Apple はLogic Pro X のバージョン10.1をリリースした。 アカウント所有者はAppストアより無償でダウンロードできる。
「EDMやヒップホップトラックの制作に重点をおいたアップデート」となっており、エレクトロニック系のサウンドが充実し、ドラムマシン風の機能がいくつか追加された。そのほかにもピアノロールエディターの機能向上、新しいコンプレッサーなど、様々な機能が追加されている。今日はその中のいくつかを紹介しよう。
10人のドラマー追加、エレクトロニック系ドラム音源DrumMachine Designer搭載
Logic Pro Xから搭載されたDrummerは、様々な音楽ジャンルの中からドラマーを選択すると自動的にドラムパターンを作りだしてくれるバーチャルドラム機能だ。このDrummerに新しい10人のドラマーが追加され、ジャンルはEDM、ダブステップ、レトロ80s、トラップ、テックハウスなど。そしてこれに伴い、ドラムマシン系のドラム音源キットDrumMachine Designerが追加される。
(サウンドエンジン自体はLogic UltraBeat とEXS24の混合となっているようだ。)
これら10人の新入りのドラマーから一人を選択すると、自動的にDrumMachine Designerのキットが選択されパターンを演奏し始める。Drummer エディターの中に表示されているドラマーの顔写真(?)の下にあるプラグインボタンを押すと、Drum Machine Designerのインターフェイスが開く。
このインターフェイスを使い各ドラムインストゥルメントの音色編集を行うことができる。Native Instruments のBattery のような設計になっており、画面上半分に表示されているインストゥルメントのセルをクリックすると、画面下にパラメーターが表示される。
プラグインヘッダーをクリックすると画面下半分はスマートコントロールの表示に切り替わり、エフェクターの操作やボリューム操作を行うことができるようになっている。
各セルを右クリックするとLogicのアレンジ画面にはインストゥルメント専用のトラックが作成される。各インストゥルメントにエフェクターを掛けたいときや、各インストゥルメントにオートメーションを書きこみたいときにはこの機能を使うと便利だ。Track Stackとして機能するのも便利だ。
ノートリピート機能+スポット消去
ドラムパターンを作成するときには便利な機能「ノートリピート」はツールバーのノートリピートボタンを押すと起動し、インターフェイスが開く。様々なパラメーターが用意されており、レート(繰り返しの速度)・ゲート(音の長さ)を設定ができる。また、MIDIキーボードのモジュレーションホイールやピッチベンド、ベロシティにによってレートを変化させることもできるようになっている。
「キーリモート」にチェックを入れると、MIDIキーボードを弾きながらノートリピートのレートを変えることができる。例えば、C-0のキーを押すと1/64 のレートで、B-0のキーを押すと1/128 のレートでリピートが行われるようになり、左手でレートを変えながら、右手でノートを演奏するような楽しみ方ができる。ドラムの打ち込みだけでなくシンセサウンドにも使うことができるので、右手で和音を弾いたりするようなことも試してもらいたい。
スポット消去スイッチもツールバーの中にある。スポット消去をオンにしている間、プレイ/レコーディング最中に消去したいノートを押さえると、再生ヘッドの進行とともに消去したいノートが削除される。MPCタイプのドラムパッドコントローラを使っている人には便利な機能にちがいない。
Logic Pro 10,1 ではドラム作成機能以外でも、いくつかの新しい機能が追加されている。
ピアノロールエディター
ピアノロールエディターがこれまでよりも良くなっている。その一つとして、まずブラシツールが加わった。連続するノートを書きたいときには重宝するツールだ。他のDAWにはすでに搭載されているものなので、これでLogicユーザーも一安心といったところだ。
タイムハンドルという機能はピアノロールエディターのメニューバー「機能」から選択することができる。MIDIノートを選択すると選択範囲が青く表示され、タイムハンドルを右左に動かすと、MIDIノートのタイミングを伸ばしたり縮めたりすることができる。Ableton Live でがおなじみの、いわゆるMIDIタイムストレッチ機能だ。
ピアノロールのメニューバーには「折りたたむモード」スイッチが追加された。このスイッチを入れると、使っているMIDIノートだけが表示され、画面表示を節約することができる。ドラムサウンドを編集する際には左側にドラムインストゥルメントの名前も表示されることになる。これもAbleton Live ではすでにおなじみの機能だ。
リージョン・オートメーション
