Roland が、ZEN-Core 音源の新バージョンとなる ZENOLOGY GX を発表しました。
従来の ZENOLOGY Pro の後継にあたるアップデートで、エンジンが刷新され、より軽く、速く、深く編集できるソフトシンセへと進化しています。
あわせて、ZENOLOGY GX を動かすためのプラットフォームである GALAXIAS も 1.8 にアップデート。
GX を利用するには、この GALAXIAS 1.8 が必須です。さらに、GALAXIAS 1.8 を利用するにはRoland CloudのUltimateサブスクリプションが必要です。
まずは、この2つの関係から整理していきます。
ZENOLOGY GX は、Roland の ZEN-Core 音源を PC 上で扱うための新しいソフト版エンジンで、従来の ZENOLOGY Pro の後継にあたります。エンジンが再設計され、読み込みの速さや軽さが大きく改善され、4レイヤー構成による“ハード級”の音作りが DAW 内でも可能になりました。
ただし GX は単体プラグインとして動作するわけではありません。GX を使うには GALAXIAS を 1.8 にアップデートする必要があります。GX は GALAXIAS の内部エンジンとして動作し、プリセットを呼び出すと自動的に GX が起動します。
GX の大きな魅力は、Roland サウンドを 11,000 種類以上扱えるという圧倒的な音源量です。ZEN-Core の膨大な PCM ライブラリ、XV-5080 時代の音色、JUNO・JUPITER 系のクラシックモデル、往年のフィルターモデリング、そして JUNO Chorus や CE-1、Dimension D など 90 種類以上のクラシックエフェクトまで、Roland が長年積み上げてきたサウンド資産が GX の中で統合されています。まさに“Roland のサウンドデザイン全部入り”と言える内容で、高速化されたブラウザによって、この膨大な音色をスムーズに扱えます。
GX で作った音色は、FANTOM、JUPITER-X、JUNO-X、MC-707、RD-88 といった ZEN-Core 対応ハードへそのままエクスポートできます。PC で作った音をステージ用のシンセに持ち出せるのは大きな利点です。一方、ハード側から GX へのインポート(SVZ 読み込み)は現時点では未対応のため、この点は注意が必要です。
GALAXIAS 1.8 自体も進化しており、最大 4 つのインスタンスを同時にレイヤーできる機能が追加されました。GX の最新エンジンに加え、JUNO 系や JUPITER 系、TR-808 などのレガシー音源を同じ画面で組み合わせられるため、DAW 内で豪華なシーンづくりがしやすくなっています。
GX および GALAXIAS 1.8 に関しては、いくつか制限もあります。
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GALAXIAS はサードパーティ製プラグインを読み込めない
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ZENOLOGY Pro と ZENOLOGY GX が並行して存在していてやや混乱しやすい
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GX を使うには Roland Cloud の Ultimate プランが必須
こうした点はあるものの、FANTOM や JUNO-X で育ってきた ZEN-Core の世界が、ソフト側でも本格的にまとまり始めた印象があります。
最初の導入こそ少しややこしいですが、一度流れを掴めば、GX は Roland の膨大な音色資産を自由に操れる、もっとも強力なソフト版 ZEN-Core” として、非常に頼もしい存在になります。



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