「AudioRoute 0.5」でPC音声をDAWに取り込む、設定不要のサンプリング環境


YouTubeの音源やブラウザで鳴らしたサウンドをサンプリングしたいとき。Web会議の音声を記録しておきたいとき。リファレンスにしたい曲をDAWへ取り込みたいとき。

そう思ってから波形がトラックに乗るまで、何工程あるだろう。「Audio MIDI 設定」を開いてBlackHoleを噛ませ、Live側の入力を切り替え、録って、終わったら全部元に戻す。手順は知っている。知っているからこそ面倒で、「まあ後でいいか」と思っているうちに、最初の「この音、使える」という熱はきれいに冷めている。実際、そういうことばかりでした。

サンプリングを止めているのは、たいてい音ではなく手順のほうです。

Arvital Audioの AudioRoute 0.5。これを入れてから、その手順がまるごとなくなりました。ずいぶん楽になった、というのがこの記事の結論です。

1. 仮想オーディオドライバーと何が違うのか

一番の違いは、OSやDAWのオーディオ設定を一切触らないことです。

常駐する本体アプリと、DAWに挿すプラグイン(VST3 / AU / AAX)が連携して動きます。システムの出力先を書き換えるのではなく、鳴っている音をアプリ側から直接受け取る。だから普段のモニター環境もマイク入力も生きたまま使えて、「戻し忘れ」が構造的に起きません。翌朝スタジオで音が出なくて青ざめる、あの事故が起きようがない。

インストールは、インストーラーを実行してmacOSのキャプチャ許可を通すだけ。あとはDAWを起動すれば「AudioRoute Capture」が一覧に並びます。

2. 0.5で入った「Record」モード

従来も音をDAWに流し込んで録ること自体はできました。ただしLiveの場合、フィードバックを避けるためにトラックを2本用意してSends Onlyにする、といった小さな知恵が必要でした。大した手間ではないけれど、思いつきで一発録るには一段重い。

Recordモード は、その一段をまるごと消しました。プラグインの中にレコーダーが入っていて、録った波形をそのままトラックへ引っぱっていけます。

3. 実際にやってみる(Ableton Liveの場合)

Step 1|取り込みたい音を再生する

ブラウザでもプレイヤーでも、ビデオ通話でも構いません。まだ何も設定していない状態で大丈夫です。

Step 2|トラックにプラグイン「AudioRoute Capture FX」をインサート

空のオーディオトラックで十分です。入力設定もモニター設定も触りません。

Step 3|Recordを押してキャプチャ

プラグイン上の録音ボタンを押すと、PCで鳴っている音がそのまま取り込まれていきます。DAWの録音ボタンは押しません。

YouTubeの音声を録音している様子。録れているかはメーターで分かる。右上の「Feedback safe」も安心材料

Step 4|波形をトラックにドラッグ&ドロップ

止めると波形が表示されます。あとはそれを掴んでトラックに落とすだけ。書き出しもバウンスも要りません。

Step 5|あとは普段どおり

置いた時点でただのオーディオクリップなので、Warpもスライスもいつもの手順で通ります。

「環境設定を開いて、ルーティングを変えて、別トラックを作って、録って、戻す」の代わりがこれだと考えると、差は小さくありません。

4. 覚えておくと得をする2つ

Keep my recordings をオンにすると録音がファイルとして残り、「Show Recordings folder」で保存先を一発で開けます。後で素材として整理したい人はオンで。

Advanced の中には Record at native capture rate、DC offset filter、Mono sumdown、Gain。普段は初期設定のままで問題ありませんが、モノ素材として取り込みたいときなどにここを使います。

価格と動作環境

価格 €29(買い切り・アップデート無償)
対応OS macOS / Windows
フォーマット VST3 / AU / AAX(+仮想入力デバイス、単体レコーダー)
体験版 14日間のフリートライアル https://audio-route.com/

バージョンはまだ0.x台です。6月の0.1.13から2か月で0.5.2、この記事を書いている最中にも2回上がりました。このペースは「活発」とも「まだ固まっていない」とも読める。実際、更新のたびにサンプルレート追従や録音中のデバイス切り替えといった足元の挙動が直されてきました。買い切り&アップデート無償なので、このまま走り続けてくれるなら歓迎ではありますが、更新のたびに何かが変わる前提で付き合うツールかもしれません。

 


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