デスクトップ型の新しいシンセサイザーWaldorf Rocketをちょっとだけ試してみました。9つという程よい数のノブとスイッチ、難しいことを考えずに音作りを楽しめるシンセで、個人的にはかなりのヒット♥ Dave Smithのようなアグレッシブなサウンドがいきなり飛び出してくるのとは違い、ああ、これぞドイツのシンセだ!!と感じることのできるいい意味で生々しいシンセサウンドです。面白いのは「WAVEノブ」で、右に回していくとハーモニーが生成されます。フィルターはかなり凶暴。アルペジエーターはトリッキー。「BOOSTスイッチ」を入れると今どきのザクザクとしたサチュレーションのかかったサウンドになります。ミニシンセサイザーといわれているほどサイズはミニではないのですが、サウンドはビッグ。USB MIDIはちょっと不安定なので、付属するパワーサプライを使いMIDIケーブルを使ってコントロールたほうがいいようです。デモを作ったので聴いてみてください。
ドイツのベルリンという街に住んでいて「あ〜嬉しい」と思う場所がいくつかあるのですが、このSchneisersladenはそのうちの一つ。創業15年、Andreas Schneider氏が経営するアナログものだけを取り扱うショップ。東京の原宿にもFive Gという同じスピリットを感じることのできるシンセサイザーショップがありますが、ここではSchneider氏自らがセレクトした新しい製品が揃えられており、訪れた人は展示されているすべての製品を試してみることができ、これが「嬉しい」と思うひとつの理由でもあります。
先日行われていたNAMM2013では特にアナログシンセサイザーの躍進が目立ちましたが、このショップに来てシンセサイザーの大きなつまみをいじったり、パッチケーブルをつないでいると、「なぜ今アナログシンセサイザーなのか?」という問いに対する答えがなんとなく分かってくるような気がします。
それでは中に入ってみましょう。
クロイツベルク地区という今ベルリンでもっとも活気のあるエリアに位置するSchneiders Laden。入り口はなんとコレ(画像上)。画像だけ見ているとなんだかおどろおどろしい気もしますが、ベルリンではこのような落書きは(社会問題となっているようではありますが)割と普通なのです。決して美しい街並というわけではありませんが、一歩なかに足を踏み入れるとそこはめくるめくシンセパラダイス。
日本でも割と馴染みのあるマシンが並べられてあるルーム-1。ここでもっとも気になったのがKnasというメーカーのスプリングリバーブ(画像上)。本体の上にあるバネをさわっているでけでもどこか遠くに持って行かれるようなドローンな音がする本物のスプリングリバーブ。
ではルーム-2の方へ。
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先週アメリカで行われていたNAMM2013ではMS-20 Miniを発表し、世界中のシンセファンからの大注目を浴びたコルグ。過去のシンセサイザーの名機が今の時代のプラットフォームに生まれ変わることで、何か新しいものを発見できそうな未来を感じているのかもしれません。
さて、今日の話題はiOSアプリKorg iPolysix for iPad。こちらのほうは1981年に発売されたアナログポリフォニックシンセサイザーの名機をiPadで再現しており、昨年末から発売になり大ヒットを記録しているアプリ。Polysix2台分の音源に加えドラムマシンやシーケンサーも新開発され、大きく生まれ変わったPolysix。
iMS-20などのiOSアプリやKORG Legacy Collection、DS-10の開発を手がける グループのメンバー3名(福田さん、中島さん、井上さん)に開発にまつわるお話を伺いました。
i:今回iPolysixを作ることになった経緯を聞かせてください。
中島さん 開発リーダー:
以前にモノフォニックシンセiMS-20を出していますが、今回はポリフォニックシンセのアプリを出したら面白いんじゃないかなと思ったのが始まりです。MS-20とは違ったアナログポリフォニックの良さを全面に出せるもの、ということでPolysixを題材にしてみました。MS-20(1978年)のモノフォニックの時代からPolysix(1981年)のポリフォニックの時代に変わって行く時代にタイムスリップするイメージですね。
福田さん グループマネージャー:
去年、別のチームと一緒にReason用のPolysixを出したり、Google I/Oという開発者イベントでmiselu用のPolysixバージョンを展示したり、なにかとPolysixに関わることが多かった というのが大きいです。
i:コルグさん的にはPolysixに特別大きな思入れがあったり?
福田:企画の段階からいつも自然とPolysixの話題がもちあがるんですよね。去年はPolysixに関わる流れがあり、僕らのチームはiOSがメインなんで、iOSでもPolysixを出さないわけにはいかないだろうって話になりまして、作るんだったら史上最強のPolysixを作ろうかってことになりました。
i:Reason用、Google miselu用、そして今回のiOSバージョン、大きな違いはあるのですか?
中島:音質的にはコアの技術を使っていますのでどれも同じモノと言えます。構成的にはiPadだけで曲を作れるものをつくりたかったのでiPolysixにはシーケンサーを付けたり、またオリジナルにはない波形やハイパスフィルターパラメーターも追加しています。
福田:オリジナルのPolysixでキックの音を作ろうとするとけっこう難しかったりするものですから、そのあたりをアシストするような機能を加えて、iPolysixだけでどこまでのシンセサイズができるのかを目標にして作りました。
i:オリジナルのPolysixは完全再現できてるんですか?
