Ableton Live の新機能Linkは、複数のiOSデバイスや複数のAbleton Liveソフトウェア(Mac&Win)をWifiネットワークを使って同期演奏させることができる機能です。これまで複数のAbleton Liveを同期させるには通常はMIDIクロックを使ってきたわけですが、ジッター問題等によって必ずしもタイトな同期が行えるとは言いがたいものがありました。また、Wifi-MIDIに関しても同様で、決して信頼性の置けるものではありませんでした。これまで見てきた実験結果から考えて、Abletonがこのような同期機能を大々的に取り入れたことに関してはやや懐疑的な部分もありました。でも昨日から流れているニュース/レビュー記事を見る限り、このLinkはゲームチェンジャーと言えるような、素晴らしい仕上がりであるようなのです。
iOSアプリElasticDrumsのディベロッパーOliver Greschke氏はいち早くAbleton Link機能を取り入れたアプリの開発に取り組んでいます。私も彼とほんのわずかな時間チャットをしたのですが、彼もLinkがお気に入りのようで、「Abletonはかなりいい仕事をしたのではないか」と、かなりポジティブな印象を持っていました。
そのOliver氏による実験ビデオ(3台のiOSデバイスとAbleton LiveをLinkで同期)が昨日より公開されており、ビデオでは途中でスピードを変えたり、一度シーケンスをストップしてもう一度セッションに参加するなどの実験が試みられています。このビデオから見ても、かなりタイトな同期ができていることが分かります。
Linkは近日公開されるアップデートバージョンに搭載されるとのこと。またディベロッパー向けの開発用プログラムが配布されているので興味あるディベロッパーの方は是非。コルグのアプリも一番乗りしているようです。はやく試してみたいです。
AbletonがやっとiOSアプリに門を開いたということは一つの嬉しいニュースですが、それよりも、エレクトロニック・ミュージシャンがラップトップやiPadを持ってスタジオに集まり、かつてのバンドブームのように、ジャムセッションを楽しむ、そんなカルチャーが盛り上がったら面白いに違いありません。それが派生してコンピューターバンドブームが起こったらそれはそれで吉。
追記11/4
こちらのデモンストレーションビデオはiOSアプリtriqtraqのデモンストレーションビデオです。triqtraqもLink技術への対応が決まっています。