Electra One Mini は、ハードシンセやソフトシンセ、プラグインのパラメータをひとつの操作体系にまとめ直す “MIDI コントロールセンター Electra One” のコンパクト版です。普通の MIDI コントローラーが MIDI CC だけを前提にしているのに対し、Electra One は NRPN や SysEx、さらに DAW のオートメーションパラメータまで扱えるのが特徴。古いハードウェアシンセの深いメニューから最新の VST まで、画面上に整理し「自分の手で操作できる UI」に変換できるのが最大の魅力です。
また、普通の MIDI コントローラーのように「プラグインが CC に対応しているかどうか」に縛られないのも大きな強み。Ableton や Bitwig が持つ自動化パラメータを経由して操作できるため、プラグイン側が CC 非対応でも問題なくノブで動かせます。つまり、メーカーや仕様に関係なく どの音源でも“物理ノブで触れる”環境が作れる ということ。これは他のコントローラーにはない大きな違いです。
本体を見てみましょう。Mini ではノブが8つになり、ディスプレイも 5インチへと小型化されました。そして大きな違いとして、タッチ式スクリーンが非対応になったことで、パネルを直接タッチしてページを切り替えたり、微調整を行ったりすることはできません。ただ、その代わりに価格と筐体サイズをぐっと抑えられたこと、そして Electra One プラットフォームの機能自体は一切削られていないことがポイントです。Lua スクリプトによる拡張、複雑なルーティング、複数パラメータの連動など、できることは本家と同じまま。操作方法だけが簡潔になった、という印象です。
ノブに触れるとパラメータ名と値が画面に表示され、Ableton や Bitwig の複雑なデバイスもハードシンセのように直感的に触れる。この“視覚と操作の一致”が、制作の途中で生まれがちな迷いをスッと消してくれます。すでに300以上のプリセットが公開されているので、対応シンセを持っていれば導入直後からかなり本格的に使えるはずです。
プリセットライブラリーの有無はここで確認できます。https://app.electra.one/
個人的にいちばん嬉しかったのは、自分の KORG EX-8000 を本気で触れるようになるという点。あの機材はアナログシンセであるにも関わらず、つまみ類が少ない、しかもMIDI CC非対応、 SysEx でしか編集できず、長年“面白いけど面倒”という存在でした。Electra One なら、パラメータを画面に並べてノブで直接触れる。古い名機が今の制作環境の中で息を吹き返す感じがあって、これはなかなか感動的です。



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