昨日のムジークメッセ訪問から一夜明け、強く記憶にあるのは、コルグが発表した3種類のグルーブボックスVOLCA。ドラムマシンに特化したVolca Beats、リードシンセに特化したVolca Keys、ベースシンセに特化したVolca Bass。3種類のVolcaにはタッチパネルを使って操作することのできるループシーケンサーが内蔵し、内蔵小型スピーカーや乾電池でも動作するコンパクトなデスクトップ型マシン。アナログ音源(Volca Beatsは+PCM音源)を搭載し、操作はいたってシンプル。ややショッキングな色。MIDI入力にも対応してくれているのは凄く納得。Synct端子を使えばVolca同士、Monotron、iOSアプリSyncControlアプリを使った同期が可能になります。ヘッドフォンアウトプットしかないという不満も中にはあるようですが、個人的にはあまり気にはなっていません。価格がそれぞれ$150に設定されていることにはとにかく驚かされます。

3種類のVolcaはそれぞれのボディの色が違うだけでなく、ノブの位置、大きさも異なっています。新しく採用されている大きなツマミは操作がしやすいのですが、小さい方のツマミを操作するには手を小さく丸めなければなりません。タッチパネルは大胆な金色が使われ、さわり具合はとてもツヤツヤとしていて、指を左右に滑らしながら操作できるのがとてもよく、Monotronの小さなリボンコントローラと比べた時との大きな違いです。

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ドイツ・フランクフルトで開催中のムジークメッセ2013。前々日から妙なにぎわいを見せていたコルグ新製品の噂は本当のことだったということが分かり、コルグに振り回されてしまったかのような第1日目。しかしNordlead 4のニューサウンドも美味。Novation のBass StationやLaunchPadも素晴らしい出来映え。90年代〜2000年初頭への回顧が感じられる傾向の中で、ドイツ・アナログスタッフは剛健。まずはムジークメッセ2013画像からどうぞ。

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1984年に発売になったコルグのシンセサイザーDW-8000とそのラックマウントモデルEX-8000。DWGS (デジタル・ウェーブフォーム・ジェネレーター・システム) という音源にアナログVCFとVCAが合わさったデジタルとアナログのハイブリッドシンセ。2基のオシレーターにはサイン波やのこぎり波だけではなくクラリネット、ピアノ、オルガン、ブラス、サック、バイオリン、オルガン、サックス、ギター、ディストーションギター、ベース、デジタルベース、ベルなど全16の波形が用意されており、ローパスフィルターは発振もします。当時は画期的だったアフタータッチやイニシャルタッチやポリフォニックのポルタメント機能、64のプログラムメモリーやデジタルディレイも付いています。

欠点はとにかく操作が面倒なところで、音色のエディットをする際にはまずパラメーターの番号をリストで確認→ パラメーター番号を入力→ 設定値を入力 といったように一度に一つのパラメーターしか動かすことができず、ツマミを両手でグイングインと回すような今の時代の感覚からはほど遠いデザインです。1984年というMIDIの黎明期でもあったせいか、通常のMIDIコントローラを使ってフィルターの開け閉めの操作をするだけでもSysExを使わなければなりません。

ところが先日iOSカスタムコントローラアプリLemurのユーザーライブラリーでこのEX-8000(DW-8000)のテンプレートを発見。おかげでお蔵入りしていたEX-8000をiPadでコントロールすることが可能に。

Lemur ユーザーライブラリー、Bronc Comboによって作られたDW-8000(EX-8000)テンプレート。白黒のシンプルなインターフェイスではDW-8000(EX-8000)のパラメーターのほとんどをMIDIコントロールすることができ、これまでの厄介な操作から解放されるのはもちろん、この楽器の魅力を再発見することができます。

改めてEX-8000をいじってみて、80年臭さを感じてしまうところもあるのですが、暖かみのあるサウンドは今聴いても魅力的です。「名機コルグM1の一時代前のサウンド」というのも何となく理解できる表現だと思いますです。LFOの穏やかな波は超絶妙。 モジュレーションをかけることのできるディレイサウンドは美しく、低音も思った以上にしっかりしています。

