NI Maschine 2.0 ではソフトウェア内でのオーディオ・ルーティングが円滑になり、これによってサイドチェイン機能が使えるようになりました。サイドチェインとは昨今のエレクトロニック音楽制作では多く使われているテクニック。例えば、同じような周波数を持つキックとベースが同時に鳴ってしまうと音がぶつかり合い、音が詰まってしまうことがあるわけですが、ベースにコンプレッサーをかけ、キックの音でコンプレッサーをトリガーすることによってキックが鳴っている間はベースの音量を絞ることができ、音圧を稼げることになるのです。
ベースだけでなくパッドなどディケイの長いサウンドにも使われることが多く、キックが鳴る間はパッドの音量が絞られることによって、ある種のグルーブを作ることができます。
Maschine 2.0では Compressor Maximizer Limiter Gate Filterの4種類のエフェクターにこのサイドチェイン機能が付き、またサードパーティ製プラグイン(AU/VST)でもサイドチェインに対応したものであれば、ルーティング可能になっています。
それでは例としてMaschine 2.0にロードしてあるキックの音を使って、NI Massiveのパッドサウンドにサイドチェイン・コンプレッサー掛ける方法を説明していきます。
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NI Maschineをプラグイン・モードとして使ったとき、DAWソフトウェアにMaschineの各サウンドを個別に出力することができる「マルチアウトプット機能」。この機能を使えばDAWソフトウェアで各サウンドにエフェクターをかけることができたり、ミックスをすることができるようになるだけでなく、Maschineでのライブ演奏もインストゥルメント別に録音することができるようになり、とても便利な機能となります。一度に出力できるチャンネルは16。Maschine 2.0からの新機能ではありませんが、Ableton LiveとLogic Pro X を使った例をここで見ておくことにします。
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Macro Control
NI Maschineのもっともパワルルな機能「マクロコントロール。」まずこの「マクロコントロール」がどのようなものか簡単に説明しておくと、たとえば、プレイ最中にフィルターを動かしたいとか、エフェクトの量を変えてみたいとかあると思うのですが、そんな際にいちいちフィルターのページに飛んでフィルターのパラメーターを探して、動かして、、というのでは大変な作業になってしまいます。そこで、事前に必要なパラメーターだけを一カ所にまとめて管理しておくことができるのが「マクロコントロール」という機能です。つまりパフォーマンス最中でもマクロコントロールのページを開ければ、コントローラのノブを使って、フィルターを動かしながらエフェクターも同時にコントロールするようなことができてしまうのです。
これまでのMaschineでは、マクロコントロールは各「グループ」に8つまでのパラメーターしかアサインすることができなかったのですが、新しくなったMaschine 2.0 では「グループ」の層だけでなく、「マスター」「サウンド」すべての層にこのマクロコントロールの機能がつけられています。また、アサインできるパラメーターの数は無制限になっています。
このようにMaschine 2.0 では制限が少なくなった「マクロコントロール」ではありますが、設定方法も大きく変更になっています。これまではマクロコントロールに持って行きたいパラメーターを右クリックすれば設定が完了していたのですが、Maschine 2.0ではマクロコントロールページからの設定をしなければならなくなっています。いままでのMaschineに慣れているユーザーはちょっと戸惑うところなので、設定方法を簡単に説明しておきます。
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いよいよ11月1日に発売になるNative Instruments Maschine StudioとMaschine ソフトウェア2.0。
まずこのMaschineがどういうものかもう一度簡単に説明すると、Maschineはソフトウェアとハードウェアコントローラが一体になった「グルーブプロダクションツール」で、もっと簡単に言うと「サンプラー・ドラムマシン」といったところでしょうか。付属するサウンドライブラリーはドラムサウンドがメインではありますが、それ以外のサウンド(ベース、シンセ、サウンドエフェクトなど)も含まれ、特にダンス系の音楽制作に強い内容となっています。もちろんサンプラーとして使うこともできるので、お気に入りのレコードをサンプリングして、スライスして、演奏することも可能です。
Maschineはコンピューターソフトウェアがベースとなっており、スタンドアローン・AU・VSTプラグインとして起動でき、これまでのDAWソフトウェアを使ったワークフローを損なうことがないのが一つの魅力です。それと同時に、このハードウェアコントローラを使った操作がとても柔軟で、コンピューターを見ることなしでも操作できるパフォーマンス指向の強い楽器でもあります。
Maschine Studio
11月1日に発売されるMaschine Studioですが、まずこれは大型コントローラとソフトウェアの新バージョンMaschine 2.0がパックになっている製品。
数時間さわったのみの印象ですが、コントローラはこれまでのサイズよりも遥かに大きくなっており、思った以上に重さが軽いのに驚きました。パッドのクオリティはMaschine mk2と同じような印象で、光る色の種類も同じく16種類です。
特に目を引くのがカラーディスプレイで、iPhone のようなタッチディスプレイではないものの、プロジェクトの全体像が見渡せることができたり、Maschine2.0から搭載されることとなった「ミキサー機能」を表示させることができるのは一つのメリットです。NI KompleteやMaschine Expansion などの拡張音源もジャケットのようにカラー表示され、気分はかなり高揚します。(すべてのNI 製品はアップデートが必要)
Maschine mk2ユーザー個人として特に嫉妬するのは、本体右上にあるレベルメーターで、ここでアウトプット・インプットのレベル調整ができます。これまでのMaschineコントローラではレベルメーターを見ることはできず、コンピューター内の表示にたよってしまうところです。
