Universal Audioのアナログ・モデリング・シンセ「Anthem」をいじってみた


 

Universal Audioが、macOS / Windows対応のアナログモデリング・シンセプラグイン「Anthem」をリリースしました。OpalやPolyMAXに続く、UADの最新ソフト音源です。(Poly Maxは6/30までフリー!

さっそくこの新しい「Anthem」を半日かけていじってみたのですが、一言で表すなら、音が太くて気持ちいい!

ひとつひとつのサウンドに説得力と存在感があり、まさに“アナログ的”というべき芯の強さがあります。それだけで創作意欲をかき立ててくれるような魅力を感じます。

中でも特筆すべきはフィルター。クリーミーな質感で、レゾナンスとドライブを最大にすると獣のように唸る——そんな暴れっぷりも楽しめます。

また、「モノ/ユニゾン/パラフォニック(最大4音)」という仕様も、このシンセのキャラクターを際立たせています。最大4音までのコード演奏が可能ですが、いわゆるポリフォニックとは異なり、全体でひとつのフィルターやエンベロープを共有するため、独特のグルーヴ感や荒々しさが生まれます。そのちょっと不器用な挙動が、逆に“今っぽい”音として響いてくるのです。

一方で、機能面に目新しさはあまりありません。革新的とは言えない構成で、例えばモジュレーションの自由度やエフェクトの柔軟性には物足りなさもあります。

ですが、UADのプラグインとしては珍しくシーケンサーを搭載している点には、いい意味で驚かされました。とはいえ、このシーケンサー自体はごく基本的な機能にとどまり、操作性や使い心地の面ではもうひと工夫欲しいところです。

それでも私がこのプラグインを気に入っているのはなぜか?

それは、インターフェースが非常に直感的で、操作性がとても良いからです。

Anthem」は、減算型のアナログスタイル・シンセシスを学びたい人にとって、最初のシンセとしてもおすすめできる存在だと思います。

 

基本構成と仕様

  • 2基のオシレーター + サブオシレーター

  • MIXER、フィルター、2基のエンベロープ、LFO、マルチエフェクト、シーケンサー

  • モノ/ユニゾン/パラフォニック(最大4音、レガートあり)

 

オシレーター

  • 各オシレーターは三角波〜モーフィング可(トライアングル→ノコギリ→矩形→パルス)

  • OSC2 にはシンクとリングモジュレーションが追加され、LFOやエンベロープで変調可能

  • サブオシレーターはメインより2オクターブ低く出力可能

  • オシレーター部は音質が太く、上位レベル。モーフィングの変化を使った動きのある表現が可能

フィルター

  • シンプルなローパス+ハイパス filter(カットオフ/レゾナンス/ドライブ付き)

  • モジュレーション可能な機能も用意されており、滑らか〜狂気的なサウンドまで幅広く対応

  • ただし、マルチモードフィルターは非搭載

モジュレーション

  • LFOは1基のみ。波形モーフィング、0.05–200 Hz対応、リトリガー可

  • エンベロープは2基のADSR(ベロシティ対応)

  • モジュレーションマトリクスはなく、各パラメータに個別設定方式

  • モジュレーションの自由度は控えめ

エフェクト

  • コーラス、フランジャー、ワーブル

  • スプリングリバーブ、スペースEchoなど搭載
  • 特にテープエコーは滑らかで透明感あるクオリティ

  • エフェクト部はモジュレーション不可

シーケンサー

  • 3レーンx16ステップ(Gate, Pitch, Velocity)

  • 再生方向はForward/Reverse/Ping‑pong/Ping‑pong 2/Random

  • 各レーンに独立したステップ長設定可能(ポリリズム可)

  • スウィング、ゲート長、レガート対応

 

AnthemはUAD Sparkサブスクリプションに追加されています。個別購入の場合、価格149ドル(イントロダクション)通常199ドルとなっています。

UAD

 


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