Lemurによって息を吹き返し たかのような80年代マシンEX-8000、サウンドデモを作ったので聴いてみてください。Ableton LiveからMIDIノートを送信し、LemurでWifiコントロールしています。音はすべてEX-8000からです。

 

 


Korg Museum


今なお多くののミュージシャンが愛し続ける昔のアナログシンセサイザー。その代名詞となるのがローランドのドラムマシーンTr-909や808ですが、生産 が中止されてから何十年たった今でもビンテージマシンとして世界中の中古市場をにぎわしているのはもうご存知の通り。ノスタルジーだけではなく、今の時代のミュージシャンが今の気 分を持って大きなボタンやツマミをいじることで、新しい発見をし、それでしかありえない個性のあるサウンドを手に入れ、新しい音楽を生み出しているのです。

東京原宿にあるアナログシンセサイザー専門のショップFive G。店内に足を踏み入れた大概の人が驚くことは所狭しと展示されている70年代から現代までのシンセサイザーの数。日本産のアナログシンセのストックの多さ はもちろん世界随一でしょう。専門技術者によって調整が行われたビンテージシンセの販売、海外シンセの輸入販売、独自技術を使うアフターケアも行うFiveGはアナログ シンセファンにとってはまさに聖地。

僕自身が初めてこのショッップを訪れたのはかれこれ10年前くらいのことですが、その時の驚きや興奮は今でも覚えています。テレビや写真でしか見たことのないレアな機材を生で見てさわることのできる喜びはシンセファンなら理解してもらえるでしょう。ヨーロッパのテクノミュージシャンと日本についての話をすると大概話題になるのがこのFive Gだったり。

古きを尋ね新しきを知る。それでは中に入ってみましょう。

 

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先週アメリカで行われていたNAMM2013ではMS-20 Miniを発表し、世界中のシンセファンからの大注目を浴びたコルグ。過去のシンセサイザーの名機が今の時代のプラットフォームに生まれ変わることで、何か新しいものを発見できそうな未来を感じているのかもしれません。

さて、今日の話題はiOSアプリKorg iPolysix for iPad。こちらのほうは1981年に発売されたアナログポリフォニックシンセサイザーの名機をiPadで再現しており、昨年末から発売になり大ヒットを記録しているアプリ。Polysix2台分の音源に加えドラムマシンやシーケンサーも新開発され、大きく生まれ変わったPolysix。

iMS-20などのiOSアプリやKORG Legacy Collection、DS-10の開発を手がける グループのメンバー3名(福田さん、中島さん、井上さん)に開発にまつわるお話を伺いました。

 

i:今回iPolysixを作ることになった経緯を聞かせてください。

中島さん 開発リーダー:
以前にモノフォニックシンセiMS-20を出していますが、今回はポリフォニックシンセのアプリを出したら面白いんじゃないかなと思ったのが始まりです。MS-20とは違ったアナログポリフォニックの良さを全面に出せるもの、ということでPolysixを題材にしてみました。MS-20(1978年)のモノフォニックの時代からPolysix(1981年)のポリフォニックの時代に変わって行く時代にタイムスリップするイメージですね。

福田さん グループマネージャー:
去年、別のチームと一緒にReason用のPolysixを出したり、Google I/Oという開発者イベントでmiselu用のPolysixバージョンを展示したり、なにかとPolysixに関わることが多かった というのが大きいです。

 

 i:コルグさん的にはPolysixに特別大きな思入れがあったり?

福田:企画の段階からいつも自然とPolysixの話題がもちあがるんですよね。去年はPolysixに関わる流れがあり、僕らのチームはiOSがメインなんで、iOSでもPolysixを出さないわけにはいかないだろうって話になりまして、作るんだったら史上最強のPolysixを作ろうかってことになりました。

 i:Reason用、Google miselu用、そして今回のiOSバージョン、大きな違いはあるのですか?

