Superbooth 2025を目前に控え、各メーカーが続々と新製品を発表していますが、今回注目したいのが チェコのモジュラー系ブランドBastl Instruments の新作「Kastle 2 Wave Bard(ウェーブ・バード)」。モジュラー感覚で遊べるパッチ可能なサンプルプレイヤーで、音楽制作初心者から中級者まで幅広く楽しめそうな内容になっています。

 

Kastleシリーズが“次のレベル”に進化

Wave Bardは、人気だった「Kastle Drum」や「Microgranny」からインスピレーションを受けているものの、それらの後継機ではなく、完全新作として開発されたサンプルプレイヤーです。ユーザーが自由にサンプルをアップロードできるほか、ステレオ再生、エフェクト機能、同期性、パッチの自由度が大幅にアップしています。

コンパクトな本体は USB-Cまたは単三電池3本で動作。Sync in/outやステレオ入力もあり、外部機材との接続でジャムを楽しむのにも最適です。

 

 

“半自律的”に動くパターンジェネレーター

Wave Bard最大の魅力のひとつが、内蔵のパターンジェネレーターとLFOを活用した、“半自律的”なリズム生成。

「半自律的」というのは、自分で勝手に動きながらも、ある程度こちらの操作やコントロールができる、という意味です。

Kastle 2 Wave Bardでは、LFOやパターンジェネレーターが内蔵されていて、これらが自動でリズムやパターンを生成してくれます。つまり、何もしなくても音が出てくる状態を作ることができます。でも完全に自動ではなくて、ノブを回したり、パッチケーブルをつないだりすることで、その動きをリアルタイムで変化させたり、方向性をコントロールしたりできるんです。サンプルを逆再生したり、アタックやディケイを調整できる「Lengthノブ」もユニークで、ライブ感ある音作りが楽しめます。

 

音づくりの幅も広い!

±2オクターブのピッチ調整に加え、スケール(音階)を量子化してメロディ的な演奏も可能。さらに内蔵フィルターやディレイ、コーラス/フランジャーなどのエフェクトで、コンパクトながらしっかりとしたサウンドデザインができます。

サンプル管理と互換性

1バンクあたり8サンプル、6バンクが初期搭載。専用ウェブアプリを使えば最大32バンクまで拡張でき、モノラルで最大89秒(ステレオで44秒)のサンプルを扱えます。

また、Bastlの「Kastle 2プラットフォーム」であるFX Wizardとのファームウェア互換性もあり、Wave BardのOSをFX Wizardに入れたり、その逆も可能です。

 

価格と発売情報

「Kastle 2 Wave Bard」は現在、190〜192ユーロ(税込)で販売中。Superbooth 2025で展示される予定とのことです。

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Erica SynthsとInfinite Digitsによるローファイ・サンプラー「Pikocore XL」が、2025年5月6日に発売されます。

オリジナルのPikocoreは、開発者Zack Scholl(Infinite Digits)によるDIYガジェットで、ポケット電卓のようなコンパクトな見た目と、Raspberry Pi Picoを使ったユニークな音作りが話題を呼びました。

そのPikocoreが、Erica Synthsの手で\”XL\”バージョンへとアップグレード。筐体はアルミ製に、インターフェースは演奏性を高めたレイアウトになり、よりライブでも扱いやすい仕上がりとなっています。元のPikocoreと機能自体はまったく同じ。DIYキットとして販売され、自分の手で組み立てて使う楽しさもしっかり残っています。

ビデオを見たところ、かなり盛り上がっている様子が伺えます。(下)

 

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プロの現場でも使われるエフェクト・プラグインで知られる Soundtoys が、新作リバーブ 「SpaceBlender」 をリリース。なんと、5月22日までの期間限定で無償配布されています。

Soundtoysって?

Soundtoysは、「EchoBoy」や「Decapitator」といった定番プラグインでおなじみの、アメリカのオーディオプラグインメーカー。豊かな音作りと直感的な操作性で、世界中のプロ・アマ問わず支持されています。今回のSpaceBlenderは、同社のなかでも少し“実験的”な方向に振ったリバーブ。けれど、操作は意外とシンプルで、初心者にも扱いやすい設計です。

 

SpaceBlenderはどんなリバーブ?

