現在Universal Audio(通称UA)では、恒例のHalf Yearly Sale(半年セール)が開催中で、多くのプラグインが大幅に割引されています。
その一環として、UAのシンセサイザー「PolyMAX」が2025年5月〜6月末までの期間限定で無料配布中です。
PolyMAXは、70〜80年代のビンテージ・アナログシンセにインスパイアされた2オシレーター構成のバーチャル・アナログ・シンセで、通常は約2万円する製品。
特定の機種を再現しているわけではなく、クラシック・アナログシンセの“おいしいところ”をうまくまとめたような設計で、扱いやすさと実用性のバランスがとても良いのが特徴です。
モジュレーションの自由度は最近の多機能シンセに比べるとやや控えめですが、そのぶん迷わず音作りに集中できるのは魅力のひとつ。
そして何より、音がしっかり良い。Lo-FiやCitypop、Synthwave系のトラックにもぴったりハマる質感です。
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ドイツのtubbtecは、Roland SH-101やMC-202といったヴィンテージシンセのMIDIアップグレードキットで知られる、小さなながらも注目すべき開発チームです。
そんな彼らがSuperbooth 25で展示していたのは、「uniMatrix(ユニマトリクス)」。見た目は手のひらに収まるような基板ですが、その中身はまさに“楽器の再生装置”とも言える柔軟さを備えています。
uniMatrixは、古いシンセサイザーやドラムマシン、あるいは電子楽器全般に使われているキーボードマトリクス回路に直接接続し、それらをMIDI対応機器として生まれ変わらせることができるモジュールです。MIDIノートやCCへの変換はもちろん、外部から信号を注入して「押されたように見せる」ことも可能。22本のI/OピンやCV入出力、個別に設定可能なMIDIクロック出力など、音楽と機械のあいだをつなぐあらゆる手段が詰め込まれています。対応するシンセもとても幅広く、カシオトーンやYAMAHAのCS70なども含まれています。発想次第では、古い電卓や冷蔵庫のボタンまでもMIDI化できる可能性があるとのこと。
とはいえ、MIDI 2.0が到来し、より高解像度で表現力豊かな新世代のプロトコルが広まりつつある今、こうした“地味”なアプローチにはたしてどれほどの意味があるのでしょうか。
わざわざ古い機材を分解し、配線を追い、場合によってはMIDIキーボードを一台買えるほどの手間やコストをかけることに、合理的な価値があるとは言い切れないかもしれません。それでも、過去に作られた音と回路に、もう一度光を当てること。
uniMatrixは、古いものと今とをつなぎなおす——そんな静かな力を感じさせるツールです。
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2025年5月のSuperbooth 25で正式発表されたMoog Messengerは、Moog Musicが送り出す最新のアナログ・モノフォニック・シンセサイザー。Minimoog Model D、Voyager、Grandmother、Subsequent 37といった名機たちのエッセンスを受け継ぎつつ、現代の音楽制作に求められる柔軟性と創造性を融合した、まさに“クラシックと革新”のハイブリッドモデルです。
メーカーいわく「Moog史上もっとも手に取りやすいアナログ・シンセ」とのことですが、その言葉通り、価格(899ドル)・サイズ・機能性のバランスが絶妙な一台に仕上がっています。
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東京に拠点を置くシンセメーカーBlack Corporationが、8ボイスのポリフォニック・アナログシンセサイザーKijimiを、5月3日からドイツ・ベルリンで開催されるトレードショーSuperbooth 2018で発表するとのことです。Kijimi?日本語に聞こえないでもありませんがいったいどう意味なのでしょうか。
Black Corporationは本年度のNAMMショーにおいてYAMAHAの8ボイスポリフォニックシンセ CS-80のクローン、ラックマウントモジュールDeckard’s Dreemを発表し注目を集めました。今回発表となるKijimiは1970年代後半に製造されたフランス製の超レアなポリシンセRSF Poly Kobol II のクローン。RSF Poly Kobol II の特徴であったモーフィングオシレーターがどのように再現されているのでしょうか。詳細は後ほど。
ちなみに下のビデオはオリジナルRSF Poly Kobol II のデモンストレーションビデオ。とても味わい深いサウンドです。
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いよいよ来週木曜からドイツ・ベルリンにて電子楽器のスーパーイベントSuperbooth 17が開催されますが、地元ベルリンを代表するインストゥルメント・メーカーといえばまずはJomoxでしょうか。
Jomoxは1997年にアナログシンセサイザーに特化したメーカーとして設立。第一号機となったXBASE 09は数多くある909クローンの中でもピカイチの存在で、現在でもテクノクリエーターの間で根強い人気を誇っています。
そんなJomoxがこの夏リリースする新しいドラムマシンAlpha Baseは、この20年間に培ったノウハウを全て詰め込んだという同社のフラッグシップ・マシンです。大きな特徴は本物のアナログエンジンだけでなくサンプラーやFMシンセも搭載されていることです。サンプリングはSDカードからのデータの読み込みや専用入力端子からのレコーディングにも対応しています。シーケンサー、エフェクター、USB MIDIも搭載。
SuperBooth 17ではAKAIのMPC、Elektronの新しいデジタルドラムと比較するのが楽しいかもしれません。
下のビデオは昨日より公開されているAlpha Baseのパフォーマンスビデオです。まずはどんなサウンドかチェックしておきましょう。
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あのPionner DJ が今度はシンセサイザーを作る、しかもシンセ界のドンDave Smithとの共同開発、ということでNAMM 2017では驚きと期待のデビューを飾ったPionner DJ のアナログモノシンセToraiz AS-1。ただ個人的にはすでにDSIのMopho(おなじくDave Smithのアナログモノ)を持っていることや、Toraiz AS-1の見た目、特にタッチパッド式のキーボードやスライダー辺りがAira TB-3 と被っているような気がして、先週のお披露目パーティーはほとんどフォローしていなかったのですが、昨日たまたまToraiz AS-1のデモサウンドを聴いた途端、気持ちが一変しはじめています。
このデモサウンドはToraiz AS-1のサウンドデザインに携わったINHALTというアーティストによるものです。INHALT曰く、「ここ最近のシンセサイザーがローエンドとトップエンドが強調されているものは多くありますが、たいがいはミッド(特にローミッドとよばれる帯域)が痩せ細っていたり、ザックリと削り取られているものが多い」とのこと。その点ドライブが掛かり、ドライな印象の強いToraiz AS-1のミッドは存在感があり、Dave Smithの1981年の名機Pro Oneをイメージさせるものだと主張しています。
またToraiz AS-1はDSIのアナログシンセProphet -6を基に開発されていることが一つのセールスポイントですが、実際のところではToraiz AS-1のエフェクトエンジンはProphet-6よりも相当スリムダウンした設計になっているとのこと。しかしToraiz AS-1の醍醐味はその存在感のあるサウンドと演奏性の高いシーケンサーで、スリムなエフェクトエンジンに関してはさほど気にならなかったとのことです。
INHALTのデモサウンドは下のYouTubeビデオで聴けます。サブの出るスピーカー、ちゃんとしたヘッドフォンで聴くのがオススメです。
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