中島:音質的にはコアの技術を使っていますのでどれも同じモノと言えます。構成的にはiPadだけで曲を作れるものをつくりたかったのでiPolysixにはシーケンサーを付けたり、またオリジナルにはない波形やハイパスフィルターパラメーターも追加しています。

 

福田:オリジナルのPolysixでキックの音を作ろうとするとけっこう難しかったりするものですから、そのあたりをアシストするような機能を加えて、iPolysixだけでどこまでのシンセサイズができるのかを目標にして作りました。

i:オリジナルのPolysixは完全再現できてるんですか?

中島:もちろんオリジナルにある主なパラメーターはすべて含まれているのでオリジナルに忠実です。
アナログモデリングCMT(Component Modeling Technology)というコルグの技術で、以前発売したKorg Legacy Collectionで使ったものと同じ技術をつかっていますね。

福田:音を忠実に再現するために真面目な計算をしているんで、とても正確にできてますよ!

 

i: 最近始めてオリジナルのPolysixをさわる機会があったんですけど、ほんとすばらしい楽器ですよね、、まだまだ聞いたことのないようなサウンドがつくれたり。

当時としては外観にもこだわっていてカッコいいですよね、木の枠がついていたりとか。

 

i:iPolysixではじめて搭載されたシーケンサーPolysiqですが、おもしろいですね。見た目からしてもかなりいい感じですよね。

中島:いやあ~ありがとうございます。ステップシーケンサーの良さと、ポリフォニック、その両方の良さが上手く合わさって楽しめるようになったかなと思ってます。

井上:シーケンサーの見た目というとどうしてもピアノロールになってしまいがちなところがあって、そこをどうずらしてあげると面白いかなと考えましたね。

 

福田:ここは時間かけましたね。ミキサーの部分はKMX-8という昔の機種をベースにしていますが、シーケンサーに関してはポリフォニックのアナログシーケンサーってあまり思いつかないところじゃないですか。ピアノロールとはちょっと違った昔のスイッチ感みたいものを出せるように試行錯誤しました。

i:レトロでいて、新しい感覚がいいですね。テクノ心をくすぐるものがありますよ。

福田:Polysixが発売されたのが1981年ですが、当時ポリフォニックシーケンサーを作ることになっていたら、これに近い形になっていたんじゃないかなあーなんて思ってますね。

 

i:Polyshare(Sound cloudを使った楽曲の公開)では大勢の人が曲をアップデートしていますね

福田:あれは一番お勧めの機能ですね。

i:リミックスコラボっていうのはどのような機能なんですか?

福田:サウンドクラウドにソングデータとオーディオデータを一緒に付けてソングデータ部分をダウンロードしてリミックできるような形にしてあるんです。iMS-20で世界で初めて搭載した機能です。

iPolysixではすべての音を1から作っていかなければなければならないのですが、よくこれだけのことができるなあと、驚くようなカッコイイ曲がたくさんあります。 また国旗を出したんですけど、スウェーデンの人がいっぱ いあげてるなあ、とか、思いもよらなかった所からアップされていたりとか、スゴい面白いですね。

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今回のNAMMショーでもっとも注目が寄せられているのはおそらくこのコルグMS-20Miniでしょう。

オリジナルMS-20が発売されたのは1978年。強力なアナログフィルターとパッチングによる音作りの柔軟性が人気となり、中古市場では今なお10万円以上の値を付ける人気シンセ。その後もプラグインシンセLegacy CollectionやiPadアプリiMS-20 として復活し、現在ではおよそ30万人以上のユーザーがいるといいます。そして今年35周年を迎えるこのMS-20はオリジナルマシンを手がけたエンジニアの手によってハードウェアアナログシンセとして復活!!!

オリジナルMS-20に比べおよそ15%小さなサイズになっているMINI MS-20ですが、主要となるコンポーネントは限りなくオリジナルマシンに近い物が使用され、オリジナルマシンの回路が忠実に再現されているといいます。フィルター部にはおそらくMonotronと同様の物が使用され、若干の修正が加えられていると考えられています。さらにはMIDI In ポートとUSB MIDIポートを装備、本体にはオリジナルのマニュアルとパッチシート、パッチコード10本が付属。

現代のニーズにも十二分に答えることができるであろうMS-20 mini。NAMM2013にて、いよいよお披露目です。

2013年4月発売予定、価格 ¥41,800

 

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