その他、ボタン数もこれまでよりも多くなっているのでシフトキーを押すことなく操作することができたり、ジョグホイールをつかってキットやサンプルの読み込みができるのはやはり便利です。本当の意味で「コンピューターを見ることなく操作できるコントローラ」を意図して作られた製品のように感じます。
価格は¥104,800
Maschine 2.0
大きくバージョンアップしたMaschine ソフトウェア2.0。これまでのMaschineユーザーは有償アップデート($99)することができます。MASCHINEあるいはMASCHINE MIKROを2013年10月1日~11月1日の間に購入したユーザーは、無償でダウンロードすることが可能。
アップデート後、Maschine 2のフォルダーは新たに作られ、Maschine 1はそのままハードディスクに残ります。Maschine 2に使い慣れるまでの間はひとまずキープしておくのがいいでしょう。また、Maschine 1 で作ったプロジェクトファイルをMaschine 2で読み込むことも可能になっています。
これまでのコントローラ(1世代目+2世代目ともに)を使用することも可能で、Maschine 2の内容に合わせた表示方法になっています。また、機能が多くなっている分、シフトキーを使った新しい操作も覚えなければなりませんが、愛着のあるコントローラをそのまま利用できることで、ひとまず胸をなでおろしている次第です。
またMaschine 2.0のサウンドライブラリーも新たに付属し、およそ2220のサンプル、110のサウンドキットが追加されることになります。
加えて、付属するプラグインはNI Massive、Prism(パーカッションシンセ)、Solid Bus Comp compressor、Scarbee Mark I (エレクトリックピアノ)
ということで、今回は数回に分けて、「Maschine 2.0 ソフトウェアのこれまでとの違い」を見て行きたいと思います。
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Arturiaがリリースした「iSEM」は、1974年のオーバーハイム・シンセサイザーモジュール「SEM」をリクリエイトしたiPadシンセ。SEMの大きな特徴であった12dB/Oct のマルチモードフィルターも忠実に再現されており、MoogやArpとはひと味違うまろやかなシンセサウンドを楽しむことが出来る。
本家SEMの基本設計の再現に加え、Arturia ならではの新しい機能も追加。エフェクターはオーバードライブ・ディレイ・コーラスの3種類。Mod Matrixでは8種類のモジュレーションソースを26種類の設定先にアサインすることができ、動きのあるサウンドを作ることができる。Voice Programmerはオーバーハイムの1977年のポリフォニックシンセ「8 -Voice」のアイデアが踏襲されたもので、各ボイスが異なるサウンドを奏でることの出来るマルチティンバー機能。
SEMは、数年前に設計者トムオーバーハイム氏によって復刻版(ハードウェアシンセ)がリリースされたので、それに伴う資料はかなり多く用意されています。トムオーバーハイム氏が直々に語る解説ビデオ(日本語字幕付き)はファン必見。http://www.youtube.com/playlist?list=PLEBFCD7EAED343B04
Arturiaによるソフトウェアシンセ「Oberheim SEM V」も数年前にリリースされているので、このiSEMは初のSEMエミュレートシンセというわけではありません。しかし復刻版SEMがおよそ10万円、SEM Vがおよそ1万円することを考えると、850円のiPadアプリiSEMを試さない理由はないでしょう。「SEM V」と「iSEM」を比べてみると多少の機能の違いはありますが、サウンドクオリティの方はほぼ同じように聞こえるんですよね。
- iPad app recreating the classic Obeheim SEM synthesizer.
- Hundreds of sounds created by some of the best sound designers around.
- Audiobus support (to interact with other apps).
- Core MIDI (to control your synth from a Hardware MIDI keyboard).
- Apple’s Inter-app audio (to work in conjunction with GarageBand and other audio apps).
- Preset transfer and sharing via email & iTunes file transfer.
- Preset compatibility with the Arturia SEM V Mac/PC software.
- WIST clock sync support (to synchronize two iPads).
- Real analog sound based on our TAE® analog modeling.
- Voice Programmer allows for recreating the rare and classic Oberheim Eight Voice.
- requires at least an iPad 2 and OS 6.0
AKAI MPCのスリムバージョンMPC Elementが登場。iPadコントローラMPC Fly と同じようなデザインになっていますが、こちらの方はコンピューターと接続するためのコントローラとなっています。
MPCソフトウェアの方もスリムバージョンになっており、1GBのサウンドライブラリーが含まれています。(本家MPC Renaissanceには3GBのライブラリー)
ハードウェアの方はおなじみのMPCクオリティの4×4のドラムパッド(ベロシティ対応)。フェーダーやノブは付いていませんが、ノートリピートや16レベル調整のスイッチが付いています。スタンダードMIDIにも対応しているので主要ソフトウェアのコントロールも可能。MIDI IN/OUT端子も付いているので、外部MIDI音源のコントロールも可能になります。「1/8-インチ to 5-pin MIDIケーブル」付属
10月発売予定 価格 €179