先月末から公開になった映画「バットマン・ダークナイト・ライジング」、前作「ダークナイト」と同様に Hans Zimmerが音楽を担当。壮大なオーケストラサウンドにシンセサイザーサウンドがミックスされた音楽は、架空の都市ゴッサムシティを怪しげに描いている。ヒーロー不在のストーリーと同様に、際立ったメロディーは控えられ、ダークでありながらとてもエモーショナルな印象を受ける音楽でもある。エンジニアのAlan Meyerson のインタビューによると、「実際映画では大小合わせた4000以上のトラックがミックスされ、ひとつの組曲のような仕上がりになっている」という超ハリウッド級のスケール。

このサウンドトラックのシンセサイザーパートに多く利用されたのがドイツベルリンのソフトウェアメーカーu-heによるZebra 2。ワイヤレスモジュールとよばれるシンセサイザーで、音作りの柔軟さと美しい音色はすでに多くの人に絶賛されている。

そして先日リリースされたThe Dark Zebraは、Hans ZimmerとサウンドデザイナーHaward Scarrによって作られたZebera 2 のサウンドパッチ集。「ダークナイト」「ダークナイト・ライジング」で使用された物を含めたおよそ400のパッチが収められており、ハリウッドレベルのサウンドデザインを目の前にできる絶好のチャンス。下のビデオはそのデモンストレーションビデオ。

 

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ドイツの首都ベルリン。多くのアーティスト、レコードレーベル、クラブシーンを抱える音楽にもっとも寛大な街。東西が融合され、人の流れが大きく変わりつつある中で、ベルリンの人々の音楽への愛情はコンピューターサイエンスと融合し、Ableton Live、Native Instrument、SoundCloudなど、この十数年の間にドイツベルリンに拠点を置く音楽ソフトウェアメーカーの成長は著しく、人々の音楽制作のあり方そのものを大きく変え、それに伴いエレクトロニックミュージックそのものが成長変化することに大きく貢献している。今日紹介するSugarBytesは次の時代のベルリンミュージックソフトウェアメーカー。

Robert Fehse氏(下の写真右)とRico Baade氏(写真左)の二人によって創立されたSugarBytesは旧東ベルリン、現在では閑静な住宅街で知られるプレンツラウアーベルク地区にオフィスを構えている。気さくにオフィス訪問に応じてくれたRobert氏、思った以上にリラックスした雰囲気のオフィスに派手派手しさはなく、これもまた好印象。二人の出会いは10数年前、ともにNative InstrumentのReaktorのプログラマーとして活躍、当時はNI創立者Stephan Schmittの傍らで「どのようにしてうまくDSPを動かすのかを見て学んでいた」というRico氏。その後二人は独立しSugarBytesの創立に至っている。「とにかく僕らの出会いはラッキーだったよ」


SugarBytesのプラグインはオーソドックスなプラグインとは違い、どれもユニークなアイデアが詰まったものだ。複雑化しがちなコンピューターソフトウェアをシンプルで面白く操作できるインターフェイスに、そして新しいサウンドを生み出すサウンドエンジンの開発に情熱が注がれている。エレクトロニックミュージックやダンスミュージッククリエーターの視点を見据えた彼らのマーケティングは特に冴えており、昨年はTurnadoという8種類のエフェクターを複合利用するマルチエフェクターがヒット。そのパワフルでいてクリエイティブなプラグインはスタジオ内だけではなく、ライブパフォーマンスでの表現の仕方も変えつつある。Kid606、Mouse on Mars、Herbert、Modeselektor、SiriusMo、Teddy Riley、UNKLEなどの新旧ときめくエレクトロニックミュージックアーティストに支持されているのも頷ける話だ。

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歌った声が、弾いたギターが、オーディオデータがMIDIに変換されるという夢のようなiOSアプリAudio Midi Connect。特にキーボードを弾かないギターリストにとってはDAWソフトウェアへのMIDIの入力は相当なイライラだったはず。今日はそんな夢のようなテクノロジーをより身近なものにしてくれたAudio Midi ConnectのディベロッパーSecret Base Design Softwareへのインタービューをお届けしようと思う。インタビュー最後には次のアプリの開発についての話も聞かせてくれた。

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1993年結成、ドイツベルリンを拠点にするエレクトロニカデュオ、マウスオンマーズの新譜「Parastrophics」がレーベルMonkeytownより発売。テクノ、ガバ、ダブステップ、ロック、ソウル、ディスコ、もしかしたらジャパニーズエレクトロ、そんな様々な要素がエレクトロニックという手段によって一体化された密度がとても濃いアルバム全13曲。時には腹立たしく感じさせられたり、妙に親しみのあるポップフレーズに親近感を湧かせられたり、次から次に起こるハーモニーやフレーズの展開(ハプニング)はアクションゲームのような世界にも感じられる。それでもそこには一体感があり、アルバムとしての大きなコンセプトが見えてくる。

特に日本のエレクトロポップクリエーターにはぜひとも参考にしてもらいたいアルバムだ。高域の音処理に関しては学ぶべき点が非常に多い気がする。

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iOSアプリLoopyは簡単にトラックを録音、ループ再生をすることができるルーパーアプリ。パワフルなサンプリング機能だけではなくMIDI機能もふんだんに搭載しておりスタジオだけでなくライブパフォーマンスにも使えるアプリだ。ユーザーインターフェイスがいたってシンプルなので操作がしやすいのも魅力の一つ。2011 Best App Ever AwardのBest Musicians App部門においてはGarageBandを抑えて堂々第2位にランクインされた大ヒットアプリ。今日はそのLoopyの開発A Tasty PixelのMichael Tyson氏へのインタビューをお伝えしようと思う。インタビュー最後にはiOS音楽シーンを変える新たなプロジェクトについての話もしてくれた。

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DS-10。まだiPhoneがこれほどまでになっていない頃の2008年、コルグがリリースした任天堂DS専用の音楽ツールソフト。パッチングアナログマシンKorg MS-10をシュミレートした本格的バーチャルアナログシンセ、シーケンサー、タッチコントロール、そして今で言うところのWist機能のようなワイヤレス通信による複数台でのプレーもサポート。古いものと新しいものが混じり合う瞬間に古くからの任天堂ファン+シンセファンは喜んだ。そして子供がマリオと遊ぶような感覚でシンセと向き合っている姿を目にするのは感動的なものがある。

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