2002年に登場したオリジナルの microKORG は、当時まさに“ゲームチェンジャー”でした。
90年代後半の最先端だったVAシンセを、手のひらサイズで、しかも手が届く価格で実現。
それまで高価だった電子音の世界を、限られた予算のアーティストにも開いた——そんな象徴的な存在でした。
あれから20年。
KORGは2023年、ついに後継機となる microKORG 2 をリリース。
新しい音源構造とデザインで、現代的なポップスやエレクトロニカに対応するモデルとして再出発を果たしました。
そしてさらに先日、ファームウェア Ver.2.0 という大型アップデートが配信され、
microKORG 2 は“完成されたシンセ”から“進化し続けるシンセ”へと姿を変えました。
SNS上では「まるで別のシンセになった」「無料アップデートでここまで変わるとは」と驚きの声が相次いでいます。
Logue SDK で音作りの自由度が飛躍的に向上
最大のトピックは、logue SDK 対応です。
KORGの logue SDK は、ユーザー自身がオシレーターやエフェクトを開発してシンセを拡張できるプラットフォームです。
minilogue xd や NTS-1 でおなじみのこの仕組みを、microKORG 2 もついに採用。これにより、従来の固定シンセ構造から一歩進み、FMやウェーブテーブル、フェーズディストーションなど、多様なシンセシスを自由に扱えるようになりました。
ただし注意点として、これまでリリースされてきたminilogue xd や NTS シリーズのための数多くのプラグインは、そのままでは動作しません。音源構造が異なるため、開発者による再コンパイルが必要 とのことです。
また、microKORG 2 上には最大で 32 個のオシレーター(プラグイン)と 32 個のエフェクトをインストールできますが、実際に動作させられるのは「オシレーター 1 つ + エフェクト 3 つ」までとなっています。
Korg は Sinevibes (ウクライナのプラグインメーカー)と協力し、既存の 15 プラグインを microKORG 2 向けに最適化したKORG FXをリリース。このバンドルにはAlbedo v2(グラニュラーリバーブ)、Corrosion v3(多アルゴリズムディストーション)、Rerun(自己変化型リピーター)などが含まれます。
さらに、 「Atom」(マルチモードフィルター)と 「Drift v2」(ノイズモデラー)という 2 つのプラグインを無料で提供していますので、microKORG 2ユーザーの人はさっそくSinevibesn のホームページからダウンロードしてみてください。
また、解説動画でお馴染みのLoopopもPhase Loopopというディレイプラグインをリリースしています。Loopop
このように今後もさまざまなディベロッパーが新しいユニークなプラグインを開発・販売していくことが予想されます。
ルーパー機能がクリエイティブに進化
Ver.2.0 では、内蔵ルーパーが大幅に強化されました。
従来の「録って回す」だけの機能から、制作ツールとしての側面がぐっと広がっています。
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ステップ録音(ステップサンプリング)
リアルタイム演奏が難しい人でも、一音ずつループを構築可能。ステップごとに音色を変えられるため、オーディオベースのステップシーケンサーのように使えます。
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スライス・モード
録音したループを自動的に分割し、鍵盤(32キー)にアサイン。アルペジエーターと組み合わせることで、スライスをリズム的に再構成し、新しいグルーヴを作り出せます。
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インポート/エクスポート機能
録音したループを 16bit/48kHz WAV として DAW に書き出し可能。編集後に再インポートして、ライブやパフォーマンスで再利用することもできます。
その他の主要な拡張機能
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OSC 3 Lowモード:オシレーター3が LFO としても動作。モジュレーションソースとして活用することで、金属的な響きや複雑な変調効果が可能に。
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スプリット機能:鍵盤を任意の位置で分割し、左手でベース、右手でリードなど、2音色を同時に演奏可能。
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ピッチベンドレンジ設定:アップ/ダウン方向で異なるベンドレンジを設定できるようになりました。
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インポート/エクスポート機能:録音したループを 16bit/48kHz WAV として DAW に書き出し可能。編集後に再インポートして、ライブやパフォーマンスで再利用することもできます。
無償アップデートで大幅進化
Ver.2.0でようやく、microKORG 2が“いじりがいのあるシンセ”になった気がします。
SDK対応で音作りの自由度が広がったことで、ハードの寿命も長くなりそうです。




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