中島:もちろんオリジナルにある主なパラメーターはすべて含まれているのでオリジナルに忠実です。
アナログモデリングCMT(Component Modeling Technology)というコルグの技術で、以前発売したKorg Legacy Collectionで使ったものと同じ技術をつかっていますね。
福田:音を忠実に再現するために真面目な計算をしているんで、とても正確にできてますよ!
i: 最近始めてオリジナルのPolysixをさわる機会があったんですけど、ほんとすばらしい楽器ですよね、、まだまだ聞いたことのないようなサウンドがつくれたり。
当時としては外観にもこだわっていてカッコいいですよね、木の枠がついていたりとか。
i:iPolysixではじめて搭載されたシーケンサーPolysiqですが、おもしろいですね。見た目からしてもかなりいい感じですよね。
中島:いやあ~ありがとうございます。ステップシーケンサーの良さと、ポリフォニック、その両方の良さが上手く合わさって楽しめるようになったかなと思ってます。
井上:シーケンサーの見た目というとどうしてもピアノロールになってしまいがちなところがあって、そこをどうずらしてあげると面白いかなと考えましたね。
福田:ここは時間かけましたね。ミキサーの部分はKMX-8という昔の機種をベースにしていますが、シーケンサーに関してはポリフォニックのアナログシーケンサーってあまり思いつかないところじゃないですか。ピアノロールとはちょっと違った昔のスイッチ感みたいものを出せるように試行錯誤しました。
i:レトロでいて、新しい感覚がいいですね。テクノ心をくすぐるものがありますよ。
福田:Polysixが発売されたのが1981年ですが、当時ポリフォニックシーケンサーを作ることになっていたら、これに近い形になっていたんじゃないかなあーなんて思ってますね。
i:Polyshare(Sound cloudを使った楽曲の公開)では大勢の人が曲をアップデートしていますね
福田:あれは一番お勧めの機能ですね。
i:リミックスコラボっていうのはどのような機能なんですか?
福田:サウンドクラウドにソングデータとオーディオデータを一緒に付けてソングデータ部分をダウンロードしてリミックできるような形にしてあるんです。iMS-20で世界で初めて搭載した機能です。
iPolysixではすべての音を1から作っていかなければなければならないのですが、よくこれだけのことができるなあと、驚くようなカッコイイ曲がたくさんあります。 また国旗を出したんですけど、スウェーデンの人がいっぱ いあげてるなあ、とか、思いもよらなかった所からアップされていたりとか、スゴい面白いですね。
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今回のNAMMショーでもっとも注目が寄せられているのはおそらくこのコルグMS-20Miniでしょう。
オリジナルMS-20が発売されたのは1978年。強力なアナログフィルターとパッチングによる音作りの柔軟性が人気となり、中古市場では今なお10万円以上の値を付ける人気シンセ。その後もプラグインシンセLegacy CollectionやiPadアプリiMS-20 として復活し、現在ではおよそ30万人以上のユーザーがいるといいます。そして今年35周年を迎えるこのMS-20はオリジナルマシンを手がけたエンジニアの手によってハードウェアアナログシンセとして復活!!!
オリジナルMS-20に比べおよそ15%小さなサイズになっているMINI MS-20ですが、主要となるコンポーネントは限りなくオリジナルマシンに近い物が使用され、オリジナルマシンの回路が忠実に再現されているといいます。フィルター部にはおそらくMonotronと同様の物が使用され、若干の修正が加えられていると考えられています。さらにはMIDI In ポートとUSB MIDIポートを装備、本体にはオリジナルのマニュアルとパッチシート、パッチコード10本が付属。
現代のニーズにも十二分に答えることができるであろうMS-20 mini。NAMM2013にて、いよいよお披露目です。
2013年4月発売予定、価格 ¥41,800
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シンセベースのファンならば一度は手にしてみたいと思うモーグシンセサイザー。NAMM2013に登場するモーグの新しいシンセサイザーSUB PHATTYは、2オシレーター、31個のノブ、25鍵のキーボードが付いたモノフォニックのシンセサイザー。シンセベースだけでなくアナログパーカッションや広い範囲のサウンドデザインが可能となっている。価格は1099ドル。
注目はフィルター部に新しく搭載された「マルチドライブセクション」。モーグ特有の暖かみのあるサウンドをさらにアグレッシブでパワフルなサウンドに変えることができ、Sub Phattyはモーグシンセ史上でもっとも「gritty」なシンセになったそう。
Sub Phattyのデモ音源は、あのFlying LotusとAdam Fuchsによるコラボレーション「New Machine for Living」。サイケデリックなアニメワールド大全開。
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ドイツのソフトウェアシンセメーカーU-heからの嬉しいプレゼント、バーチャルアナログシンセプラグインPodolskiがフリーで配布されています。Podolskiは同社のFilterscapeVAの縮小版で、数年前にドイツの「Keyboard」マガジンの付録として付けられていたソフトウェア。新しいGUI、Howard Scarr氏によるプリセットが付け加えられ、Podolskiはフリーのプラグインソフトウェアとして現在ダウンロードが可能になっています。
すでに山ほどのバーチャルアナログシンセが世に出回っていますが、このPodolskiはサウンドの良さ、ウェーブフォームモーフィング、ショートクリックフィルターアタックを有したスペシャルなクオリティ。ぜひ試してみて。 U-he Podolski
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