ローランドAira System-1 が発売されてからおよそ3ヶ月経ちました。私もこのシンセサイザーを手にしてからおよそ1ヶ月経つのですが、最初はトランス系音楽でよく使われているようなザクザクとしたリード系サウンドをもっぱら得意とするシンセなのかと高をくくっていたのですが、たまたまSonicStatesのレビュービデオを見たときに 他のレビュービデオとは全く違う意外なまでにメロウで暖かなサウンドが奏でられているのを聞き、System-1 の作り出す音の幅の広さに気づかされました。それ以降はさわればさわるほどこのシンセサイザーの深みにはまり、サウンドメイキングを楽しんでいます。ちなみにその私のお気に入りサウンドはリンク先の冒頭の14秒間の部分で聞くことができます。
発売されてわずか3ヶ月ではあるのですが、System-1はすでに2回もファームウェアアップデートが行なわれています。また、「プラグアウト」に対応したソフトウェアシンセの発表もすでに2回行われ(SH-1、SH−2)、これまでにない頻度でパワーアップしていくハードウェアシンセサイザーを目の当たりにすることとなっています。
今日はこれまでのアップデートがどのようなものだったのかを中心に見ていくことにします。
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Aira System-1 プラグアウトシンセサイザーの第2弾は1979年のアナログ・モノ・シンセサイザーSH-2 であることが発表されました。
第1弾プラグアウトシンセサイザーSH-101と同様に、SH-2 はプラグインソフトウェア(VST3 とAU )のフォーマットで提供され、これをSystem-1 にプラグアウトすることによってスタンドアローンシンセサイザーとして使うことができるようになります。しかし今回は通常版プラグインシンセサイザー(AU/VST3.6)としての販売も行なわれるようです。価格はプラグインのみが¥9.000、プラグイン+プラグアウト¥14.000となっています。発売は9月25日とのこと。
オリジナルSH-2 は2つのオシレーター+サブオシレーター、3オシレーター並みの厚い音を出す特徴を持つシンセサイザーでした。たまたまこの夏にこのマシンを触る機会があったのですが、出音はとても生々しく、古くさい印象を持ったのですが、そこが今の時代だからなのか妙に新鮮に感じたところです。1979年生まれということもありメモリー機能も付いていないシンセサイザーで、次の日にはちょっと違う音が出てしまうなんてことも多々あり。しかしこれがSystem-1 で再現されるとなるとメモリー機能はもちろんのこと、アルペジオ機能やエフェクター機能も使えるようになるわけで、ファンにとってはたまらないところです。SH-101 プラグアウトシンセサイザーのクオリティがかなり良かっただけに、今回もかなり期待できそうです。
ついにリリースとなったローランドAIRA System-1 。そして特に注目されているのがこのSystem-1 の新しいコンセプト「PLUG-OUT」という機能。
「PLUG-OUT」という名前がちょっとややこしいのですが、簡単に言ってしまえば、「PULG-OUT」対応のソフトウェアシンセサイザーをSystem-1 に書き写し、ハードウェアシンセサイザーさながらに持ち歩くことができるようになる機能なのです。そしてこの「プラグアウトソフトウェアシンセサイザー」の第1弾としてリリースされたのがローランドの往年のビンテージシンセサイザー「SH-101」。つまり「System-1」 を「SH-101 」に変えてしまうことができるわけです。
ではどうやって「プラグアウト」を行なうのか? ローランドUS による解説ビデオによると、コンピューターとSystem-1 をUSBで接続し、ソフトウェアからスイッチ一つで、およそ1分間で書き換えが行なわれてしまうそうです。
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ロシア出身の超美人DJ、今世界のテクノ・ハウス界でもっとも旬といわれているニーナクラヴィッツがローランドAIRAに初挑戦しているビデオが公開されています。
ニーナクラヴィッツはAIRAの安定したパンチのあるサウンドが相当お気に入りのようです。そして最後に「Crazy Shit!」と一言。
ビデオ中盤ではAIRA VT-3 を使った彼女の歌声もちょっと聞こえます。
いよいよ3月8日に発売開始されることになったローランドの期待のAira シリーズ。ブログ「いっかい」では先日そのうちの一つであるボーカルエフェクターユニットVT-3 にさわることができました。さっそく今日はその報告をしてみたいと思います。
VT-3はその名の通り、BOSS VT-1 の後継機となるボーカルエフェクター。簡単に言ってしまえば、このVT-1/VT-3はマイクをつなげ、喋ったり歌ったりした声がロボットのように変化するエフェクターです。たくさんの機能が詰まっている機材ではないのですが、そのシンプルさが逆にこの機材の魅力で、今なおカルト的人気を誇っているVT-1です。Yahoo Auctionの取引価格はおよそ3万円。それを考えるとこのVT-3が21,000円というのは実にナイスな話です。
VT-1 はフランスのインディーロックバンドAirやスェーデンのエレクトロバンドKnifeなどがその使い手として有名。個人的にはVT-1と言えばドイツのエレクトロアーティストSiriusmoをまず思い浮かべます。(SiriusmoについてはこちらのYouTubeを見てみてください、3:18あたり、VT-1が机のセンターに置かれてます)
VT-3フロントパネル
VT-3 はその他のAIRAシリーズと同様に黒のアルミパネル、黒のプラスティックケース、緑の縁取り、緑のライトが光ります。そして同じくその他のAIRAと同様ですが、とにかく軽量です。