一言で言うと、ちょっと変わった面白いリバーブです。普通のリバーブは「空間の響き」を自然に再現するのが主な目的ですが、SpaceBlenderはそれだけにとどまりません。音の残響が時間とともに変化したり、質感が滑らかから粒っぽい音に変わったりと、“音の動き”を楽しめる作りになっています。特に面白いのが「Color」と「Texture」のコントロール。音が時間とともに明るくなったり、ざらついた残響に変わったりと、残響そのものに“動き”が生まれます。また、「Freeze」ボタンを使えば、残響を凍らせてループのように使うことも可能です。LoFiやアンビエント、エレクトロニカなど、ちょっとした“雰囲気づくり”や、または80年代的なゲートリバーブの作成も得意としています。

 

 

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「触れることで音が鳴る」体験づくりを得意とするクリエイティブ・テクノロジー・スタジオ Playtronicaが、5月8日からベルリンで開催されるSuperboothにおいて新作 Orbitaを発表します。Orbitaはカラフルなマグネットをターンテーブル状のディスクに置くだけでフレーズが組み立てられる “カラー・シーケンサー”。各色が MIDI ノートとして機能し、最大4つのメロディ/リズム・ループを同時に回せるのがポイントです。

本体に音源は入っていないため、USB-C で PC やタブレットとつなぎ、ソフトシンセや Playtronica のオンライン・シンセを鳴らします。右下のノブでテンポを変えながら、レゴで遊ぶような感覚でパターンを差し替えられる――そんな気軽さが魅力です。

発売日と価格はまだ未定ですが、とにかく Superbooth の会場で実機を触ってみるのが楽しみ! もし現地に行けない方は、Playtronica の Instagram(@playtronica)にもデモ動画が上がるはずなので、そちらで雰囲気をのぞいてみてください。

Playtronica

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スペイン・バルセロナ発のハードウェアメーカー OXI Instruments は、2021 年の Indiegogo クラウドファンディングで目標額をわずか数時間でクリアし、一気にシンセ界の注目を集めました。その勢いを保ったまま、2025年4月に後継機 OXI ONE MKII を正式発表。Superbooth 25(5 月・ベルリン)での実機展示を控え、早くもコミュニティが沸いています。

OXI ONEとは、最大 64(mkⅠは32) トラックを 128 個の RGB パッドで直感的に操るポータブル・ハードウェア・シーケンサー。内蔵バッテリー、Bluetooth MIDI、USB‑C、そして 8 CV/Gate を備え、モジュラー、DAW、iOS デバイスを 1 台で束ねられる“持ち運べる司令塔”として 2022 年に製品化されました。その機動力と多機能性により、スタジオの作曲からステージの即興演奏までシームレスに対応できる点が高く評価されています。

 

何が新しくなったのか

 

MKII は外寸をほぼ据え置いたまま機能を底上げしました。具体的には 8 トラック化、8 CV+8 Gate 出力(Pipe MKII 使用時)、大型 OLED、micro-SD ストレージ、改良バッテリーメーターなど。「ハードを 1 台で完結させたい」派にとって、まさに“拡張性=余裕”を直接もたらすアップデートです。

主な強化点

  • トラック数:4 → 8
  • CV/Gate:4 系統 → 8 系統
  • ストレージ:本体のみ → micro-SD 対応
  • 表示:小型 OLED → 大型・高解像 OLED
  • 新ファーム:Repetition Engine、強化 Arranger ほか

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ドイツWaldorfの人気シンセサイザー「Blofeld」が、ついにiPad向けアプリとして登場しました。往年の名機のサウンドを、モバイル環境で気軽に楽しめる時代の到来です。

Blofeldは、ドイツのWaldorf社が2008年にリリースしたウェーブテーブル・シンセで、PPG系のDNAを受け継いだ音作りが特徴。透き通ったベルのような音から、エッジの効いたデジタルサウンド、濃厚なアナログ風の音色まで、個性的で奥深いサウンドで今なお現役マシンとして愛されています。

今回のiPad版は、そのBlofeld本来のサウンドエンジンをそのまま移植し、タッチ操作やAUv3対応DAWとの連携に最適化。Logic Pro for iPadやCubasis 3などの環境でシームレスに使用できるほか、Blofeldハードウェアのリモートコントロールにも対応しています。

もちろん、プリセットブラウザや16パート・マルチモード、モジュレーションマトリクス、アルペジエーター、サンプルインポートなどの主要機能も網羅。まさに“iPad版でも妥協なし”といった内容です。

驚くべきはその価格。App Storeで12.99ドル(日本円で2,000円)という手に取りやすさです。一方で、デスクトップ版(VST/AU/AAX対応)は以前から149ユーロで販売されており、そしてさらに、ハードウェア版のBlofeld Desktopは約539ユーロ、キーボード版は約829ユーロで現在も販売されています。その価格差は確かに大きいですが、音作りの柔軟性、操作感、そして制作スタイルによって、どの形態にもそれぞれの魅力があります。

手軽にBlofeldのサウンドに触れてみたい人にとって、iPad版はまさに理想的な入口かもしれません。

 

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