これまでのLogic ではトラックにのみオートメーションカーブを描くことができたのだが、10.1 からはリージョンごとにオートメーションを描くことができるようになった。シンセサイザーのパラメータを激しく動かしながらアレンジを行う人には嬉しい機能に違いない。オートメーションボタンを押すと、各トラックで<トラック><リージョン>の選択をすることができる。
また、オートメーションカーブを編集する<トリム><相対>というモードも追加されている。
新しいコンプレッサー
内臓プラグインエフェクター・コンプレッサーが新しくなった。新たなデザインが採用され、コンプレッサーのモードによって色が変わる。そしてインターフェイスのサイズも変更できるようになった。また、Classic VCA というモードもあらたに追加されている。メーターとグラフィックの表示を切り替えることも嬉しい。
プラグインメニューのカスタマイズ
Logic Pro10.1 ではプラグインメニューのカスタマイズを行えることができるようになり、Logic 製のプラグインとサードパーティ製のプラグインを一緒に並べることができるようになる。このカスタマイズは環境設定>プラグインマネージャーで行うことができる。
例えば、リバーブのカテゴリーにSpace DesignerとLexiconをならべるようなことや、頻繁に使うプラグインシンセだけをひとつのカテゴリーにまとめておくことができる。ささやかではあるが、時間の節約にもなる嬉しい機能といえる。
Retro Synth アップデート
Logic Pro X から搭載されたプラグインシンセRetro Synth がアップデートした。読み込んだオーディオファイルを使いウェーブテーブルを作成、そして8つまでのボイスを重ねることができるようになった。
それから、、新しいサウンドライブラリーにメロトロンのサウンドが追加されている。 😆
iPadを使ったリモートコントローラーは今回試していないのだが、幾つかの改良点が加えられているとのこと。
Mac OS ヨセミテの機能に伴って、Air DropやMAil Drop もサポートされた。プロジェクトのファイルシェアには便利なはず。
LOGIC PRO 10.1 を使ってみて思うこと
Logicというとその昔はもう少し堅物的なイメージがあったのだが、時代は変わり、とてもフレンドリーなDAWソフトウェアとなった印象が強い。iPad アプリのようなカラフルなグラフィック、EDMのような流行音楽に応じた機能拡張など、昔からのLogicユーザーにとってはやや軽い印象を持つ。
便利な新機能が増えたことによってワークフローの向上は期待できる。でも他のDAWのアイデアに追従したような機能であまり新鮮さは感じられない。
とはいってもDAWソフトウェアでは依然大きなシェアを占めるLogic Proである。個人的にはこれからもまだ使っていきたいと思っているDAWである。
私がLogic に期待していることはMIDIタイミングの向上だ。ハードウェアインストゥルメントやUSB MIDI を使うことが多くなっている今日この頃、しかしなんだろうか、このタイミングの悪さ。(Logicだけが特別悪いわけではないのだが)MIDIクロックも決して安定しているようには感じられない。Logic Pro X にこそぜひとも解決してもらいたい問題の一つだ。
追記
Logic Pro 10.1 ではAU SDK というものが省かれたようで、一部のサードパーティ製プラグインのグラフィックインターフェイスを開けない状況となっているようです。私が確認した中ではU-he のプラグインが表示されません。音は出るんですけどね。
追追記(1/26_
U-heはこのグラフィック問題を解決したバージョンをリリースしました。ダウンロードはリンク先より。
不躾な質問で申し訳ありませんが、
Mac OSX 10.9.5 + Logic 10.1 の当方の環境で Lexicon PCM Native Reverb が使えなくて困ってます。プラグイン画面を開くと音が歪んでしまいます。他のAUが使えるソフトでは問題は起きないのですが Logic Pro 10.1 では使い物になりません。
いっかいさんの環境では使えてますか?
Lexiconインストールしていないんでわかりませーん。インストールし直してみて、だめだったら直接問い合わせてみるのが良いかと思います。
あらま!それは失礼いたしました。何か勘違いしてました。m(__;m
で、
意外にも Lexicon のサポートから早々に返信がありまして、
This is a bug with the newest update of Logic. We’ve made them aware of the issue … ,however I don’t have a release date for that fix yet.
と待つしかなさそうです(**)
ありがとうございました。