SaurusはドイツのソフトウェアディベロッパーTone2からリリースされたばかりのバーチャルアナログシンセ。コンピューターのCPUに大きな負担をかけずに、伝統的なアナログシンセのサウンドを新しい形でよみがえらすことが意図されている。それでは簡単にレビューしてみましょう。

インターフェイス

Saurusのインターフェイスはビンテージシンセを意識したツマミの多いデザインとなっている。
かつてのソフトウェアシンセに比べ、それぞれのツマミには隙間があり、文字も大きく表示されているので、ストレスなく操作することができる。

インターフェイスの左上に置かれているパッチブラウザーではプルダウンメニューによりプリセットの音色を選択することができる。Bankボタンでは音色カテゴリーが選択、アルペジエーターとモジュレーションマトリックスの初期化や拡張音源のロードもここで行うことができる。

パッチブラウザーの下にあるのがオシレーターセクション。Saurusの基本ボイス設計は2つのアナログモデルオシレーターからなり、それぞれのオシレーターにはサブオシレーターが付属している。アナログシンセの大概の波形に加えバリエーション波形を加えた全8種類の波形が用意されており、メインオシレーターにはPWA(パルス幅変調)もついている。シンク、リングモジュレーターを施すことも可能だ。AM/FMノイズジェネレータもここに用意されており、8ビットゲームマシン的なサウンドを作ることができる。しかしホワイトノイズとピンクノイズはここで生成することができず、どういうわけかモジュレーションマトリックス内での生成になっている。加えて、オシレーターのチューニング、ミキシング、アナログシンセの不完全さをシュミレートするDriftスイッチも用意されている。

フィルターの仕様はローパス、バンドパス、ハイパスのシングルマルチモード、特性は12dbと24db。カットオフ、レゾナンス、キー、エンベロープアマウントもここ設定することができる。加えて、ドライブエフェクトによって音をよりワイルドにできたり、フィルターFM、フィードバックコントロールによってさらに尖った音を作ることができる。

エンベロープジェネレーターがアンプ部とAUX部にも用意されている。アンプのエンベロープセクションでは発音方式の選択(モノ・ポリモード、グライド、ユニゾンモード(2倍、4倍)スプレッド、ブースト)もできる。

モジュレーション用に用意されているLFOには大概の波形が備えてあり、フェーズ、フリークエンシーの設定もここで行う。

 

アルペジエーター(簡易ステップシーケンサー)の設定ページはモジュレーションマトリックスのページと同じ場所に置かれている。
アルペジエーターには基本的な機能はすべてそろえられてある。操作パネルがやや小さいが、操作は簡単だ。モジュレーションマトリックスでは計15のスロットに十分なソースとデスティネーションの設定を行うことができる。

エフェクター部にはコーラス、リバーブ、ディレイ、チューブエフェクトがあり、シンプルな作りになっている。

 

 

使用してみて

フィルター特にローパスフィルターの効きが良い。KorgのMonotronなどに見られるようなアグレッシブなサウンドがここにうまく再現されるだろう。加えてドライブエフェクトによってさらに厚みのある音をつくることができるのが嬉しい。オシレーターの音はとても良く、むしろクリーンすぎの印象がある。エフェクターは空間系を得意としているが、ここにもっとビンテージ系の個性派エフェクター例えばスプリングリバープやフェイザーのようなものが付いていたら面白かっただろう。

モジュレーションマトリックスではいくつもの組み合わせによって様々な効果を作ることができ、果たしてどのようなことになるのか実験することがとても楽しく、つい時間が過ぎるのを忘れてしまう。アルペジエーターも同様に操作が簡単でいて、ビンテージシンセにはできないトリッキーなパターンを作ることができるのが嬉しい。

もちろんモーグやアープのような伝統的なビンテージアナログサウンドを作ることもできるが、それだけで言うのであれば同じバーチャルアナログソフトu-he Divaの方がどっしりとしたアナログ感を多く得ることができる。Saurusの場合、アナログシンセという手法を使い、もっと現代的、未来的なアプローチをするのが適しているように感じる。しかしなによりもCPUに多くの負担がかからない設計になっているのが大きなポイント。

ストレートなビンテージサウンドを探している人にお勧めできないが、もし自分で新しいサウンドをプログラムしたいと思っている人にはぜひ試してもらいたいシンセだ。なんと言っても値段が他に比べやすいのがやはり魅力的。$119

 

System requirements

PC: Windows XP / ME / 7 / 8 / Vista (32 bit or 64 bit); Intel Pentium4 compatible CPU
Mac: Mac OSX 10.5 or higher; G4, G5 or Intel Mac (32 or 64 bit)

Technical specification

PC formats: 32-bit VSTi, 64-bit VSTi, standalone
Mac formats: 32-bit VSTi, 64-bit VSTi, 32-bit Audiounit, 64-bit Audiounit; Univeral Binary
Tone2

Tagged with:
 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です