
Ableton Live専用のシンプルなモノアシッド・シンセ「Slippery Slope」が バージョン1.1 にアップデートされました。
今回の目玉は、Microtuner や Ableton Tunings を介した マイクロトナリティ(微細音程)対応。これにより、従来の12平均律を超えたスケールでの表現が可能になり、より自由で実験的なサウンドデザインが広がります。最新バージョンは開発者のウェブサイトからダウンロードできます。
Slippery Slopeとは
Slippery Slopeは、単一オシレーターのモノアシッドベースライン・シンセサイザー。
特に同じ開発者による Sting と組み合わせることで、Ableton LiveやPush Standalone上に「アシッド・エコシステム」を構築できるよう設計されています。
ここでいう役割分担はシンプルで、Slippery Slopeが音源部分をエミュレートし、Sting2がシーケンサー部分を担うという関係性。両者を組み合わせることで、Roland TB-303的な「音+シーケンス」の体験をAbleton環境で再現できるわけです。もちろん他のMIDIソースでも問題なく利用可能です。
アシッドベースとは?
「アシッドベース」とは、Roland TB-303に代表される、うねるように動く独特のベースサウンドのこと。
レゾナンスを効かせたフィルターの開閉によって「ギュイン」「グニョグニョ」と変化するフレーズが特徴で、ハウスやテクノをはじめとする多くのダンスミュージックで定番の存在です。
Slippery Slopeは、無料版と有料版の両方が提供されており、どちらも機能は同一。開発者は「最も広い意味でのアクセシブルなソフトウェア」と位置づけており、誰もがアクセス可能です。
Microtunerとは?
今回のアップデートの鍵となる Microtuner は、Abletonが制作したMax for Liveデバイスです。https://www.ableton.com/ja/packs/microtuner/
マイクロトーンのスケールを編集・生成でき、独自の音律を演奏に取り入れることが可能になります。
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Live 12 Suiteに標準搭載
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Live 12 Standard + Max for Live(v12.0以降)でも利用可能
マイクロトナリティがもたらす「揺らぎ」
マイクロチューニングといえば、Aphex Twinのようなアーティストが積極的に取り入れてきたことで知られています。理論的に説明するのはとても難しくて、ここではありきたりなことしか言えません。
つまり、ピッチが微妙にずれた音を重ねることで、悪く言えば「乗り物酔い」したような不安定さ、良く言えばアナログ的な揺らぎや温かみが生まれる、ということです。
アシッドベースのようにリジッドで反復的なパターンにこのズレを加えると、規則性と不規則性のせめぎ合いから独特のニュアンスが生まれ、サウンドに妙な中毒性を与えてくれます。
ぜひ試してみて。
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