フロントパネルには4つのスライダーが並んでいます。左側にあるピッチスライダーを上に上げると声が1オクターブ上がり、下に下げると声が1オクターブ下がります。フォルマウントフェーダーを上に上げるとピッチはそのままの状態で声が女性的(初音ミクのような声)になり、フェーダーを下に下げると男性的な声に変わります。右側のフェーダーはリバーブエフェクターでミックスバランスとリバーブの量を操作することができます。リバーブの量を上げるとかなり大きなホールサウンドになり、クオリティも上質で真新しさを感じる部分です。残念なのはリバーブの種類や時間の設定ができないところです。
フロントパネルのやや上に並んでいる6つのスイッチ。まず左側のROBOTスイッチを押すと、ピッチは強制的に一定に保たれ、いわゆるロボット的な抑揚のないサウンドになります。
真ん中の4つのスイッチはセッティング内容を記憶させておくためのもので、特にライブパフォーマンス中にお気に入りのサウンドに素早く切り替えたい時には便利でしょう。セーブは3つまで、セーブ方法も簡単で、1~3までのスイッチを長めに押すだけです。一人で3役の声優をこなさなければならないなんて時にも便利でしょう。
マニュアルスイッチを押すとライブモードになり、フロントパネルでセッティングされているフェーダーやエフェクトタイプのサウンドに切り替わります。一番右側のバイパススイッチを押すとエフェクト無しの素のサウンドになります。また、フットスイッチをVT-3に接続することでこのスイッチを切り替えることもできるので、ライブ最中には便利なものとなるでしょう。
10種類のエフェクター
フロントパネル中央にあるダイヤル式のノブ。ここでエフェクターの種類を変えることができます。エフェクターの種類は10種類。
- Direct
- Auto pitch 1
- Auto pitch 2
- Vocoder
- Synth
- Lead
- Bass
- Megaphone
- Radio
- Scatter
VT-1にはなかった新しいエフェクターとなるのがSynth/Lead/Bass。これらはマイクで喋ったり歌ったりした声がシンセサイザーのサウンドになるもので、特に鍵盤を弾けない人にとっては嬉しいものかもしれません。Leadはテルミンのようなサウンド、低い声でBassエフェクターを使うとかなり深いサウンドになります。
MegaphoneやRadioはローファイで周波数域の狭い音になります。メガフォンといって思い出すのはやはりYMOの「体操」ですね。
Auto Pitch やVocoderはいわゆるいわゆる昨今のEDMで聞くことのできるボーカルエフェクトです。
Auto Pitchは微妙に外れた音程を自動的に正確なピッチに修正してくれるものと期待したいところですが、実際試したところ、よほど正確に歌わない限り思った通りのピッチにはなりませんでした。
Vocoderに関しても同様で、正確なピッチで歌わないと思わぬ場所にピッチが飛んでしまいます。本来ボコーダーはストリングスのようなサウンドをキャリアとして使い、声をモジュレータとして使うものではありますが、VT-3にはキャリアの入力がなく、これまでのボコーダーの代替品とはならないでしょう。
Scatterは今回のAIRAシーリズで大きく取り上げられているエフェクターですが、昨今のダブステップシーンで使われることの多いチョッピングエフェクトを作るものです。細かい設定ができないのは残念です。
まとめ
残念なのはAuto PitchやVocoderエフェクターで、うまい具合にピッチが安定しないところです。Vocoderに関しても本来のボコーダーと同じような機能が欲しかったです。
MIDIコントロールがサポートされていないのも残念です。フロントパネルに並ぶパラメーターをMIDI CC コントロールできればより面白かったような気がします。
VT-3にはその他のAIRAシリーズと同様にUSBオーディオインターフェイスが内蔵しています。DAWソフトウェアを中心に音楽制作をしている人にとってはこれは大きなプラスポイントです。
声を使うことで様々なサウンドを作ることができる楽しいマシンです。様々な声色を使うことや、声だけでなく様々な楽器を通すことでも楽しい実験ができます。使い方次第では他にはないオリジナルサウンドを得られるような気がします。
Ableton 公認トレーナーLive schoolがリリースした「Roland AIRA TR-8 Samples x Fairchild Compressor」。発売前のAIRA TR-8 のサウンドがFairchild 670 コンプレッサーを通してレコーディングされ、Ableton Live 9 Drum Rackのフォーマットで収録されています。今日からAIRA TR-8 のサウンドを使って音楽作りができてしまいます。なんと無償でダウンロード可能。
「Roland AIRA TR-8 Samples x Fairchild Compressor」では全32のドラムパッドが使われており、そのうち16のパッドがドラムサウンド、16のパッドが808のキックサウンドから作られたベースサウンドが割り当てられています。ドラムパッド左側のマクロコントロールではベースサウンドの音色操作を行うことができ、右側のマクロコントロールでは各ドラムサウンドの音色選択やピッチ操作を行うことができます。
ダウンロードは http://blog.liveschool.net/roland-aira-tr-8-samples/ よりどうぞ。
さて、こちらの方はDe:Bug Music Technikが公開したばかりのAIRA TR-8とTB-3の生デモサウンド。特にScatter FX が細かくチェックされているので、気になっていた人、是非チェックしてみてください。