ビンテージドラムマシンといってまず思い浮かべるのはRolandのTR-808やTR-909。外国人のテクノミュージシャンと話をしていて大概話題になるのがこの辺りなんですが、日本産のマシンがこれほどまでに世界的に評価されているのは本当に素晴らしいことだと思うのですが、しかし考えてみるともう10年近く、いや20年近くも同じ話題を繰り返しているのかと思うと辟易とした気持ちにもなります。ではどうしてTR-808 mk2のようなものが作られないのか?というのは消費者としての単純な疑問ではあるのですが、「アナログ」という過去のテクノロジーには振り返るべからずという企業方針が存在することも一つの事実のようです。 そんな中、「日本メーカーKORGがアナログドラムマシンを発表」というニュースが飛び交ったのは今年2月に行われたドイツ・Musikmesseでのこと。復刻版とは違い、「Volca」というこれまでのKorg製品とは打って変わったユニークなネーミング、それも2万円を切る値段ということで世界中のテックフリークが驚嘆したのは記憶に新しいところです。そして遂に6月下旬に遂に発売となったVolca Beats。はたしてVolca Beatsとはどのようなドラムマシンなのでしょうか?!

 

 

Volca Beats (ドラムマシン)の主な特徴

  • アナログサウンド(キック、スネア、タムLOW、タムHI、ハットCL、ハットOP)
  • PCMサウンド (クラップ、クラベス、アゴゴ、クラッシュ)なんでアゴゴなんだろう
  • 16ステップのループシーケンサー内蔵
  • 8種類のパターン保存
  • Stutter機能 2つのツマミ(Time/Depthノブ)を使ってディレイのような効果を作ることができるエフェクター
  • Active Step機能 FUNKボタン+プレイボタンを押すと機能するStep Jump機能。ロードしているシーケンスの各ステップのオン・オフを設定することが出来るもので、特にライブパフォーマンス最中にパターンを変形させたい時などに使える機能。
  • Step Jump機能 FUNKボタン+Step Modeボタンを押すと機能するStep Jump。再生中に1~16のステップボタンを押すとそのステップに移動するものですが、ステップボタンを押したままにしたり、複数のステップボタンを押すことでも面白い効果を作ることが出来ます。
  • MIDI IN 端子 これまでのMonotron、Monotribeには付いていなかったものなので、やっと普通にシンクできるわけです
  • Sync 端子 Monotribeとのシンク、iOSアプリ SyncKontrolを使ったシンクが可能
  • 電池駆動(単三6本)
  • 内蔵スピーカー とはいってもこのキックは大きなスピーカーで聞かないと分からないでしょう
  • ヘッドフォン端子(ミニステレオフォーンジャック)
  • コンパクトデザイン 寸法193×115×45mm (やはりランチボックスサイズはカワイイ)
  • 黒のボディにオレンジ色のKORGロゴ (やっぱりTR-808じゃんと言う人も多いのかも)

 

 

操作

左上のパワースイッチをほんの数秒押さえることでVolca Beatsは起動します。通常のドラムマシンと同様にVolca Beatsはリアルタイム入力またはステップ入力でパターンを作っていくことが出来ます。メトロノームのような機能はなく、TEMPOノブがBPMに合わせて赤く光るだけなので、いきなりリアルタイム入力していくのは難しいですが、録音ボタンとプレイボタンを押すことでリアルタイム録音は開始されます。ステップ入力するにはSTEP MODEボタンを押します。

PART< >ボタンを押すことで入力したいインストゥルメントを選択することが出来ます。パターンをすべて消去したい場合はFUNKボタン+ステップボタンClear ALL、特定のインストゥルメントのみ消去したい場合はFUNKボタン+ステップボタンClear PART

作ったパターンはFUNKボタン+MEMORYボタンを押した後で、ステップボタン1〜8のいずれかを押すことで保存することが出来ます。 MEMORYボタン+ステップボタン1〜8を押すことで保存した8つのパターンを呼び出すことが出来ます。

素晴らしいのはステップキーが並んでいるスベスベとしたタッチパネル鍵盤で、たとえばハイハットのパターンを16分音符で並べたい時などには指を左から右にツルッとスワイプするだけで打ち込みができてしまい、ボタン式のステップキーに比べると遥かに操作性がいいように感じます。iPadアプリなどではすでに存在しているものではありますが、ハードウェアドラムマシンでは初の搭載なのでしょうか?Volca Beatsを気に入っている理由の一つです。  

 

