Maschine 3.0は、Native Instrumentsの人気ビートメイキングおよびサンプリングプラットフォームの最新バージョンです。今回の大規模なアップデートでは、新たにステム分離機能などが搭載されています。

ここ数ヶ月、Native InstrumentsはMaschineソフトウェアの大規模なアップデートを予告していました。さらに、10月中旬には、Mk1およびMk2 Maschineコントローラーの更新が終了し、販売も終了したことが話題となりました。

そして、ついに11年ぶりとなるメジャーアップデートであるMaschine 3.0ソフトウェアが登場しました。新機能が多数追加されていますが、Maschine+ユーザーはアップデートを待たなければならない点には注意が必要です。今回のアップデートはソフトウェアのみで、ハードウェアに関する大きな変更はありません。Maschine 2.0と同様に、3.0のアップデートも無料ではありませんが、非常に手頃な価格で提供されています。


初めて起動すると、新しくデザインされたユーザーインターフェースが目に入ります。Maschineソフトウェアは、Native Instrumentsの現在のデザイン言語に合わせて更新され、前バージョンよりもモダンで洗練された印象を受けます。

ステム分離機能

3.0の目玉となる新機能はステム分離です。この機能では、既存の楽曲のオーディオファイルをドラム、ベース、ボーカル、その他の楽器に分けることができ、iZotope社のRX技術を活用しています。NIのDJソフトウェアTRAKTORの最新バージョンや、競合のAkai MPC、Seratoなどがすでにこの機能を搭載しているため、予想されていた機能でもありますが、この追加によって新しい制作のアイデアが広がることは間違いなく、リミックス制作にも非常に有用な機能です。

操作方法は非常に簡単です。まず、オーディオファイルをサウンドスロットにドラッグ&ドロップし、その後サンプルエディター内の右下にある「Stem」ボタンを押すと、解析が始まります。解析が完了すると、新しいグループ内に分離された4つのファイルが自動的に配置され、あとは通常通りにプレイすることができます。

オーディオファイルを直接インポートできる
Stemsボタンを押すと解析が始まる
解析が終わると、4つのステムファイルが自動的に並べられる

気になる点としては、分離の精度です。私が試した限りでは、完璧とは言えない部分もありますが、オリジナルのオーディオファイルがどれだけクリアにミックスされているかにより、分離の結果が異なります。それでも、十分に使えるレベルに達しており、リミックスや新しいアイデアを生み出すための有力なツールとなることは確かです。

MASCHINE 3.0とAKAI MPCのステム分離機能を比較したビデオもあるので、気になる方はご参考にどうぞ。リンクはこちら:https://youtu.be/XPCtuWAJUcM?si=vtQA8OprfB-RsGbt(2:22あたりから)

また、対応するオーディオファイル形式もこれまでのAIF、WAVに加えて、MP3、MP4、FLAC、OGGが新たにサポートされるようになり、これも非常に嬉しいポイントです。

MIDI編集の機能向上

次に、Maschine 3.0には新しいMIDI編集ツールが追加されました。MIDIノートの分割、結合、削除、ミュートが可能になったほか、キーボードショートカットやMIDIノートのオーディオプレビュー機能も搭載されました。この機能により、コントローラーなしでもソフトウェアがこれまで以上に使いやすくなりました。

MIDIエディターで右クリックすると、編集メニューが表示される

とはいえ、通常のDAWと比べると、まだ基本的な機能にとどまっている印象は否めません。オートメーション編集やランダマイズ機能、確率機能など、今後のアップデートで追加されることを期待したいところです。

そのほかの新機能

Bounce in place 
サウンドやパターンを直接ソフトウェア内でオーディオデータに変換でき、CPUの負荷を軽減することができます。

新しいサウンドライブラリ 
アップデート(サウンドライブラリを含む)は69ユーロで、サウンドライブラリなしのアップデートは29ユーロで提供されています。サウンドライブラリは単独で49ユーロで購入でき、後から追加購入することも可能です。

Kontrol Sコントローラーキーボードとの連携が強化

Maschine 3.0は、主にNIのPadコントローラーであるMaschine Mk3、Mikro Mk3、Maschine Studioとの使用を意図しています。また、Maschine+スタンドアロンデバイスとの互換性を確保するため、Maschineソフトウェアの3.1アップデートが間もなくリリース予定です。

MASCHINEユーザーにとっては待望のアップデートであり、これまで欲しかった機能が搭載されたことで、創作意欲が一層高まることでしょう。しかし、革新的な機能が追加されたかというと、必ずしもそうとは言えません。今後のアップデートに期待したいところです。

3.0のリリースに伴い、Native InstrumentsはMaschineハードウェアの特別価格も発表しました。Maschine Mk3は599ユーロから499ユーロ、Maschine Mk3 Mikroは249ユーロから199ユーロ、Maschine+は1199ユーロから999ユーロとなっています。

NI

 

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