今日は6月3日。なんとなく気になって調べてみたら、電子音楽にとってちょっと特別な日だと知りました。1967年のこの日、ドラマーのハル・ブレインが「Love-In / Wiggy」というシングルをリリースしていて、それが“モーグ・シンセサイザーが商業音楽に初めて使われた作品のひとつ”なのだそうです。
(ただし、この辺りの時系列がちょっとややこしいのですが、最初の録音というわけではありません。実はその2週間ほど前の5月20日、モート・ガーソンのアルバム『The Zodiac: Cosmic Sounds』がリリースされており、こちらがモーグを使用した最初の作品とされています。)
では、なぜ6月3日が特別なのか?──それは、この日リリースされたハル・ブレインの『Love-In / Wiggy』が、モーグを使った最初のシングル盤だったからです。アルバムよりも身近なメディアであるシングルでモーグの音が流通したことは、電子音が一般リスナーの耳に届いた初期の例だといえます。電子音が実験音楽から“音楽の一部”としてポピュラーミュージックに橋渡しされていく重要なステップにもなりました。
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Waves『ILLUGEN』は、テキストプロンプトを入力するとAIがオリジナルのサウンドを生成するサンプルジェネレーターです。楽曲そのものを生成するSuno AIなどとは違って、ILLUGENは音楽制作に使える音素材を生成してくれます。「氷のバイオリン」や「幽霊が演奏するドラム」など、もちろん普通に「猫の鳴き声」や「ドラムフィルイン」のような普通のサンプルも作成可能です。生成されたサンプルはDAWに直接ドラッグ&ドロップして使用できます。BPM設定やSFXの長さ(短・中・長)なども調整可能です。日本語の入力も可能なようです。
Waves社によれば、ILLUGENのモデルは「文書化され、合法的に所有されている素材のみを使用してトレーニングされており、倫理的なAI開発は最優先事項である」とのことです。
料金はサブスクリプション制で、月額$7.99(Basic・150クレジット)、$12.99(Premium・300クレジット)、$19.99(Pro・600クレジット)の3プランがあります。クレジットはワンショット(1クレジット)、ループ(2クレジット)、SFX(最大3クレジット)とサンプルの種類で消費量が異なります。未使用クレジットは翌月に繰り越せます。
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現在Universal Audio(通称UA)では、恒例のHalf Yearly Sale(半年セール)が開催中で、多くのプラグインが大幅に割引されています。
その一環として、UAのシンセサイザー「PolyMAX」が2025年5月〜6月末までの期間限定で無料配布中です。
PolyMAXは、70〜80年代のビンテージ・アナログシンセにインスパイアされた2オシレーター構成のバーチャル・アナログ・シンセで、通常は約2万円する製品。
特定の機種を再現しているわけではなく、クラシック・アナログシンセの“おいしいところ”をうまくまとめたような設計で、扱いやすさと実用性のバランスがとても良いのが特徴です。
モジュレーションの自由度は最近の多機能シンセに比べるとやや控えめですが、そのぶん迷わず音作りに集中できるのは魅力のひとつ。
そして何より、音がしっかり良い。Lo-FiやCitypop、Synthwave系のトラックにもぴったりハマる質感です。
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Native Instrumentsが新しいプラグインソフトCircularをリリースしました。
私は先週の Superbooth でこのCircular を試してみましたが、ひと言でいうと「ワンノートで映画級」。
コードや単音を弾くだけで、4 レイヤーのポリフォニック・シーケンサーが滑らかに展開し、グラニュラー効果やユニゾン、エフェクトを交えながら“動きのあるシーケンスフレーズ”を瞬時に鳴らしてくれます。
操作感は ここ最近のKontakt インストゥルメントらしく直感的ですが、シンプルなインターフェイスの裏側ではNIらしい、今どきのパワフルなポリフォニック・シーケンサーが脈動しています。
パラメータに触れた瞬間にサウンドが目に見えるように変化。特に ポリフォニック・アフタータッチ 対応コントローラーを使うと、ステップごとにフィルターを押し込んでいく感覚が気持ちいいです。サンプルを読み込んで軽くツマミを回すだけでも、ループ素材がシネマティック・フレーズに変身し、まるでクリフ・マルティネスのような品の良い音楽をさらっと奏でてくれるのが印象的でした。
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