Stutter

本体左側にある二つの大きなツマミ、この2つのツマミ(Time/Depthノブ)を使ってディレイのような効果を作ることができるStutterエフェクター。今の時代の新機能、特にハードウェアならではの楽しみを味わえます。

通常はPART<>ボタンで選択してあるインストゥルメントのみにこの効果がかかることになりますが、FUNK+ステップボタンGlobal Stutterをオンにするとすべてのインストゥルメントに効果を加えることができます。

またStutterの二つのノブ(TIME, Depth) を動かした内容をレコーディング(Motion Rec)することも可能で、FUNKボタン+ステップMotion Rec Stutterを押すことでこの機能が起動し、再生中にレコードボタンを押すことで録音開始となります。単調なリズムパターンの変化を加えることや、カオスなリズムフィルインを作るなど、ライブパフォーマンスで活躍する機能といえそうです。

 

 

サウンド

Volca Beatsのサウンドはこれまでにもどこかで聞いたことのあるような定番サウンドといった印象なのですが、やはりTR-808系のディケイの長いファットなアナログキックをいつも手元においておけるのは嬉しいです。スネアやタムも「そう、その通り!」といったサウンド。VolcaBeats に限ったことではありませんが、タムのPITCHノブを使って音程を作ることができるのは楽しいです。ハットにはGRAINノブが付いており低い設定にするとザラザラとした音になるのですが、虫の羽音のような音がします。

4つのPCMサウンドはパソコンに内蔵するエフェクター音のようにも聞こえる小さなサウンドです。PCM Speedノブを使うとこれらのサウンドのピッチを変えることができたり、Speedノブを動かした内容をレコーンディングすることが出来るのは面白い機能で、これまでのビンテージドラムマシンとはひと味違ったパターンを作ることができます。FUNKボタン+ステップボタンMotion Rec Speedを押した後でレコーディングボタンを押すと、PCM SPEEDノブの動きをレコーディング(MotiionRec)することが可能。Volca Beatsのチャームといった感じです。

 

MIDI

Volca BeatsのMIDI端子を利用すれば、Volca Beatsと外部シーケンサーやDAWソフトウェアのテンポ同期、Volca Beatsのシーケンスを利用しないでもDAWソフトウェアにパターンを書き込むことや、MIDIコントロールチェンジが可能になります。パラメーターの正確な動きを録音したい人は要チェックですね。 コントロールチェンジの内容は

  • 各インストゥルメントの音量 (MIDI CC40-49)
  • 各PCMインストゥルメントのピッチ  (MIDI CC50-53)
  • Stutter Time   (MIDI Ctl 54)
  • Stutter Depth   (MIDI Ctl 55)
  • タムのディケイ  (MIDI Ctl 56)
  • ハットのディケイ  (MIDI Ctl 57)
  • ハットのGrain    (MIDI Ctl 58)

AbletonLive9からVolcaBeatsのコントロールチェンジ57(ハットのディケイ)を操作している様子

 

すべてのパラメーターをコントロールできるわけではなく、キックやスネアのディケイコントロールをすることが出来ないのは残念です。パターン(メモリー)をMIDI制御することができても良かったはず。 VolcaBeats MIDI インプリメンテーションチャートはこちらから。

 

 

まとめ

特にビギナーの人がドラムマシンをゲットしたいのであるのならば三重マルでお勧めできるマシンです。ベロシティ、アクセント機能、インディビジュアルアウトプットがないことや、シーケンスステップ数が16だけ、ということを考えると本格的な音楽制作には不向きかもしれません。でも、この価格でこのアナログ。スイッチを入れればすぐに音が鳴るこの気軽さは何よりもうれしくなるところです。Stutter機能やstep Jump機能など今の時代に見合ったハードウェアならではの演奏する楽しみを味わうこともでき、Volca Beatsを使ったライブパフォーマンスも視野にいれることができます。しかしやはり同じVolcaファミリーであるVolca BassとVolca keysとシンクしながら演奏することが何より楽しいことであるのは今更ここで言うこともないでしょう。

 

 

DIY ドイツベルリンのハードウェアメーカーKOMA Elektronicが公開した「Volca Beats 改造術」。CVインプットとインディビジュアルアウトプットがVolca Beatsに取り付けられ、使い道は大幅にアップしています。Monotribeとは違いVolca Beats本体内部には余分なスペースが残っていないためブレークアウトボックスを使った機能拡張になっているようです。興味ある人がぜひ試してみて。

 

 

 

 

 

KORG Volca Beats 価格帯:¥14,900~¥16,500  

 

 

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