Baby Audio「Tekno」登場 – サンプルレス設計、人間味を加える次世代ドラムシンセ


 

ソフトウェアメーカー Baby Audio から、待望のドラムシンセサイザー 「Tekno」 がリリースされました。

このプラグインは、あえてシーケンサーを搭載していない点が最大の特徴。パターン構築はDAWや外部シーケンサーに任せ、ユーザーがサウンドデザインに100%集中できるようにした潔い設計です。

Roland TRシリーズをはじめとするクラシックなドラムマシンの流れを踏襲しながらも、すべてのヒットをサンプルに頼らずゼロから生成する完全合成型。現代的な電子音楽に求められる“即戦力”と“実験性”を兼ね備えた、まさに新世代のドラムデザイン・ツールと言えるでしょう。

まずはどんなサウンドがなるのかチェックしてみましょう。

Teknoの簡単な使い方

実際に使い始めるのは驚くほどシンプルです。

  1. DAWに読み込む – インストゥルメントトラックに追加するだけ。

  2. DAWでパターンを作ってドラムを鳴らす – 18種類のドラムエンジンをMIDIでトリガー。対応ノートは C1–F2 と C3–F4。(下画像)

  3. 音を調整 – 六角形タイルのペンアイコンから「Synthesize」パネルで主要パラメーターを直感操作。歯車アイコンで「Calibration」に入れば、回路をいじるようなディープ編集が可能。

  4. プリセット&ランダマイズ活用 – 著名サウンドデザイナーが手がけた豊富なプリセットを収録。さらにサイコロアイコンひとつで、新しいサウンドやキットを即座に生成。

  5. さらに気に入ったサウンドは、そのままドラッグ&ドロップでDAWやコンピュータのフォルダに直接エクスポートできます。エフェクトの有無を選んで書き出せるのも便利です。(下画像)

18種類のドラムエンジンをMIDIでトリガーしましょう。対応ノートは C1–F2 と C3–F4。

 

任意のボイスをドラッグ&ドロップ するだけで、DAWのオーディオトラックやデスクトップ/任意のフォルダに直接オーディオファイルとして書き出せます。

 


サンプルレス設計と18ドラムエンジン

サンプルを使わないTeknoは、クラシックなアナログマシンのように“一発ごとに微妙に異なる”生きたビートを奏でます。

18種類のエンジンは、アナログモデリング、FM、デジタル合成を組み合わせて設計。硬質なキックからざらついたスネア、きらびやかなハットまで、幅広いキャラクターをカバーします。

タムを使って重低音のベースパターンを組んだり、カウベルをシンセ的に鳴らしてフレーズを作ったりできること。ドラムシンセでありながら、リズムトラックを超えてメロディやベースラインまで広がるのがTeknoならではの魅力です。

 


EditとCalibrate — 自由度と一貫性を両立

UIは「Edit」と「Calibrate」という二層構造。

  • Edit(Synthesizeパネル):主要パラメーターを数本のスライダーに絞り、即戦力の音を素早く作れる。

  • Calibrate(Calibrationパネル):隠された回路をいじるように、ディープで極端なサウンドデザインが可能。

操作体系は一貫しているため、複雑さに圧倒されずに自由度の高さを活かせるのもポイントです。

六角形タイルのドラムボイスを選択すると、Syntysizeにパラメーターが表示され、ここでエディットを行う。
さらにSynthsizeの左にある歯車アイコンを押すと、Calibrationが右側に表示される。各ボイスごとに異なる設定が行えます。

 

さらに、Teknoの各パラメーターはDAWからのオートメーション操作に完全対応

特にAbleton Liveでは、SynthesizeやCalibrationのスライダーをそのままオートメーションに割り当てられるため、トラック進行に応じて音色やリズムフィールを有機的に変化させることができます。


ランダマイズ・Humanize・ダッキング – ビートに生命感を与える3つの機能

Teknoには、単に音を作るだけではなく、ビートに生命感を与える仕掛けがいくつも用意されています。 その代表的なものが「ランダマイズ」「Humanize」「ダッキング」、そして「シャッフル」の機能です。

ランダマイズ – 偶然性を味方に

サイコロアイコンをクリックするだけで、パラメーターが自動的に組み替えられ、新しいサウンドやキットを即座に生成。Option/Ctrlキーを押しながらクリックすれば、隠されたCalibrationパラメーターまでランダマイズされ、思いがけないサウンドが制作の出発点になります。

Humanize – 打ち込みを有機的に

Humanizeスライダーを上げると、各ヒットの音色・タイミング・ベロシティに微妙な揺らぎが加わり、機械的な反復を回避。さらに「Params」「Time」「Accent」を個別に調整でき、アナログマシンのような“生きたグルーヴ”を生み出せます。

ダッキング – 自然なポンピング感

Teknoには一般的なチョーク機能の代わりにダッキング機能が搭載されています。特定のボイスをトリガーした際に、他の複数ボイスを同時に抑えることが可能。例えばキックが鳴った瞬間にハイハットやクラップを下げれば、クラブトラックに欠かせないポンピング感を簡単に再現できます。

UI上のアヒルアイコンが目印。クラブトラックに欠かせないポンピング感を簡単に再現できます。

シャッフル機能 

Teknoにはシーケンサーはありませんが、内部設定メニューに「Swing」パラメーターが用意されており、外部シーケンサーと組み合わせてシャッフル感を加えることができます。Humanize機能と合わせて使えば、さらに有機的なビートの揺れを演出することが可能です。

 


エフェクトとマスターセクション

各ボイスには専用エフェクトが用意され、さらにグローバルにはリバーブ、リミッターとクリッパーが搭載されています。リミッターは音量のピークを抑えて全体を整える役割を持ち、クリッパーはピークを意図的に削ることで倍音を加え、ドラム全体をよりラウドで前に出るサウンドに仕上げます。両者を組み合わせることで、Teknoはパワフルで飽和感のあるビートを作り上げることができます。

ドラムキット全体をまとめる“最終工程”まで1つのプラグイン内で完結できるのは大きな魅力です。

各ボイスやエフェクトをまとめて調整できるミキサーページも搭載されており、仕上げまでTekno内部で完結可能です。

 


価格

気になる価格は 定価 $129(約1万7,000円前後)

現在はイントロセール中で $79(約1万100円) と手が届きやすくなっています。Baby Audio社プラグインコレクションのサブスクは月額$14.99

国内外の販売サイトでも割引価格が適用されており、導入コストの低さは嬉しいポイントです。


まとめ

Baby Audio Teknoは、サンプルレス設計と二層構造UI、そしてランダマイズやHumanizeといった人間味を加える機能群で、ドラムシンセの新しいアプローチを示しています。

従来のTR的なグルーヴから、未知の音を切り拓く実験まで──幅広い制作に応えてくれる存在です。今後のバージョンアップにも大いに期待したいです。

製品ページはこちら:

Baby Audio Tekno (公式)

 


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