バウンスしたファイルをWebサイトにドラッグ&ドロップ、数分後にはマスタリングされたファイルをダウンロードすることができるというニューエイジなサービス LANDR 。
LANDRは MixGenius が立ち上げたオンライン・マスタリング・サービス。LANDRの無償のアカウントを持つとmp3/192 kbps のクオリティ、曲数は無制限、無償でマスタリングサービスを受けることができる。
(有料アカウント(月に$9〜$19)を持つと16 bit 441k WAVクオリティのマスタリングファイルを受け取ることができる。)
人によっては1曲何万円もかけて行う大事なプロセスであるマスタリング。マスタリングエンジニアは長い年月をかけて修行を積み、それ相応の機材環境、リスニング環境を持って行っているものだ。これを無償で行ってくれるサービスと聞くとあまり信用できるものには感じられない。
しかしものは試しだ。さっそく試してみた。
まずLANDRのサイトにアクセスする。画面中央に表示されている⬇️矢印「Drag Your Song Here」と書かれているところにマスタリングをしてもらいたい曲のファイルをドラッグ&ドロップする。するとアップロードが始まる。
アップロードの時間はそれぞれのインターネット環境にもよるのだろうが、思った以上に早いという印象だ。
アップロードが終わると、マスタリング前の音源とマスタリング後の音源を聞き比べることができる。「Change Intensity」というボタンを押すと、画像⬇️のようにLow.Med.High の3段階でコンプレスの強度を選択することができる。もちろんHighにすると曲全体の音量は上がるのだが失うものも多いので注意が必要だ。選択が終了したらSaveボタンを押す。
Intensityの設定が終わったら緑色のSend Mp3 スイッチを押す。
すると、2分も経たないうちにダウンロードのリンク付きのメールが送信されてくる。とにかく早い!
結果
筆者の場合、低音がどんよりとした曲をマスタリングしたのだがキックがクッキリと聞こえるようになったのは嬉しかった。ハイハットやパーカッションの音も思った以上に良く聞こえる。しかしあまり前に出したくなかったシンセサウンドが高域のキツい音になっていたり、中域が歪んでしまったことに関してはちょっと耳を覆いたくなった。
でも何曲が試しているうちに、曲のタイプによっても結果が違うことも分かった。
確かにこれは無償で行っている作業だ。その上、曲のジャンルであったり、BPMを指定できるわけではなく、こちら側のリクエストを聞いてくれる訳でもない。これで超ハッピーになってしまったら、本業のマスタリングエンジニアの方々に申し訳ない。不服があるのならプロのエンジニアに頼むか、自分でマスタリングテクニックを学ぶべきなのだろう。
それとは別に一つスッキリしない点は、リリース前のトラックをオンラインに乗せることだ。
もちろんMP3 のクオリティ(無償アカウント)である以上はプロ仕様とは言えない。むしろその前の段階、SoundCloudにオリジナルトラックをアップロードする際や、クライアントにデモトラックを聞かせるような急ぎの際には役立つかもしれない。
今の段階では怠け者ミュージシャン向けのサービスといった印象だ。しかし音楽を分析するアルゴリズムがもっとよくなったとすれば、この先このようなサービスが大きくなっていくことも考えられる。ユーザーがサポートをすればアルゴリズムのクオリティも改善されるのだろう。
とにかく、百聞は一見にしかず。興味ある人は試してみてください。
via bpb