Ableton Live 12.3ベータ版がリリース:ステム分離、Splice連携など新機能が盛りだくさん


Ableton Live 12.3 のベータ版がリリースされました。

Live 12のライセンスを持ってる方は、Abletonのベータプログラムにサインアップすることで、現在公開されているLive 12.3のベータ版の新機能を試すことができます

今回のアップデートでは ステム分離機能、Splice連携、バウンス機能の強化、Auto Pan-Tremoloの刷新、A/B比較機能 など、重要な新機能が多数追加されています。

ここ最近のAbleton Liveはアップデートのピッチが非常に早く、ユーザーとしては嬉しい限りです。しかも「欲しかった機能」が次々と搭載されており、今回の12.3もそうした流れを強く感じさせる内容となっています。

1. ステム分離 (Stem Separation)

これまでは iZotopeやSerato、Logic Pro といった外部ソフトに頼らざるを得なかった「ステム分離」が、ついにLiveの中だけで完結します。(Suiteエディション限定機能)

たとえば:

  • 気に入ったレコードの一部を切り出す、例えば ボーカルだけ取り出す → 新しいトラックにサンプリング

  • ドラムを抜き出して 自分のリズムに再構築

  • ベースラインを取り出し、MIDI変換してシンセで再演奏

といったリワークやリミックスの作業が圧倒的に効率化します。

 

2. Splice連携 (Splice Integration)

Spliceのサンプルライブラリは、特にエレクトロニック系のプロデューサーにとって定番。

これまでは一度ブラウザでサンプルを探してからLiveに読み込む必要がありましたが、Liveのブラウザから直接アクセス できるようになったのが今回の大きな変化です。

「Search with Sound」を使えば、いま選んでいるクリップを分析して、似た質感のサンプルを即座に提案してくれます。テンポやキーに合わせて試聴できるのも便利です。

 

3. バウンス機能の強化

Live 12.2で導入された「Bounce to New Track」に続き、12.3ではバウンス機能がさらに進化しました。

Bounce Group in space」「Bounce Group in ne Track」はグループ全体を1つのトラックにバウンス、または新規トラックにコピーする機能で、アレンジメント/セッションビュー両対応します。

Paste Bounced Audio」では、コピーしたクリップや選択範囲を、バウンスされたオーディオとして任意のトラックまたはテイクレーンに直接ペーストでき、素早いエディットやリサンプリングのワークフローが実現します。

従来は「MIDIやクリップをオーディオに変換したい」と思ったら、そのたびにバウンス処理を実行する必要がありました。しかし新機能では、一度バウンスした結果を保存しておき、好きな場所に何度でも貼り付けられる ようになっています。

例えば:

  • MIDIで作ったベースリフをバウンス → 別のトラックにオーディオとしてペースト

  • そのオーディオをさらにコピーして、リバーブやディストーションをかけた別バージョンを作る

  • 同じフレーズを複数のトラックに展開して、リミックス感覚で並べる

これらが「再バウンスなしで」瞬時に行えます。

 

 

4. Auto Pan-Tremolo(再設計)

従来のAuto Panが大幅に進化し、Auto Pan-Tremolo として再登場しました。

シンプルな左右パンだけでなく、音量変化(トレモロ)や帯域を使ったモジュレーションまで幅広く対応します。

  • 2モード:パンモード(左右の定位を動かす)、トレモロモード(音量を揺らす)

  • 新しいLFOタイムモード:フリーランニングでゆったり揺らしたり、シンクでテンポに合わせて動かしたり

  • モジュレーションアタック:トランジェントを残しつつ、揺れが後から立ち上がる

  • Harmonic / Vintageモード:倍音的に揺らしたり、ウォームで荒い質感を加えたり

→ サウンドデザインだけでなく、ライブパフォーマンスでの表情付け にも役立ちます。

 

5. A/Bパラメーター比較

Live 12.3 では、すべてのデバイス(Instrument / Audio Effect / MIDI Effect)に A/B比較ボタン が追加されました。

  • AとB、2つの状態を保存して瞬時に切り替え可能

  • サウンドデザインの「どっちが良いか?」をワンクリックで比較できる

  • Pキーでキーボード切替 にも対応

  • Max for Liveデバイスからもアクセス可能

たとえばEQの設定を2パターン試したり、シンセのフィルターを2種類聴き比べたり…制作のスピードが一段と上がる 機能です。

 

6. MIDIツール & Packのアップデート

今回のアップデートでは、MIDI生成ツールと既存Packの機能強化 も含まれています。

  • Generators Pack(Standard / Suite 向け) にIftahによる新しいMIDIツールが追加:

    • Sting:アシッドベースラインの自動生成。名前は「アシッドベース」ですが、それ以上の機能を持ち、リズム生成にも活用可能。

    • Patterns:パーカッシブなリズムを瞬時に生成。ドラムフレーズづくりのアイデア出しに最適。

  • Sequencers Pack(アレンジメント系のシーケンサー機能)もアップデート。

  • Expressive Chords Pack(Chord Edit Mode対応)も刷新され、コードの移調や「Learn」機能で演奏したコードを即登録可能に。

 

まとめ

Ableton Live 12.3 は、ステム分離、Splice連携、バウンス機能の強化、Auto Pan-Tremoloの刷新、A/Bパラメーター比較、Max for Live APIの拡張、MIDIツールとPackの更新 など、多くの新機能を含むアップデートとなっています。Push 3 に関しても大規模な改善が加えられていますが、これに関してはまた別の機会に書く予定です。

現在、Live 12.3 は 公開ベータ版 として提供されています。Ableton Live 12 のライセンスを所有しているユーザーは、Ableton公式サイトのアカウントページからベータプログラムに登録することで利用することができます。

正式版は今後数週間以内に公開されるようで、Live 12 のライセンス所有者は 無償アップデート として入手できます。

Ableton Live 12.3が登場



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