「VST化してほしい!」といった復刻希望が多数寄せられています。
主な反応:
「名機を深掘りする神コンテンツだ」「物理モデリングを学び直す良い機会」といった好意的な声が多い一方で、「ブレスコントローラーを使う演奏が疲れる」「実機の入手が難しい」といった実用面での課題も指摘されました。
ひとこと感想:
ノスタルジーと学びを両立した好企画。YamahaがVLエンジンを現代に復活させるきっかけになるかもしれません。未見の方はぜひチェックを。
昔の名機に光が当たり、新しい波も起こる──そんな「今」が面白い!
今週も、テックとノスタルジーが交差するような濃密な話題が続々。未来を形作るのは、こうした小さな“再発見”かもしれませんね。それではまた来週!