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現在、ドイツ・ベルリンで開催中のシンセサイザーのエキシビジョンSuperbooth 16。フランクフルトのMusikMesseとは違ってシンセサイザーだけにフォーカスしたイベントであることや、メッセほどの超ド級サイズの敷地ではないので、コーヒーをすすっていると横にDave Smith氏のようなシンセ界の大物がいたりすることもあります。

昨日ブースを見て歩いていてふと目にしたのが、かのLinn DrumやAKAI MPC 60を開発したRoger Linn氏。Linn氏は自身が2014年にリリースしたパフォーマンスコントローラLinnStrumentを肩にかけ、一人メロウな演奏をしていました。たまたま周りには誰もいなかったこともあり、ここぞとばかり、さっそくLinnStrumentsを試させてもらいました。

 

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LinnStrumentsはいわゆるMIDIコントローラーで、ソフトウェア音源やハードウェア音源を操作します。本体にはおよそ200のタッチセンサーが取り付けられ、3次元のポロフォニック操作(縦、横、圧力)が可能。最大15本の指の操作を感知できます。また、様々なグリッド・レイアウトが用意されており、ギターを模した配列、キーボードを模した配列、または2つのパートに分割して片方の手でドラム演奏、もう片方の手でベースを演奏するようなことができます。

iPad時代に生きる私たちにとって3次元操作やグリッド演奏はそれほど新しいものではありません。ただLinnStrumentのすごいところは指の微妙な動きを捉え繊細な演奏表現ができることです。スライドギターのような奏法、指をかすかに震わせるだけでトレモロのような奏法ができたり、演奏者の気持ちや性格がにじみ出る人間味のある楽器に感じました。ただしっかりとした演奏ができるようになるまでには多少時間はかかってしまうかもしれません。Ableton PushでもNI MASCHINEでもインストゥルメントの演奏に関してはあまり苦労したことがない私なのですが、LinnStrumentに関しては難易度の高さを感じました。でも楽器ってそもそもはそういう物だったはずですよね。

LinnStrumentの技術面で一つ紹介しておきたいのは、MPE  (マルチディメンション・ポリフォニック・エクスプレス)という機能で、一つの音の対して一つのMIDIチャンネルを割り当てることができる機能です。例えば通常のMIDIキーボードで和音を抑えた時に、ある一つの音だけにピッチベンドをかけたり、モジュレーションをかけようとすることは不可能です。でもLinnStrumentの場合はそれが可能になります。

このMPEは、Linn氏をはじめ、ROLI、Apple、Moog、Haken Audio、 Bitwig等によって開発された新しいMIDIスタンダードで、すでにLogic、MainStage、Cubase、Bitwig、Omnisphere、Strobe2、U-Heのソフトシンセサイザーが採用しています。つまりLinnStrumentのようなポリフォニック3次元コントローラーを十分に楽しむにはこれ等の音源を使うことがオススメということになります。http://www.rogerlinndesign.com/recommended-sound-generators.html

LinnStrumentの価格は$1.499。決して安い楽器ではありませんが、キーボードでもなくギターでもなくiPadでもない全く新しい楽器を演奏する楽しみがここにきっとあるはずですあるはずです。

 

LinnStrument

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